新しい仕組みや制度は「じんわり作戦」で
こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。
ある中堅企業で働いているAさんの会社では、経営基盤強化のために組織の合併や上長の後退など、大きな組織変更をされるのだそうです。それに伴い、社員の仕事の役割・役職の変更なども生じる予定なのだそうです。
Aさんはあるチームのリーダーをしています。組織が大きく変わろうとしている会社の状況の中で、Aさんは社員の中から、仕事内容や環境の変化、さらなる業務効率化に不安を抱く声が聞こえてきていることを感じ始めていました。
しかし、Aさんの上長はそのことを問題とはみなしていません。Aさんら部下に組織変更の連絡をしたのみで、その後の社員のケアも何もありません。
そして何より、Aさん自身も新しい役職に変わろうとしていました。管理職であるご自身自体が不安。それに加えて社員のメンタル面までケアすることが難しい。何が、新しい仕組みが必要なのではないか……そう感じ始めていたAさんは、この記事をきっかけに、コミュニケーションコンシェルジュプログラムの導入を検討され始めたそうです。
しかし、Aさんは組織のトップではありません。上長にこのプログラムの可能性を提案し、了解を得なければなりません。そこで、管理職や社員の現状を把握しようとアンケートを作成。社員にそのアンケートをメールで送信しようとしたら、ふと、頭の中に
「外部に話をしてどうするの?何が得られるの?」
「なぜ管理職が話しを聴いてもらわなければいけないのか?」
「部下とのコミュニケーションはしっかり取れているから心配ない」
というような言葉が浮かんだそうです。
「周りを上手く説得できるだろうか……」
そう思ったAさんは周りを説得する自信がなくなり、どうしてもメールの送信ボタンが押せなくなってしまったそうです。
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職場の中の「本当の課題」に気がついている敏感な人ほど、新しい仕組みや制度の導入が必要だと考えます。それほど大きな話でなくても、新しい思考ツールやスキルなどを社内に広めたいような場合もあるでしょう。
しかし、聞きなれないことを耳にするとき、多くの人は抵抗感を示すものです。
経営者や経営幹部のような、ある程度の権限を持っている人なら抵抗の声を権限で抑えることもできるかもしれませんが、最初から多くの人の前で新しい仕組みや制度、勉強会などの提案すると、場合によっては、「またあいつ、何か始めるみたいだぞ」のように周りの人から批判を浴びたり、変人扱いたりして、ひょっとしたらかなりハードルが高いと感じられることがあるかもしれません。
そういう時、私は、「まずは、気心の知れた人から始めてみる」ということを勧めることにしています。
たとえば、新しい仕組みの導入が必要だと考えているのなら、まずは自分で勉強してみて、その内容を周りの人に話してみる。それに関する社内勉強会をやってみたいと思ったら、身近な数人から始めてみる。
気心が知れた人ならそんなにストレスもないでしょうし、気軽に始めることができるでしょう。
ボクもサラリーマン時代、チームを変えたいと思っていろんなことをやったタイプです。「これは広めたい!」と意気込んで、大きな声を出したら煙たがられた……なんてこともあります(笑)。
そこで、いきなり大きな声を出すのはやめて、分かってくれそうな人から伝えるようにしていました。分かってくれない人は分かってくれませんでしたが、それでも、分かってくれる人はじんわりと増えて、その結果、全体のレベルが上がった経験があります。
その価値を共有できる人が増えてくれば、周りの人も興味を抱いてくれます。新しい仕組みを導入するときは、そんな「じんわり作戦」がいいのではないかと思っています。
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冒頭のAさんは、まずは、気心が知れた人たちからアンケートをとることから始めることにしたそうです。その結果をもとに次のステップを計画するそう。
一人の力は小さくても、何かを変えれば何かが変わると信じています。