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行政機関・教育機関のみなさんへ「講演の謝金、こう考えてみては?」

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こんにちは、竹内義晴です。

ある市の教育委員会から、講演の依頼を受けました(ありがとうございます!)

ただ......具体的な金額は伏せますが、謝金がかなり厳しい金額でした。

厳しい、行政・教育機関の「講演の謝金実情」

実はボク、講演の対象が子どもたちだったら、金額に関わらずお受けしているんですよね。あと、知人とか、何かしらの関係があった場合もそうです。熱意とか、やっていることや思いに対する共感がある場合も、金額はそれほど気になりません。

でも、今回の対象は先生方で、しかも中堅の、教育の未来を担うような立場の方々でした。内容もかなり高度です。講演時間+コンテンツ作成時間を考えると、実際はかなり厳しい。

だけど、これまでの関係はありませんが、教育機関であることを考えると、あまり難しいことなしにお受けしてあげたい。

そこで、先に書いた「講演の対象が子どもたちだったら~」の内容を正直に記したうえで、「コンテンツ作成の時間を含めたら、かなり難しい。〇〇円ぐらいにならないか?」と相談してみたのです。

で、返信がきました。

返信の内容は、「市の謝金の上限が〇〇円と決まっている」「謝金額の見直しを何度も要求してきたが、叶っていない」「本来ならば、正当な金額をお支払いすべきなのは理解している」とのこと。

謝金の上限が決まっている行政機関はけっこうあるので、その事情は分かります。条例などで決まっていると、なかなか変えられませんからね。「うーん、どうしようかなー。先生方だしなー」悩みました。

でも、ここでお受けしてしまうと、結局何も変わらないし、変な前例を作ってしまうのもよくないな......と思って、次のように返信したのです。

メールをいただきましたあと、
実は、お受けしようか正直悩みました。

・対象が、未来の子どもたちの教育を担う先生方であること
・市の規定により、どうにもできないことが理解できること
・当方や一般的な事情(相場観)もご認識いただいていること

が、その理由です。

しかし、ここでお受けすると、
変革の機会を奪ってしまうようにも感じ、
今回は辞退させていたこうと思いました。

~中略~

一方で、誰かが、何かを我慢する構造のままでは、
社会を変えられないとも感じます。

もし、謝金額の見直しを要求される場合、
当方の費用感をお出しいただいても問題ございませんので、
必要であれば、ご利用ください。

逆に、今回を機会に、
もし、謝金額の見直しが行われました場合には、
今回ご提示いただきました費用感でもお受けしますので、
ぜひ、今回を機会に、
変革の一歩を踏み出していただけますとうれしく思います。

お金うんぬんはさておき、変革の機会にしていただきたかったのです。

その返信には、「熱意や使命感を強く感じ、益々お願いしたくなった」「本市立学校において、ミドルリーダーの育成は喫緊の課題」「今後も謝金額の見直しを要求していきたい、お願いできるよう頑張っていきたい」とありました。現場は大変ですよね。そのお気持ちだけでもうれしかったです。

行政機関・教育機関のみなさんへ「講演の謝金、こう考えてみては?」

さて、この投稿を見ている方の中には、行政機関や教育機関など、公的な機関で働いている人もいるかもしれません。

で、思うんです。「そもそもなんで、謝金の実情が、世の中の相場観と合わないのだろう?」と。

そうか、世の中の相場観をご存じないのかもしれません。でも、それもしかたのないことかもしれません。

もし、相場観がわからなければ、こんな感じで算出してみてはどうでしょうか?

講演を依頼するということは、講演者に「相応の経験がある」という認識をいただいていると思います。市役所の役職でいえば、立場的には、課長に依頼する感じ? 市長でもいいですが。

で、たとえば、課長に講演を依頼するとするじゃないですか。公務員の給料はいくら?平均額や、年代別・種類別の違いまで解説(生涯学習のユーキャン) によれば、40代の責任ある立場だと700万円~800万円なのだそうです。仮に、ここでは700万円としておきましょうか。

もし、その人に講演を依頼するとしたら、年収を時間で換算すると、

700万円÷12か月÷20日÷8時間=3,646円

で、企業の場合、さまざまな経費を考えると、「年収の3倍稼げ」と、かの松下幸之助さんは言ったそうですが、

3,646円×3=10,938円

つまり、課長に講演を依頼すると、1時間あたり10,938円となりますね。2時間講演を依頼したら、

10,938円×2=21,876円です。

あとは、講演をするためには資料の作成が必要なので、資料の作成に4時間掛かるとしましょうか。そうすると、

21,876円+10,938円×4=65,628円

かかることになります。

つまり、庁内の課長に依頼するだけでも、最低でも6万円強は掛かるということなんです。

でも、行政機関・教育機関の謝金を伺うと、講演時間だけの2万円......といったケースも少なくありません。すでにあるコンテンツを、何も加工することなしに話すだけだったら、それでもいいのかもしれません。でも、多くの場合、要望を伺って、コンテンツを組み立てるケースも多いもの。その場合、内部の費用感でも6万円強かかる、ということを知っておくのは、悪いことではないと思います。

また、今回「相場観を合わせることって、大事だな」と思ったのは、「市の謝金の上限が〇〇円と決まっている」という理由で、未来の子どもたちを指導する先生方の学ぶ機会を奪ってしまうのは「問題なんじゃないか」と、思ったんですよね。

先生方、しかも、中堅の先生方の謝金だとするなら、相応の費用は掛けてもいいはず。というより、「労働の搾取」にならないように、庁内の費用感ぐらいはかけてよいのではないでしょうか。行政機関、教育機関の中の給与で換算した場合に、どれだけのコストがかかるかをご認識いただければ、外部に依頼する際の謝金も、相応になると思います。

ひょっとしたら、これをお読みの方の中には「行政機関や公教育にビジネスの論理を持ち込むな」という意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。でも、誰かが何かを我慢する構造は健全じゃないと思うし、みなさんが働いていただく給与と、私たちが働く対価が合っていることは、大切だと思います。いっしょに、いいものを作っていきたいから。

もし、各機関で謝金額の見直しを要求される場合は、ぜひ、ここに書いたようなお話を根拠にしてみると、周囲の納得感が得られるかもしれません。課長の給与のほかには、費用を見直す人の報酬(議員報酬とか?)をもとに算出してもいいかもしれません。

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