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「話を聞いてもらっているのに、聞いてもらっている感じがしない」のはなぜ?

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先日、知人に興味深い話を聞きました。「話を聞いてもらったのに、聞いてもらっている感じがしなかった。むしろ、違和感を覚える変な体験だった。」と言います。

「どんな違和感を覚えたの?」と聞くと、「何か表面的で、心がこもっているような感じがしない」と言います。でも、相手は自分の意見は言わずに、話自体は聞いてくれたのだそうです。

知人は続けて、「今気づいたんだけど、相手の人は、『○○さんは△△だと思っているんですね。わたしは□□だと思っているんです』とか、私の言うことを繰り返すような言い方をしていたな。そういえば、以前『話の聞き方』みたいな本で読んだことがある。あ~、それだ。それに違和感を覚えたんだ」とも。

その後、「確かに話を聞いてもらったし、本に書かれていたことをやっているようにも思うけど、聞いてもらった感じがしないのって不思議。どうして?」と聞かれたので、わたしはこう答えました。「表面的には聞いていたのかもしれないけど、実際、聞き手の方が、○○さん(知人の名前です)の話を聞いていなかったんじゃないかな」。

コミュニケーションというのは面白いもので、言葉だけではなく、言葉以外の情報も相手に伝わります。表情もその1つですし、「なんとなく」というような雰囲気もその1つです。無意識の情報として、たくさんの情報が相手にも伝わってしまうようです。

わたしのこれまでの経験では、いくら「話の聞き方」をまねても、意識が自分に向いているか、相手に向いているか(つまり、相手の話を聞こうとしているか)によって、相手の反応は全然違うように感じています。たとえば、スキルを身につけようと思い、スキルの使い方ばかり(つまり、自分)に意識が向いているときには、相手の話に意識を向けることができません。また、スキルを使って「相手を思い通りに動かしてやろう」というような思いが強いときも、意識は自分の方に向いています。その結果、相手は「聞いてもらった」という感じを抱けず、会話は表面的になってしまうようです。

「相手に意識を向けて話を聞く」と言っても、最初はなかなか難しいことなのかもしれません。繰り返し話を聞くことで余裕が生まれ、意識を向けられるようになってきます。

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