農耕民族ならではの「仕事の楽しみ方」
先日、畑の草取りをしました。
雑草で覆われた畑を見ていると、その面倒臭さにやる気が起きませんでしたが、畑を荒らしておくわけにも行きません。「よし、やろう!」――ある種の決意をして、しぶしぶ草をむしり始めました。草むしりほど、単調で退屈な仕事はありません。
ただ黙々と草をむしります。しばらくして立ち上がってみると、自分がむしった一角がきれいになっていることに気づきました。「あっ、ちょっときれいになった。うれしい」――そんな気持ちが湧き上がります。そこで、もう少しがんばってみることにしました。すると、もう少しきれいになり、嬉しくなりました。
畑の半分ほど過ぎると、草をとる面倒くささよりも、畑がきれいになっていくことのほうがうれしくなり、草むしりが楽しくなってきました。
「もう、これぐらいでやめよう。でも、もう少しだけ……」楽しいので、手を止めるほうが難しい。
最初は面倒くさかったはずの草むしりの中には、無心になれ、意外と集中でき、ストレス発散にも役立つことに気づきました。また、「仕事の楽しさを味わうには、達成感や進ちょく感が必要なのだ!」という、「仕事の楽しさのコンセプト」があることに気づきました。
昨今、「目標を持つことが大切だ」「成功をイメージすればやる気が出る」など、自己啓発書やビジネスシーンを中心に、たくさんの情報が流れています。
もちろん、目標を持つことはとても大切なことですが、目標を持つことに意識を向けるあまり、目標を探しはじめ、なかなか見つからない目標に「目標を持てないわたしって、ダメな人間なのかな」と、自己嫌悪に陥っている方もいらっしゃるかもしれません。
海外の狩猟民族には、獲物(目標:ターゲット)を決めて、打ち落とすという思考は、やる気に繋がるのかもしれません。ですが、作物が成長には、長い期間が必要です。農耕民族のわたしたち日本人には、目標よりも、とにかくやり始めて、少し進んだ達成感や進ちょく感を味わうほうが、やる気に繋がるのではないかと思ったのでした。