NPOが事業化するために助成金を受けるポイントとは?―トヨタ財団の助成金説明会
昨日、長野市のエムウェーブ(長野冬季オリンピックのスピードスケート会場)で開かれたトヨタ財団さんの地域社会プログラムの説明会に参加してきました。
参加した理由は、先日、設立申請をしたNPO法人しごとのみらいのスタートアップ資金に助成金を有効利用しようと思ったからです。
しごとのみらいの設立認証申請は、新潟県のサイトで公告されています。
設立の目的は、
労働者一人ひとりが、自分の心や気持ちを大切にし、仕事へのやる気と喜びを得られる環境作りを支援することにより、仕事を「ツライもの」から「楽しいもの」に変え、やりがいと生きがいを持って働ける社会を創造することを目的とする。
です。
■助成金について
みなさん、助成金とはどのようなものかご存知ですか?
株式会社を設立するときは、スタートアップの資金のために個人の資産を出したり、銀行から融資を受けますよね?
助成金とは、助成財団や民間企業、行政の外郭団体などによって提供される、原則として返済する必要のない資金です。
NPO法人を設立してみて気がついたのですが、営利目的ではないので、設立の代表者が多額の資金を提供するという感じではなく、設立の目的に賛同した方が少しずつ資金を持ち寄る感じです。
そうかといって、個人が持ち寄る資金には限りがあります。1つのプロジェクトを動かしていくためには資金も必要なので、NPO法人という形でのスタートアップには、助成金は有効な手段です。
助成金を受けるためには、申請を行い、審査を通じて助成団体から認めていただく必要があります。申請する内容は、事業のビジョンや、具体的な事業内容、プロジェクトメンバーの構成、他の組織とどう連携していくのか、資金繰り、継続の可能性などを計画書の中に盛り込みます。それはまるで、株式会社での事業計画となんら変わりはありません。
■助成金申請におけるこれまでの失敗
実はこれまで、2つの団体の助成金を申請してきました。けれども、どの申請も審査を通過することが叶いませんでした(涙)。
ポストに入っている助成団体の名前書かれた封筒。ドキドキしながら封筒を開け、中に入っている紙を開きます。その紙に「審査不通過」と書かれている度に、悔しい思いをしてきました。
目的を中心に申請書を書けば抽象的になり、具体策を中心に申請書を書けばビジョンがぼやけます。「どこがポイントで、どのように書いたらいいのだろう」――悔しい気持ちを思い出しながら、最近、悩んでいたのでした。
申請書を作るにも、きっとポイントがあるはず。どのように書面を作ればいいのかポイントを知りたく、今回の説明会に参加したのでした。
■トヨタ財団さんの助成金説明会
最初に、トヨタ財団さんから助成金についての説明がありました。
トヨタ財団さんの「地域社会プログラム」とは、
基本テーマ「地域に根ざした仕組みづくり―自立と共生の新たな地域社会をめざして」のもと、地域に生きる人びとが主体となり、地域社会の再生・振興に向けて、その課題を解決する「仕組み」の形成に繋がる、意欲的なプロジェクトを支援します。
(トヨタ財団さんのホームページから引用)
というものです。
そのポイントとは、
- 「広がり」&情報発信
偏らないメンバー構成と、誰もがわかりやすい情報発信の意欲、ノウハウのこと - 「プロジェクト形式」
1~2年の、無理のない具体的な短期目標で、実際に行動し、結果を積み重ねられるか - 「中長期的なビジョン」
中長期的な視点での「仕組みづくり」
ということでした。
『「広がり」&情報発信』は、ブログやメールマガジンなど、これまで行ってきたノウハウがあるのでうまく表現できそうです。メンバー構成については、しごとのみらいに関わっていただいた方だけではなく、行政や、他のNPO団体との連携も視野に入れる必要がありそうです。
『プロジェクト形式』と『中長期的なビジョン』・・・これまでも申請書類を書いてきて、ここが悩んでいた部分でした。文章では限りがあるので、図を多用して、誰もが見てもシンプルでわかりやすい申請書にする必要があると感じました。
トヨタ財団さんの説明の後は、これまで助成を受けた幾つかの団体のみなさまが、ディスカッションする時間をもうけてくださいました、申請に当たり、なにがポイントだったかをお伺いすることができました。
■説明会が終わって、個別相談に
個別相談では10分程度のお時間をいただき、トヨタ財団のご担当者さんと直接対話をすることができました。
「プロジェクトと地域との関係性」
「申請書類にはどこまで具体的に表現したらいいのか」
「自己資金と助成金」
などなど、疑問に思っていたことを素直にぶつけたところ、具体的に教えていただくことができました。分からないところはそのままにせず、直接対話することって、大事ですね。
また、申請の際のポイントをお伺いすることで、「今までの2回の申請は、なぜうまく行かなかったのか」という理由が分かったような気がしました。助成団体のみなさまが最初に目にするのは申請書だけ。思いや具体策をいかにわかりやすく表現するかがポイントだと思いました。文字を羅列するよりも、図を用いて視覚的に分かりやすくするのも重要ですね。
■最後に
今回初めて助成金の説明会に参加して、直接話を聞くことの意義を改めて感じました。書面の言葉だけでは伝わってこない「思い」を知ることって大事ですね。
銀行の融資と違い、助成金は「お金を貸せばいい」というわけではありません。資金を提供してくださる側にも思いと、私たちの思いの関係性を明確にすることも大切だと思いました。トヨタ財団さんは「私たちの思いを実現するパートナーを探している」ということを強調されていました。
最後に、この説明会を主催していただきましたNPO法人 CO2バンク推進機構さま、貴重な機会をいただくことができました。どうもありがとうございました。