「真の目的」を引き出すヒアリング法
こんにちは、竹内義晴です。
私は、コーチとして、コンサルタントとして関わらせていただく際、物事の「目的」を見出すことをとても大切にしています。なぜなら、目の前の課題を解決するためには手段も大事ですが、目的を明確にすることで、「そうだ、○○(目的)を解決するために、今、この課題をやり遂げなければならないんだよね」という「行動の動機付け」につながるからです。
経験豊富な方ほど目的の大切さをよくご存知です。そこで、スタッフに「もっと目的を考えて欲しい」と指導する、お客さんに「その目的は何でしょうか?」とヒアリングすることもあるでしょう。
けれども、「その目的は?」と問いかけてみても、なんとなくピントがずれているような答えしか返ってこなくて、真の課題や目的が分からないということも多いものです。
そこで今日は、目的を考えてもらう時の接し方についてお話します。
■「その目的は?」と言われても、なかなか考えられない理由
私の意見では、「その目的は?」という問いは、問われた側はなかなか考えづらいのではないかと思っています。なぜなら、「目的」は、普段の生活では考えることが少ないし、目的が一体何なのかイメージとして沸きにくいからです。
■食事の目的は何?
たとえば、食事について考えてみます。食事は日常の営みで、おなかが空いたら食べる、時間がきたら食べるというのが一般的で、改めて食事の目的を考えることはまずありません。
ここで、「食事の目的は?」と問われても、あまりに日常すぎるので考えが思いつかず、「生命の維持」のような、日常の食事とはちょっとピントがずれた考えが浮かびがちです。
■イメージしやすい言葉に変えて問いかけてみる
目的とは、言い換えれば、「手段を行動に移した結果、どうなれるのか」ということ。
「目的は?」と直接的に問われると、なかなか考えが浮かびませんが、少し言葉を変えて
「食事をすることで何が得られる?」
「食事をすると、その結果どうなるの?」
「食事をすることで、どんな風にハッピーになれる?」
のようにしてみるとどうでしょうか?
「おなかが満たされる」
「満腹感で幸せな気分になれる」
「食事をしながら友達との会話するのがはずむ」
「料理を作ること自体が好き」
など、「目的は?」と直接的に問われるよりも、考えがが浮かびやすいです。
そのほか
「食事をする意味は?」
「食事をする価値は?」
「食事をするメリットは?」
もいい問いかけ例です。
このように、「ピントが合った目的」を引き出すためには、「イメージしやすい言葉で問いかける」というのが大切なポイントです。
このブログをご覧の方は、IT業界の方も多いと思いますが、「ITは、目的ではなく手段である」という言葉をよく耳にしますよね。
業務のシステム化は、システム化することが目的ではなく、業務を効率化することが目的ですし、ソーシャルメディアを活用するのは、ソーシャルメディアを使いこなすのが目的ではなく、「顧客との密接なコミュニケーション」「セルフブランディング」など、ソーシャルメディアを活用することによって実現する、なんらかの目的があるはずです。
手段に目を向けることで、目的が解決する場合もあるかもしれませんが、目的を解決するためには、目的が明確なほうが断然解決しやすいもの。
周りのスタッフやお客さんから「真の目的」を引き出したいのなら、直接「目的は?」と問いかけるのもいいですが、少し言葉を変えて、
「○○することで何が得られる?」
「○○をすると、その結果どうなるの?」
「○○することで、どんな風にハッピーになれる?」
など、イメージしやすい言葉を選んで、問いかけてみてください。