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コミュニケーションのトレーナーが、社員研修を他の講師に依頼する時に重視して欲しい8つのポイント

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「社内がなんとなくギスギスしている」「もう少しやる気を持って仕事をして欲しい」「社員に自ら気づいて欲しい」「最近、落ち込んでいる人やメンタル的な不調を訴える社員が多い」などの理由から、コミュニケーションやコーチングの研修を社内に取り入れようとお考えの方、いらっしゃいませんか?

コミュニケーション系の研修は鉛筆の削り方を教えるわけではないので、その効果をなかなか確認しづらい一面がありますね。「効果が分からないんじゃ、なかなか投資まで踏み込めない。でも、何とかしたい・・・」と、迷われているリーダー層、もしくは人事の方も多いのではないでしょうか?

私には、ビジネスコーチやコミュニケーション心理学のトレーナーという側面がありますが、サービスを提供する側から発する情報は「○○に効果がありますよ」という、提供者側の視点が多いものです。

そこで、「もし、私が数十人の社員を抱える経営者、またはリーダーで、海外赴任などの事情で自分自身がスタッフにコミュニケーションを教えることができなくなってしまい、他の企業、または講師にコミュニケーションやコーチングの研修を依頼するとしたら、どんな点を重視するだろう?」ということを考えてみました。

■1:基本を重視している

コミュニケーションのスキルの基本はとてもシンプルです。たくさんの難しいスキルよりも、シンプルな基本を繰り返し練習することによって上手になるので、講師には、基本を重視して欲しいと思います。

基本的なスキルを上げるなら・・・

この4つは、パターンを変えて、繰り返し社員に練習する機会を作って欲しいと思います。

■2:「話の聞く」ことに十分時間が割かれている

社員は、日々の業務でストレスを抱えていることもあるでしょう。気持ちがマイナスの状態にあると、やる気どころではありません。「社員同士、お互いが仲間の話を聞きあえる」職場にしたいと思います。そこで、「話を聞く」ことに十分時間を割いてくれるカリキュラムだといいなと思います。私もそうですが、話を聞いてもらうだけで気持ちは楽になりますからね。

コーチングは「質問型のコミュニケーション」と言われることがありますが、その前提として話が聞けることがとても大切なので、講師には重視して欲しいなと思います。また、無理に問い掛けて「気づかせ」なくても、自分の思いを言葉にするだけで気づくこともたくさんありますからね。

■3:診断ツールを「教えない」

「コーチングって、タイプで分けるヤツでしょ?」……今も聞かれる声です。タイプに分析して、タイプごとにコミュニケーションの方法を切り替えるというスキルは、論理的で納得感もあり、とても面白い考え方ですが、相手のタイプを瞬時に見分けるのはほぼ不可能です。

大切なのは、相手に寄り添いながら、問題が解決するようにリードしてくこと。上に示した3つの基本が分かれば大丈夫なので、自社の社員に講師を依頼するとしたら、タイプの分け方ではなく、シンプルな基本を教えることに時間を使って欲しいなと思います。

■4:スキルだけではなく、事例なども話してくれる

以前、研修でスキルを教えることはできるけれど、自分でそれをやっていない、使ったことがないという講師に出会いました。大切な社員を任せるなら、講師が現場で悩んでいたことや、困っていたこと、どんなことに気づき、どうやって乗り越えたかなどの事例を話して欲しいなと思います。

「やり方(スキル)」に加え、講師が実務の中で培った「あり方(関わり方)」も教えて欲しいですね。

あり方を教えることができるかを知るために、事前に講師の経歴を調べたり、「なぜ、そのカリキュラムが大切だと思うのか」など、話を聞いたりするかもしれませんね。

これを書きながら思いましたが、私個人的には、現場重視で資格はあまり気にしないかもしれません。もちろん資格はあったほうがいいですが、私自身、資格と取ってから学んだことのほうが多いので。

■5:ワークで社員に「感じて」欲しい

講演会ではないので、「分かる」だけではなく、社員には実際に体験し、「感じて」欲しいと思います。繰り返しになりますが、コミュニケーションスキルの基本はシンプルなので、講師にはワーク重視で体験型の研修にして欲しいと思います。

■6:固定されたカリキュラムがない

私が大切な社員を任せる側なら、事前にヒアリングをしてもらい、自分自身が抱えている悩みや問題、社員をどうしていきたいのか?というような思い、予算や避ける時間を聞いて欲しいと思うんですね。その上で、両者が納得した上で進めたいと思います。

固定されたカリキュラムがないというのは、「この場合はこれ」というような、すでに決まったものを単純に当てはめるだけでは嫌だなという思いが含まれています。

■7:研修中の変化を教えて欲しい

アンケートでもいいのでしょうけれど、研修の中で、社員の中にどのような気づきや変化があったか、研修後に教えて欲しいと思います。これだけでも、研修の効果を感じることができるのではないかと思います。

■8:講師の思い

「なぜ、この仕事をしているの?」と、聞いてみたいですね。大切な社員を預けるのなら。

自分がコミュニケーションに関わる研修を他の講師にお願いするなら、このあたりのポイントを押さえたいと思います。

これを書き終わって改めて思うことは、コミュニケーションの研修なので、まず、自分自身と講師の中でコミュニケーションを取り、ヒアリングで思いを聞いて欲しい。その思いを共有した上でカリキュラムを作ってもらい、社員が、「会話って大切だな」と感じる研修にして欲しいなと思います。

以上、みなさんがコミュニケーションの研修を講師に依頼する際の参考にしていただければ幸いです。

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