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越境学習──「日常」と「非日常」で生じる気づきや発見が企業ワーケーションの醍醐味

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こんにちは、竹内義晴です。

11/15(月)-17(水)に、妙高ワーケーション モニターツアーを開催しました(モニターといっても、有償ですが)。

ワーケーションといえば、一般的に「ワークとバケーションの組み合わせ」と言われています。ただ、一般的なビジネスパーソンが「業務時間中に行く」ことを考えたとき、「観光」や「休暇」という文脈では、行きにくいんじゃないかなーと思っています(少なくとも、ボクにとってはそう)。

そこで、ワーケーションを「仕事」として捉えて、企業にとって、ビジネスパーソンにとって、「価値ある時間」になるといいなと思っています。

その1つのコンセプトが「越境学習」です。越境学習とは、普段の日常生活ではできない、非日常の「場」だったり、「価値観」だったりと交わる体験を通じて、「価値観の揺らぎ」を生み出し、オフィスでは得られない気づきや発見、学びを得ること。

基本的な考え方については、以下の記事をご覧になってください。

今回ご参加いただいたのは、株式会社ジョイゾー さんと、長野の広告会社さんです。とっても素敵な方ばかりで、ボクも楽しく過ごすことができました(ありがとうございます!)。フィードバックをいただきましたので、企画意図や実際の内容、気づいたことや感じたことについてお話させてください。

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今回の「ツアーの目的」

今回は、企業の組織づくりや人材育成が目的の、研修型ワーケーションです。テーマは『ワークスタイルが変化する時代の企業研修とは?エンゲージメントを高める組織づくり』としました。

このテーマにした理由は、一言「働き方が急激に変化している」から。

みなさんもすでにご存じのとおり、コロナ禍によって、在宅勤務やテレワークなど、働き方が急激に変わっています。それによって、今までにない課題も起こっています。

たとえば、HR総研が調査した社内コミュニケーションに関するアンケート2021によれば、

●7割が社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になると感じる
●9割で「迅速な情報共有」に支障あり、気軽な相談やストレス軽減にも影響増加
●昨年と変わらず7割で「自社の社内コミュニケーションに課題がある」
●大企業で課題視される関係は「部門間」と「部署内のメンバー同士」が最多、コロナ禍の影響か
●コロナ禍において社内コミュニケーションが「悪化している」企業が4割
●社内コミュニケーションで8割以上が使うのは「メール」と「オンライン会議ツール」
●コミュニケーションしやすさは「対面」が圧倒的、中堅・中小企業では7割
●テレワーク導入率の高い大企業で社内コミュニケーションが円滑な傾向
●テレワーク社員とのコミュニケーション手段の最多は「メール」、最も効果的なのは「チャットツール」
●テレワーク社員とのコミュニケーション不全で全社生産性が低下している傾向
●最も多い社内コミュニケーション活性化対策は「社内報」、社内イベントのオンライン化も必要に

という課題があるそうです。働き方やコミュニケーションツールが変われば、新たな課題が生じるのも当然です。

ボクも2017年にサイボウズで複業社員として働き始めてから、週2日在宅勤務、フルリモートで働いていますが、さまざまなトライ&エラーの繰り返しでした。以下、サイボウズ式の記事です。

働き方が変わって、オンラインでのやりとりが盛んになって、それはそれで、便利になったけれど、オンラインでのやり取りが増えたいま、逆に、リアルなコミュニケーションも重要だなと、改めて思っています(だからといって、「コロナ前の状態に戻ろう」とか、「テレワークはやめにして出社しよう」って意味ではないです)

そこで、働き方が変化する中で、企業で起こっている「課題をどう解決していくか?」を、参加者のみなさんと探ってみたいと思いました。

今回の工程

今回は、こんな工程にしました。

■11/15
・14:00 集合 アイスブレイク・イントロダクション
・14:30 ワークショップ「働き方の変化で起こる組織の課題」
・17:00 フリー
・18:30 夕食・懇親会

■11/16
・07:30 朝食、チェックアウト
・09:00 ハートランド妙高へ移動
・09:30 ワークショップ「チーム de そば打ち」
・12:00 昼食
・13:00 トレッキング
・14:00 フリー
・16:00 ワークショップ「ウィズコロナ、アフターコロナの組織作り」
・17:00 焚火
・18:00 夕食

■11/17
・06:15 野鳥観察
・08:00 朝食
・09:00 フリー・チェックアウト
・10:30 振り返り
・12:00 昼食
・13:00 解散

一般的な企業研修では、「〇〇の課題があるから、それに合うような研修を組み立ててほしい」という依頼を受けてから内容を組み立てますが、今回は企画型のツアーのため、こちらで組み立てました。

せっかく妙高までおいでいただくので、普段、会社ではできない会話ができるよう組み立てました、また、妙高でしかできない、かつ、ビジネスに役立つ「非日常体験」も取り入れました、

ざっとご紹介しますね。

ワークショップ「働き方の変化で起こる組織の課題」

今回は、東京と長野の2社がおいでくださいました。このワークショップでは、働き方が変化する中で起こっているチームの状況や理想的な姿、その間にあるギャップ、それを埋めるために必要なことなど、ざっくばらんに話す機会を作りました。

普段、一緒に仕事をしていても、「現状の課題感」や「チームの理想」を改めて話す機会はあまりありませんよね。また、社外の人と、そういった話をする機会もないでしょう。

そこで今回は、「場」を、非日常にすることに加えて、普段とは異なる人と会話することで、社内だけでは起きにくい気づきが発見が起きるといいなと思いました。

以下、ジョイゾーのCOO 四宮さんのコメントです。以降の埋め込みも、ぜひ実際の投稿をクリックしてご覧になってください。

ワークショップ「チーム de そば打ち」

「チーム de そば打ち」は、単なるそば打ちではなく、チームづくりで必要な要素を、そば打ちという非日常体験で体感するプログラムです。

最初に、「誰かの弱みを、自分の強みで補うこと」「強みに合わせて役割分担をすること」など、チームづくりで大切な要素をお話した後、強みを生かした役割を分担して、チームでそばを打ちます。材料は同じなのに、チームによって出来具合はバラバラ。そんな、そばを通じて多様な個性があふれるところも、「チーム de そば打ち」の魅力です。

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付け合わせには、ボクらハートランド妙高のスタッフが育てた野菜でかき揚げやつけものをご用意。こういったところで、普段関わることのない人や地域に触れる機会になるといいなと思っています。

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ワークショップ「ウィズコロナ、アフターコロナの組織作り」からの、「焚火」

ワークショップの前に、かねてからラーニングワーケーションのプログラムを一緒に開発している、国際自然環境アウトドア専門学校の小野彰太さんから、軽い自然散策とお話を。単なるトレッキングではなく、自然体験という非日常体験を通じて、ビジネスの学びになるような話をしてくださるのがさすがです。個人的には「選択肢はいつも自分たちが握っている」という言葉が刺さりました。

その後は、働き方が多様になっていく中での組織づくりや、コミュニケーションについて、経験をもとにしたお話を。また、先の小野さんを一緒に開発している「組織を超えた、多様なチームでの仕事」についても共有させていただきました。

その後は、お待ちかねの焚火です。焚火は、最高のファシリテーターですね。火の揺らぎで、自然と会話がはずみます。

食事の関係で1時間で打ち切りましたが、全然足りなかったぐらい。

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野鳥観察と非日常体験

3日目の朝は、野鳥の生態などを研究している第一人者、新潟ライチョウ研究会の長野康之さんからは、野鳥の生態調査をご一緒させていただきました(野鳥観察は、指導のもと行っています)。

「自然は何の無駄もなく、合理的である」というお話が、個人的には一番ささりました。ビジネス環境では、いろんな無駄が多いから。

このような、価値観が「日常と、非日常とを行き来すること」が、越境学習の学びであることを実感します。

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今回、うれしかったこと、気づいたこと、感じたこと

最後に、今回の研修型ワーケーションで、うれしかったこと、気づいたこと、感じたことなどを。

ボクがワーケーションに関わっていて、一貫して思っているのは「いかに、企業にとって、ビジネスパーソンにとっての価値を創るか」ということと、「できるだけ多くの人が、関われるようにすること」。

なぜなら、企業にとって、ビジネスパーソンにとって「お金を出してでも行きたい」と思えるような価値あってはじめて、ご来訪いただけるのではないかと思うんですよね。

「妙高に行くと、普段できない会話ができる」「普段離れているメンバーとの関係性がよくなる」「心や体が整う」みたいな。会社では実現できない「場」や「機会」を提供すること。そういったことがあってはじめて、ご来訪いただけるのだと思いますし、そういった設計をするのが、地域側の使命だとも思っています。

そういった思いの中で、今回うれしかったのは、「これなら、企業として取り組みやすい」「これなら、家族にもちゃんと話せるし、話したい」という言葉をうかがえたことでした。数日、職場や家を空けるなら、上司や同僚はもちろんですが、パートナーや家族にも、ちゃんと説明できる必要があると思うんですよね。

また、越境学習って、やっぱりおもしろいなーということ。

知識やスキルだったら、オフィスで学んだほうが、断然いいと思います。環境も整っていますしね。でも、今の日本社会のような、成熟したビジネスの現場で、新たな気づきや発見、学びを得るのは難しい。それはそうです。同じ価値観の人たちが、いつもと同じ場に集っていても、なかなか生まれないのは当然のこと。

新たな気づきや発見、学びを得るためには、価値観が揺らぐような、普段とは異なる場が必要。でも、場だけでも足りなくて、そこには、普段触れることのない価値観の交流や、新たな視点で考えられるような「問い」が必要。それが、越境学習なんです。

越境学習について話し出すと長くなるので、今回はこの辺で。越境学習については、改めて書きたいと思います。

なお、繰り返しになりますが、通常の企業研修は、いただいた課題感やご要望に応じて都度組み立てます。同様に、私たちの研修型ワーケーションでは、滞在期間や目的、課題感などから、最適なプランを都度組み立てます。ご要望に合わせてコーディネートしますので、お気軽にお問合せください

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