いい文章には欠かせない、感性が合う編集者
文章を書く仕事をする前、「編集」という仕事が一体どのようなものなのか、わたしにはよくわかりませんでした。誤字や脱字の修正、使う漢字、いいまわしの統一など、原稿の体裁を合わせることぐらいが、編集者さんの仕事なのかと思っていました。
最近、いくつかの文章を書かせていただくようになって、感性が合う編集者さんの存在がなければ、いい仕事ができないとまで思うようになりました。
文章の体裁を合わせるのは当然のしごとだとしても、それ以上にありがたいのは、文章が初めて自分以外の人の目に触れた時の一言。いち読者として「なぜ、こう思うようになったのか?」「ストーリーの軸が変わってきた」など、一人では気づかないことに気づかせてくれることによって、より文章全体のバランスが良くなったり、広がりが出たり、焦点が絞れたりすることがよくあるのです。
さらに大切だと思うのは、文章の体裁やテクニック的なところよりも、著者と編集者さんとの感性の一致。それは、作品をどうやって世の中に出していくかというところに、とても現れてくるように思います。
たとえば、編集者さんがつけるタイトル1つとってもそう。キャッチーなタイトルをつけて、目を引かせることはできるかもしれませんが、文章がタイトルに見合ってなければ、タイトルは生きてこない・・・。
たとえば、人目に触れる仕組みづくりもそう。最近、本を出版するとアマゾンキャンペーンなどをされる方がたくさんいます。一時の順位を気にするのも大切かもしれませんが、作品を長い目で考えたとき、それが最良の策なのかまで考えなければ、「単なる一発屋」「売り手側がよければそれでいい」にもなりかねない・・・。
このあたりの、世に出していくときの「感性の一致」も、すごく大切だなと思うんです。
私が出会ってきた編集者さんは、実力もあり、感性も合って、なくてはならない存在。もちろん、作品を作っていく中は、意見の食い違いがあることもあるし、カチン(笑)とくることもありますが、それ以上に、たくさんの視点で気づかせていただける編集者さんの存在に、感謝・感謝・感謝なのです。
ITmediaエンタープライズのビジネスマンの不死身力でお世話になっている藤村さん。藤村さんのおかげで、いろんな視点に気づかせていただけます。いつもありがとうございます。
3月に出る新刊でお世話になった、こう書房のIさん、本という長い物語の中で、軸がぶれそうになったとき、何度も喧々諤々がありましたね。Iさんのおかげで、なんとかここまで来ることができました。本当に、ありがとうございます。
編集者のみなさんがいなければ、文章を書く仕事など、きっとできなかったと思います。これからもよろしくお願いします。