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社会起業やソーシャルビジネスという言葉の前に大切なこと

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私は、新潟県の「新しい公共」支援事業の運営委員をしています。そこで、さまざまな事業テーマを目にします。「新しい公共」というだけに社会的な課題や問題を解決する事業も多く、今日もモデル事業の選定に関わっていたところです。

そういえば、最近、「社会起業」や「ソーシャルビジネス」という言葉をよく耳にしますよね。

社会起業やソーシャルビジネスという言葉を聞いて、

「社会起業やソーシャルビジネスをすることが目的化していないか」
「大きなテーマを言葉にする前に、身の回りでできることがたくさんあるんじゃないか」

ということを、なんとなく感じます。

私の知人に社会福祉法人を経営している方がいます。彼は社会福祉法人を経営する前、身の回りのことで「これっておかしいんじゃないか?」と思ったことがあったそうです。行政に働きかけてみたけれど取り合ってくれない。そこで、彼は知人を集めてその問題を解決するための活動を始めます。結果的に任意団体から法人化をすることになり、社会からも認められるようになったと言います。

彼は最近、社会起業家と言われるそうです。けれども彼は「社会起業家と呼ばれるのがイヤだ」と言っていました。なぜなら、彼は「社会起業家になろうとしてなった」のではなく、「結果として社会起業家と言われるようになった」からです。

では、知人が営む社会福祉法人のホームページに、社会的なことが書かれていないかというと、そんなことはありません。社会的な問題を解決したいというすばらしい思いが書かれています。けれどもそれは、「目の前にある課題を解決するために動いてきた結果、そうなった」のであって、最初から社会起業やソーシャルビジネスをすることが目的ではなかったのです。

社会起業やソーシャルビジネスでは、「絆」「心」「命」「自然やふるさとを愛する」「世代を超えた」「行政と住民の」「住民が支える」「地域活性化」というような、高度に抽象化された言葉が使われます。社会的な課題に気づけることはすばらしいことで、「もっと良くしたい」という思いから生まれた言葉はとても美しく、大切です。

一方、それらのメッセージの中には、「社会起業やソーシャルビジネスが流行っているから、そのテーマに取り組もうとしている」ように感じるものもあるのが実際です。本当の意味でのソーシャルビジネスとは、ソーシャルビジネスを「する」のではなく、目の前の課題に取り組んだ結果、社会的に価値のあるビジネスに「なる」ことなんじゃないかな。

また、「社会的な事業」や「ソーシャル」という言葉を使う前に、できることがたくさんあるんじゃないかと思うんです。絆や心が大切だと思うのなら、積極的にあいさつをすることもできるでしょうし、地域の活動に参加することもできます。社内で問題になっていることに関わってみることもできるでしょうし、仲間を集めてワークショップを企画し、運営してみることもできます。その成果を、ブログなどを通じて情報発信することもできます。身の回りの課題は大きなところから落とし込むというよりも「一人ひとりの行動」によって解決していくものだと思うんです。

社会起業やソーシャルビジネスとは特別なことではなくて、目の前にある「分かっちゃいるけど、なかなかできないこと」を、小さな行動を通じて解決していくことが大事なんじゃないかと思っています。

Comment(2)

コメント

竹内さん、こんにちは!
僕は、基本的にどの起業も「社会起業」だと考えています。
世の中に、誰かに役立つことをすることが社会起業であり、世の中に役立たない会社は淘汰されてしまうから、なんですよね。
※ご参考:ソフィアバンク(田坂広志社長)主催社会起業家フォーラム(http://www.jsef.jp/about/)

社会起業家≒ボランティアと考える人が多いようですが、きちんと世の中に役立つのであれば、社会起業家であってよい、と思っています。
ただ、それが「ああ、あの人偉いよねえ」みたいになってしまうと、その方のように「そう呼ばれたくない」となってしまうのかも知れませんね。僕もそうですが、「偉い」なんて言ってもらいたいわけではありませんし。

マズローの4段階から見ると、5段階は別の世界なのかも、なあんて、拝読しながら思い浮かべた次第です。

ookiさん、コメントありがとうございます!

> 基本的にどの起業も「社会起業」だと考えています。
そうそう、「あえて」社会起業することはないのですよね。目的を達成するためには、どんな形をとっても最終的には同じところにたどり着きますよね。

一方、さまざまな事業案件に触れてみると「社会的な課題は分かるし心意気もすばらしいけれど、これで課題が解決できるのかなぁ」と感じるものも、実際には多いです。

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