スライドの美しさではなく、思いがどれだけ伝わったか――「おじいさんのプレゼン」で感じた伝わる極意
先日、ある助成事業のプレゼンをしてきました(プレゼンの内容については、また改めて)。
老若男女、11団体が「やりたいこと」のプレゼンをします。
多くの団体がパワーポイントを使ってプレゼンをする中、あるおじいさん――という表現は大先輩に対しては失礼ですが、愛着と尊敬の意味を込めて――は、「そういうのは苦手だから」と言いながらプレゼンを始めます。
スライドがないから、観客はおじいさんを見るしかありません。笑顔、声、なまり、気の利いた冗談・・・正直、上手なプレゼンじゃなかったのですが、思いが伝わってきたというか、何か、おじいさんの話に惹かれていきました。
私のコミュニケーションの師匠である、日本コミュニケーショントレーナー協会の椎名先生は、以前、プレゼンの極意を次のように教えてくれました。
- 伝えるポイントは1つ
- 伝える順は、
- 「過去(今まで何をしてこと、体験、失敗)」
- 「現在(その体験によって何に気づき)」
- 「未来(今後、何を叶えたいのか)」
また、「話す内容を事前に考えたり、覚えようとしたりすると上手く話せない。その時に必要な言葉はその場で出てくるから、それを信頼して・・・」と。
プレゼンと言えば、有名なのがTEDですが、TEDにあるいろんなプレゼンを見ると、ほとんどこの流れです。おじいさんのプレゼンは、まさにこの感じだったのです。
最近、ビジネスの界隈では、プレゼンと言えばパワーポイントのようなスライドを使うのが当然で、「いかにきれいに見せるか」が主流です。中には、動きをつけるのに時間をかける方もいます。しかし、本来のプレゼンとは、スライドの美しさではなく、思いがどれだけ伝わったかだと思います。
ポイントが1つだから分かりやすい。自身の体験や失敗、そこから得た気づき、だからどうしたいのかを自身の言葉で伝えるからこそ聴衆は魅了される・・・。スライドがなくても15分、いや、1時間ぐらいのプレゼンができればいいですよね。