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「30分以内に返信しないと相手を嫌っていることになる」―子供と親の欠乏感

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先日、テレビで「小中学生の携帯メールの悩み」に関する放映がされていました。

「30分以内に返事を出さないと相手を嫌っていることになる」ということになるらしく、「30分ルール」と呼ばれているのだとか。1日に数百件のメールをやりとりし、食事中でもお風呂でも、いつでもどこでも携帯がないと不安で仕方がないのだそうです。

私自身、携帯のメールに限らず、送ったメールに返信がないと「見てくれたかな?」と思いますし、子供達の気持ちが分からないわけではありませんが、さすがに驚きました。

このような場合、「携帯メールは1日1時間以内」「子供の本業は勉強だ。だから、携帯なんて必要ない」「子供らしく、もっと外で遊んだほうがいい」というような議論になりがちです。だから、子供に携帯を持たせてはならないと。学校への持ち込みを禁止しようと。

確かにそれも、一つの手段なのかもしれません。

けれども、「本当にそれで、問題は解決するのかな?」とも思うのです。

なぜなら、問題の本質は、携帯を持っていることではなく、『「30分以内に返事を出さないと相手を嫌っていることになる」と思ってしまう』ことだからです。そう、「不安になる」ことだから。不安に思わなければ、30分以内に返事もしないし、食事中やお風呂の時間まで携帯でメールをする必要はなくなってきます。

「携帯を持つか、持たないか」ということについては、さまざまな意見がおありかと思います(個人的には、子供に携帯は必要ないと思っていますが・・・)。もちろん、必要のないものを学校に持っていくことはいいことだと思いませんが、ここでは携帯を持つことの是非ではなく、「不安になる」ということにフォーカスしたいと思います。

なぜ、30分以内にメールをしないと不安になるのか・・・

「嫌われちゃうんじゃないか」
「友だちじゃなくなっちゃうんじゃないか」

ひょっとしたら、何かしらの欠乏感が、子供達に不安感を抱かせるのかもしれません。

満たされていないのは、安心感?愛情?・・・それが一体何かはわかりません。けれども、大切なのは、携帯を持つことの是非ではなく、欠乏感や不安感を満たしてあげることのはず。

子供達に長時間携帯メールをさせたくないのなら、「携帯をもっちゃだめ」というのも1つの手段ですが、「すぐに返信しないと、友だちに嫌われると思っちゃうんだね。どんなことがあっても、お父さんとお母さんが守ってあげるから大丈夫だよ」と両親が抱きしめてあげることも1つの手段なのかもしれません。

ひょっとしたら、「なぜ、30分以内にメールを返さないと嫌われてると思っちゃうんだろう?」というのをテーマに、クラス内でワークショップをひらくことで、「すぐに返信しなくても嫌われるわけじゃない」ということを子供達が気づき、みんなで共有できるかもしれません。

社会に閉塞感がある今、私たち親世代も、なんとなく不安を持っているという方も多いと思います。親世代の不安感を、子供達もなんとなく受け取っているのかもしれません。それならば、まず、満たされていない親世代の欠乏感を満たすことも、必要なのかもしれません。

夫婦間や地域のみなさんとコミュニケーションを取ること、私たちが毎日を楽しく過ごすこと。そのために何かを始めること・・・。

携帯でメールを何百通もするという「結果」に目を奪われがちですが、いくら「結果」を潰しても、「原因」が解決しないと、別のところに現れてくるでしょう。「原因」が変われば、「結果」はおのずと変わってきます。「原因」への対処が今、求められているのかもしれません。

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