NPO法人しごとのみらい(仮)―事業計画
新しく作りたいNPOのお話をしています。NPOの目的は
- 10年後、仕事を「ツライもの」から「楽しいもの」に変えたい
- 子どもたちが「お父さん・お母さんのように早く働きたい!」と思える社会にしたい
です。
今日は、事業計画についてのお話です。
事業計画なんていうと、なんだか堅苦しくなってしまうのですけど、10年後、仕事を「ツライもの」から「楽しいもの」に変えるためには、何が必要なんだろう?僕たちにできることはなんだろう?……ってなことを「心を動かすカウンセラー なぎちゃん」と考えました。
では、これからは会話形式でお楽しみください。「竹」はわたくし、「な」はなぎちゃんの会話です。
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竹:「あのさ~、これから法人を設立した後の事業について考えてみたいんだけど、NPOの趣旨から考えて、今必要なことをざっくり考えてみると、『保健』『若年層教育』『スキルアップ』の視点が必要だと思うんだよね」。『保健』はマイナスからゼロに戻す仕組み、『若年層教育』はスタートを切る前の底上げ、『スキルアップ』はゼロからプラスに変えて、もっとワクワクしていく取り組みなんだけどね。」
■「保健」について
な:「『保健』っていうのは、いわゆるメンタルヘルスのことだよね。私が、心理カウンセラーの道を選択した理由の1つは、『職場の仲間を助けたい』だったの。人間関係や仕事に悩んで、休職するということも選択できないほど追い込まれて、30代40代で辞めていった仲間。がんばっているのに、仕事が進まず、残業残業の毎日の中で、うつ状態になって、それでも薬を飲みながら仕事を続けている仲間。そんな仲間を見ていて、『辞めるまで追い込まれる前に、病院に行って薬を飲む前に、何かできることはないか』って考えたからなんだよね」
竹:「そうだよね。病院に行く前にできることがたくさんあると思う。もっと話を聞いてあげることとかね。誰かに悩みを『話す』だけで、内に抱えているものを『放す』からね。じゃあ、『保健』の視点を『個人』『地域』『社会』の3つに分けて考えてみよう。『個人』には、職場を離れて、もっと気軽に相談できる場が必要だと思うんだよね。それから、『地域』についてだけど、これはワークショップみたいなものがあればいいんじゃないかな。この間から始めたワクワクワークショップのようなものでいいと思う。あと『社会』という視点では、今までボクがやってきたような、ブログやメールマガジンを使った情報発信を継続することで、いいんじゃないかな」
な:「そういえば、妙高市では『森林セラピー基地「妙高の癒しの森」』という企画があるけれど、これに関連づけることはできないかな?」
竹:「そうだね。自然の中で体を癒し、カウンセリングで心を癒すなんていう企画もいいかもしれないね。ところで、この企画は、妙高市にとっては観光の目的が大きいと思うけど、僕たちが目指していることの関連性はどうなんだろう?」
な:「観光とはあまり関係ないね。でも、これからの活動を広げていくために、市に存在を知ってもらうのはどう?」
竹:「それはいいアイデアだね。じゃあ、市にお願いして、ワークショップを市から後援してもらうようにお願いしてみよう。そうすれば、プロモーションもしやすいよね。」
■「若年層教育」について
竹:「次に、若年層教育についてなんだけど、『教育』っていうとちょっと偉そうに聞こえるかもしれないけど、この間、ブログである記事を書いたら、大学生の方から『みんな仕事に悲観的』というコメントをもらってショックだったんだよね。確かに、仕事にはツライこともたくさんあるけど、スキルを磨いたときの自信とか、お客さんからありがとうって言われたときのよろこびとか、ちょっと成長できたと感じられたときのうれしさとか、楽しい側面もいろいろとあると思うんだよね。そういう楽しさを、もっと伝えていく必要があると思っているんだ。」
な:「若年層っていうと、どのぐらいの年齢層なんだろう?」
竹:「そうだね。就職前でもいいし、就職した後でもいい。就職した後なら、会社に入って3年後ぐらいまで。大学を出て3年後というと、25歳ぐらいまでって感じじゃない?」
な:「その人たちに、仕事の楽しさを伝えていくって、何をしたらいいんだろう?」
竹:「ボクの意見では、仕事を楽しんでいる人たちにインタビューして、『何をしてきたら仕事を楽しめるようになったのか?……』そのプロセスや仕事の楽しさ、生きがいを収録して、若い世代の人たちに聴いてもらえばいいんじゃないかと考えているんだ。ネットでダウンロードできるようにするか、CDで販売する。若年層向けだから、価格設定はそれほど高くせずに、音楽のCDを買うノリで購入できるようにする。法人を運営するための資金にもなるんじゃないかな。」
な:「問題は、誰にインタビューするか…かな?」
竹:「そうだね。でも、あまり話が立派すぎても『私はあの人とはレベルが違う』になっちゃうし、それほど著名な人でなくてもいいような気がする。『ちょっと頑張ればできる』ぐらいがいいんじゃないかな。何人か、仕事を楽しんでいる知り合いがいるから、まずはその人に聞いてみよう。あとは、紹介、紹介……でうまく行かないだろうか?」
な:「まずは動いてみることが大切かもね。収録なら、今すぐにでもできそう」
■「スキルアップ」について
竹:「次に、スキルアップ。これは、『企業』と『個人』で分けて考えてみようか。まず、『企業』についてだけれど、ボクの中のイメージでは、企業での講演や研修を考えているんだ。職場の問題は、まず職場から。職場の経営層、リーダー層に変化が起きることで、会社に属している社員のみなさんにも変化が起きていくと思う。」
な:「たとえば、どんな研修や講演が必要なんだろう?」
竹:「そうだね。主にコミュニケーションスキルが大事だと思う。いま、多くの職場で起きている問題の多くは『相談相手がいない』『話を聴いてくれる人がいない』からだと思う。リーダー層がもっと部下の話を聞くことができれば、そこに癒しが起きるし、分かってくれる人がいるだけで安心できる。仲間がいたり、安心できる空間があれば、仕事自体は多少厳しくても、それは負担ではなく成長の機会に変わる。」
な:「抱え込むから、負担になっちゃうんだよね。それを放すことができる環境が必要だと……」
竹:「そう。まず、リーダー層が自分の部下ともっとコミュニケーションを取る。それでも、問題解決が難しいと感じたら、ボクらのようなカウンセリングができる人が話を聞くこともできる。職場では話せないけど、第三者なら話せるってこともある。そこで、企業とこのNPOとのつながりも生まれる。」
な:「なるほど。リーダー層のスキルアップって意味ね。『企業』の視点はそれでいいとして、『個人』の視点ではどう?」
竹:「ボクの意見では、やる気は、自分が考えたことを、自分のできる範囲で実際にやってみて、それがカタチになってくることで『やる気を出そう』と思わなくても、自然と芽生えてくるものだと思う。でも、実際の職場で働く人たちにとって、本当は職場でやりたいことがあるんだけど、なかなか自分のやりたいことが叶わないという人がたくさんいると思う。そこで、『やりたいことがあるけど、職場ではできない』人たちが集まり、『こんなことができたら楽しいんじゃないか』というような、事業を組み立てていく場みたいなものがあれば、そこに集って、仲間とアイデアを出したり、議論したりすることで勉強にもなると思ってる。そして、その事業は実際にやってみる。テストしてみる。それで上手く行けば起業を考えたっていいし、うまく行かなければそれでもいい。職場以外で学ぶ場、やる気が出る場があれば、それは必然的に今の自分の仕事にも役立ち、結果を出すことにもつながると思う。会社で、事業にならないことをやってみるという機会はなかなかない。でも、自分の考えをカタチにしていくことを学ぶことで、仕事へのやりがいも出てくるんじゃないかと思う。職場ではできないことを、外の仲間と集って何かを生み出す。つまり、『バーチャルな職場』のような集いができればいいんじゃないかな~と思っているんだ。これは、決して『会社を辞めなさい』ということを言いたいわけじゃない。むしろ、このような場があることで、本業の結果につながればいいな~と思うんだよね。」
な:「それには、意識の高さが必要そうだね。」
竹:「そう、そこが大事なところだと思う。ただ集まって『教えてください』『与えてください』っていう場では、『勉強になりました。ありがとうございました』で終わっちゃうし、あまり意味がないからね。『自分達で考える』ということが必要だよね。この事業はとても重要だと思うけど、もう少し練ったほうがいいかもね。優先順位は、もう少し先でもいいのかもね。」
な:「じゃあ、来期の事業に入れておこうか。」
■「情報について」
な:「ところで……、研修をしたり、講演をしたりするには、企業との出会いがなければいけないよね。そこはどうしたらいいんだろう。」
竹:「そうだよね。そこが問題だよね。ボクもこれまで仕事を進めてきて、顧客と出会うのがすごく大変だった。『おねがいします』と頭を下げただけでは出会いには繋がらない。企業へ有益な情報を提供することが必要だと思うんだ。そこで、今、働く人が抱えている実態を調査してみてはどうだろう?たとえば、職場におけるメンタルヘルスや、仕事のやりがい、苦しさ、楽しさを、社会的にはどんな現状なのかを調べてみてはどうだろう。企業に対して、アンケートに協力をお願いする。その結果を元に、問題を解決するための対応やヒントを、レポートを作成して協力していただいたお礼に配布する。それを出会いのきっかけにしてみてはどうだろう?」
な:「企業との出会いという意味でも調査は大切なことだけど、実態を知ることって、すごく重要なんじゃない?実態が分かれば、まず、何をするべきなのかも分かるし、それをメディアなんかに発信することで、わたし達の存在も知ってもらえることになるかもしれないね。」
竹:「それはいいアイデアだね。じゃあ、実態調査を優先順位の一番に上げよう。どれだけの回答数が得られるか不安だけど……そうだ!メールマガジンで数千~数万のリストを持っている仲間が何人かいるから、目的を説明して、アンケートの協力をお願いしてみよう。後は、いま連載しているITmediaさんにも協力していただけるか聞いてみるよ。他には、くびき野NPOサポートセンターの企業会員さんにお願いすれば、生の声も得られるかもしれない。ブログにも書いて呼びかけよう。ツイッターでもつぶやいてみよう。どれだけの声が集まるか分からないけど、やれるだけはやってみよう。」
な:「できることしかできないけど、できそうなことはあるね。今、本当にどんな実態なのか、私達も知りたいもんね。それが分かれば、今後の事業もひょっとしたら変わってくるかもしれない。」
■まとめ
このような話し合いの中で、ホワイトボード上はこんな感じにまとまっていました。
■事業名:職場における悩みや問題解決、メンタルヘルスに関わる事業
- やる気・メンタルヘルス実態調査
やる気やメンタルヘルスに関する現状を調査し、結果及び、問題解決のためのレポートを作成し、配布する。 - 「仕事がツライ」を「ワクワク」に変える相談会
職場で問題を抱えている方と直接対話し、問題を解決する - カウンセリング
気軽に話せる場を提供し、労働者のメンタル的な負荷を減らし、精神的疾病を予防する
■事業名:若年層の「仕事」「働くこと」への意識を高める事業
- 仕事を楽しんでいる方々へのインタビュー
現在、仕事を楽しんで行っている方にインタビューを行い、CD化する
■事業名:リーダー層の職場改善力を向上する事業
- 企業研修・講演
企業における職場環境改善の啓発と、リーダー層の意識アップ、スキルアップのための企業研修・講演を行う
■事業名:働く人々がスキルアップ、ビジネスチャンスを創造する事業
- 気づきワークショップ
異職場の方が集い、意見交換を行い、スキルアップや新たな事業案をプレゼンし、ビジネスチャンスを創造する - コーチング
経営者やリーダー層が掲げた目標を達成するためのサポートを行う
■事業名:インターネットを通じた情報発信、啓蒙事業
- インターネットを通じた情報発信
メンタルヘルス、若年層への啓蒙、リーダー層の職場改善、スキルアップ等の情報を、インターネットを活用して発信する
すいぶんと長くなってしまいました(苦笑)。今日はこの辺で。