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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

若い方たちの学びと成長に際しては、「応援」という気持ちがいつも根底にある

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明日(4/4)からある企業の新入社員研修がスタートします。3日間のビジネスマナーとか会社とは何か、仕事とは何か、といったことを学ぶ体験型のプログラムです。

私の勤務先は新卒採用をしていないため、他者の新入社員の方たちと接しては、「ああ、暦が廻ったのだなあ」としみじみする、というのがここ10数年の恒例行事。


私が新入社員研修に携わるようになったのは1990年、27歳の時です。下手すると新入社員の中に同い年とか一つ違い(院卒、なぜかいろいろダブっているなどの理由により)もいて、しかも時代はバブルで、就職もイケイケだったので、新入社員が「生意気」で「ナマイキ」で。

同僚講師は、「みなさんは現在、”何”ですか?」と問いかけたら、「商社マンです!」と言われたので、「商社マンの”卵”ですよね」と言ったところ、「いや、”商社マン”です」と訂正されたり、お行儀悪いので注意したら、「ビジネスマナーなんていいから、さっさと本題に入ってください」と言い返されたりしていました。

私も新入社員研修の締めくくりで配った確認テストの回答用紙の裏に「田中さんを表すフローチャート」というのを書かれたこともあります。(これが、よくできていて。「プログラミング入門」という名前の、アルゴリズムを考えたり、フローチャートなどのチャート類を書く研修だったので、理解していないと書けない代物でした。あれ、叱らないでコピーしておけばよかったです。笑)

なんせ、こちらも若いし、血気盛んだし、それに、一応講師だから「舐められちゃいけない」と気負ったりして、それが相手にも伝わるものだから、反発を買ったり。

だから、いつも教室内が戦々恐々としていました。その時の新入社員も45歳~50歳くらいでしょうか。管理職になって「最近の若者は」なんて嘆いているかもしれません。

今では、新入社員と親子ほど違うんです。下手すると、「お父さんは、46歳。お母さんは45歳」なんて言われるかもです。

ここ数年の新入社員は総じてマジメで素直で前向きです。その上、私とも年齢差があるので、食って掛かってくるというような若者はまずいません。新入社員研修を進めるのは、大分楽になりました。そもそも、内心「生意気」さを持っていたとしても、今の私の年齢ならら「田中さんのフローチャート」なんて書かれないでしょうし、かりに書かれたとしても、大笑いして壁に貼って絶賛しちゃうでしょうし、自分のあり方も年齢とともに大きく変わってきているので、若手がすごく変わったのか、自分の受容度が上がったのかもよくわからないんですけれども。

歳が離れて、こちらの大人度も上昇したこともあって、「私に娘や息子がいたら、こんな感じなのかあ」という想像をしながら新入社員たちと接していると、あまりの健気さに涙が出そうになってしまうことがあります。昨年などは震災直後の余震続く中での研修スタートでしたから、「大丈夫だ。私が守ってあげるから!」と肝っ玉母さんのような(これまた古い)気持ちになったりもしました。

そういえば、非常に上から目線で威張って指導する新入社員研修講師というスタイルもあるようですが、「そんなに威張らなくても」と端で見ていると思うことがあります。(合宿研修センターのような場所では、同業他社の方によく出会うのです) でも、こう思えるようになったのは、私が中年になったからですね。最初に書いたように20代のころは、キンキン声でさして歳も違わない相手にいろいろ指示していたと思うので。今は、普通に穏やかに、時にゆるーい感じでマナーを教えたり、いろんなお作法、考え方を伝えたり、演習でフィードバックしたりしても、十分伝わります。

新入社員から見たアラフィー講師(あるいは、職場での先輩)ってのはどんなもんかすでに想像もできませんが、私は同じ目線の高さで、皆さんの学習を促進し、成長を楽しく見守りたいと思います。一番大きな気持ちは「応援」です。

中高年の発達課題の一つに「世代継承性」という考え方があると言われています。企業を超えて、次の世代に何を伝え、何を残せるか、というのは、私にとっても大事なことです。

さて、明日からの新入社員研修に参加されるみなさん、私はみなさんに会えるのがとても楽しみです。

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