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意識的に褒めるのはよくないことなのか?

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ITmediaエンタープライズにビジネスマンの不死身力:あなたの一言で職場は変わるという記事を掲載していただきました。いつもありがとうございます。

「褒める」なんて、以前から言われつくされていることなので「今さら?」という感じを抱かれているかたもいらっしゃることでしょう。もっと効果的なマネジメントスキルがあるんじゃないかと思われている方もいらっしゃるかもしれません。

「今さら?」の話ですが、みなさん自身のやる気が出る場面を考えてみていただくと、「目標を持て!」「やる気を出せ!」と言われるよりも、「すごいですね!」と褒められたり、評価されたりしたときに「やった~、またがんばろう!」って、思うと思うんですね。わたし自身そうです。

シンプルな話だけに、「そんな言葉でうまく行くなら苦労しないよ」と思われているかもしれませんが、体験上、難しいマネジメントスキルを導入するよりも、職場の雰囲気は会話から変わってきましたので、「ちょっとした会話の工夫」をオススメしたいんです。

■意識的に褒めるのはよくないことなのか?

「褒める」の話をすると、「相手を動かそうと意図を持って褒めるのはよくない」というお話が必ず出てきます。

私の意見では、最初から無意識に褒められる方はそう多くはありません。最初は「よし、褒めてみよう」と意識することによって、褒められるようになると考えています(言い方を変えると、意識しない限りできません)。

人の行動レベルには、いくつかの段階があります。

  1. 無意識でできない(「知らない、だからできない」)状態
  2. 意識はあるができない(「知っている、でも、できない」)状態
  3. 意識があり、できる(「意識すればできる」)状態
  4. 無意識でできる状態(「状況にあった行動が自然にできる」)状態

無意識にできるようになるには、意識を繰り返すことによってできるようになるわけですね。私自身、今も意識しています。それはまるで、車の運転のようなものです。最初は、「クラッチを踏んで、ギアを入れて、アクセルを踏みながらクラッチをゆっくりと放して」と意識しなければ車を動かすことができませんが、しばらくすれば、同乗者と会話を楽しみながらでも、無意識に運転することができるようになります。

「自分が自在にメンバーを動かしたいから」褒めるのか、「仲間が楽しく職場で働いてくれるように」褒めるのか……この違いは大きいですね。仲間のために、みんなのためにだったら、意識的に褒めても大丈夫です。

でも、目の前にやる気がなく、なかなか行動しようとしない人もいるはず。そのような場合、「何とか動かしたい」と思うのもまた、人の気持ちかもしれません。それでも、やらないを選択するよりも、やってみることを選択してみてはどうでしょうか?「オレがオレが」のままだと、一時はうまくいったとしても、結果的にうまく行かなくなりますので、うまく行かない場合は、ご自身の気持ちを振り返ってみるいいきっかけとなります。

また、本のタイトルでよくあるような「一瞬で」「たったこれだけで」というわけにはいかないのが正直なところでしょう。「一瞬で」「たったこれだけで」どうにかしたいのなら、それこそ「思う通りに動かしたい」という意図的な自分自身の気持ちを振り返ってみる必要がありそうです。

なんて、偉そうに言っていますが、以前、わたし自身が「思い通りに動かそう」という気持ちを抱いていた張本人です。いろんな失敗をしましたが、失敗したおかげで、成長することができたようにも思います。だから、大丈夫!あなたから、仲間に声をかけてみてください。

うまく行くことばかりではありませんが、それでも始めてみることによって、仲間の変化が少しずつ見えるようになったときや、ちょっとした表情の変化が起きたとき、とてもうれしい気持ちになります。自分に「うれしい」という気持ちが芽生えたとき、最初は「動かそう」と思っていた気持ちも、次第に「みんなのために」という気持ちに変わってきます。まずは気軽に始めてみてください。

「相手のいいところを見よ!」というような、お説教じみたお話をするつもりはありません。でも、仲間を褒めることで、そのときに相手が見せる嬉しそうな表情は、褒めたこちら側も本当にうれしくなる。そういった、「自分自身のうれしさ」を感じていただくのが褒めるときのポイントじゃないかと思います。

でも、褒めるってカンタンに言っても、結構難しいんですよね。恥ずかしいですし(笑)。身内になればなるほどなおさらです。どのように褒めたらいいのかは拙著に書きましたので、よろしければご覧ください。

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