人は案外、言葉のイメージに引きずられるので、ネーミングって大事だね、というお話。
昨日は、企業の人事・人材開発・人材育成のご担当者を集めてのコミュニティ活動会合日でした。 当社主宰で昨年6月に立ち上げ、ゆるゆると継続的に活動している会です。
皆さんで、「若手のOJT」というか、「若手の早期立ち上げ」というか「若手の成長支援」についてずっと議論しています。問題意識を持っている方ばかりが参加されているので、もうとても熱心でいつも会話が盛り上がります。
昨日は話し合いの中で、「言葉のイメージ」って大事だなあ、と思うことがいくつかありました。
たとえば、古くから使われている「OJT」。
”On the Job Training” 仕事をしながら、人を「トレーニング」する。
これって、主語が「トレーニングする」側にあるんですよね。
OJT制度化の流れについては、このブログでもたびたび触れてきましたが、OJTという言葉自体を見直すことはあまりなされていません。
古くから耳馴染みがあるし、まあ、それでいいだろうと私も思って使っているのですが、しかし、これ、若手社員からすると、「トレーニングをしてくれる制度」「育ててくれる制度」と見えなくもない、聞こえなくもない、んだそうです。
実際、「OJTトレーナーが1年間ついてくれる制度が整備されている」んだから、「何をしてくれるの?」という、サービス受給者の感覚に陥る若手もいないわけではない、とか。
本来、「成長」というのは「自分」の問題です。ただ、自分ひとりで成長するのが大変だから、その「成長支援」をしましょう、というのがOJT制度だったりそれを担ってくれるのがOJTトレーナーだったりします。
だから、あくまでも「自ら成長しようとする」姿勢や努力や行動は欠かせないのだけれど、そうなると「OJT」という言い方はもっと別の、学び手が「主語」となる表現に変えたほうがいいのかな、などとも思うように・・・。
(といいつつ、他に言いようがないので、このままOJTという言葉を今は使いますけれど)
ほかにも、こんな話もあります。
「OJTトレーナー」に任命されたけれど、何をしたらいいのかわからないから、マニュアルがあればいいのに、と現場から声が挙がった。そこで、「OJTマニュアル」を作り、担当者に配布した。すると、「OJTマニュアルに書かれたことをやっていけばいいんだよね」と現場は多少楽になったようだ。しかし、しばらくすると、「それは、OJTマニュアルに書いてないよね。書いてないから教えなかったよ」といった声が聞こえてくる。
現場のOJTをスムースに進めやすいように、現場の負担を軽くしようと思って作った「OJTマニュアル」は、本来、「最低限ここまではやってください(ボトムライン)」のだったはずが、「ここまでやればいい、この通りやればいい(トップライン?)」と画一化してくる。
これもある意味、ネーミングの話も関係してくるんじゃないか、という意見が出たのです。
「OJTマニュアル」を「OJTガイドライン」としてみてはどうか?
「ガイドライン」と言えば、ボトム(最低限のライン)を示すイメージになるでしょう?
なるほど、ですね。
言葉の持つイメージに思考や行動が影響を受けることって往々にしてあります。
どういう「言葉」を使うか、とても大事なんですよねぇ。