電子書籍は「最適な状態」に組み直さなくていいの?
電子書籍が話題になっていますね。
ハードウエアについてはいろんな話題がありますが、それに載るコンテンツについては、あまり話題に上がっていないような気がします。
次の紹介しますのは、3月に出版する新刊を担当してくださっている、わたしの本の編集者さんの意見です。編集者さんのブログ記事によれば・・・
(語尾等、一部編集。原文は電子書籍用に組み直さないのって、やっぱおかしいよねで。)
- ウェブやBlog、メルマガなど「ディスプレイで読む用」に書かれた文章を「本」にするときは、「本で読む用」に編集・整形している。そのままだと「本」としては読みにくいため。
- 「本で読む用」に書かれた文章を「電子ブック」にするときは、「ディスプレイで読む用」に編集・整形しなおすべきでは?そのままだと「電子ブック」として読みにくいのでは?
- 本が縦書きだからといって、電子ブックも縦書きであるべきとは思わない。むしろ横書きのほうが、ディスプレイ上では読みやすいかもしれない。
- 紙面では太字処理で強調しているところも、そのまま太字処理するよりは、むしろ改行や空き行を上手に使って強調したほうが、ディスプレイ上ではイメージを把握しやすいかもしれない。
- ディスプレイで読んだときに読みやすい・見やすい「文章の組み方」って、紙上でのやり方とは違うはず。ディスプレイのサイズや表示フォントのサイズで「見え方」が変わってくる可能性が高いのだから、それを前提にした「組み方」が必要なはず。
- そういう処理をせず、単純に「いまある本のデータを電子ブック化」しても、きっとユーザーにとって使いやすい・読みやすい電子ブックにはならない。
とのこと。
この視点って、すごく大切なような気がするんですよね。最近、いろんな媒体で文章を書いてみて、この意味がとてもよくわかります。
■たとえば、本なら・・・
今、本の校正を進めています。本を書くとき、最初はWordで書きました。出版社に送り、校正紙になると、同じ文章なのに雰囲気が全然違います。縦書き、横書きの違いもあるでしょうし、フォントの違いもあるでしょう。編集者さんによる、改行などの、読みやすさの編集効果も大きいですね。
■たとえば、新聞なら・・・
今、新聞に寄稿しています。モニタ上で横書きで書いた文章が、縦幅が短く、帯状で、縦書きの記事で紙面に掲載されると、同じ文章がなんだか硬い感じに変わります。 周りが活字だらけなので、そう感じるのかもしれません。
■たとえば、ウェブサイトなら・・・
同じ文章でも周りのデザインが加わるだけで雰囲気が変わりますし、それが異なるサイトに配信されたとき(ITmediaに寄稿した文章がmixiニュースでも読めるような)、同じウェブ上で見ている文章でも、また雰囲気が変わります。
媒体に文章が載った後で、「ここは○○のほうが、もっといいな」ということをよく経験するのです。
オフィス文章のフォントを変えるだけで、雰囲気が全然違うということを私たちはよく体験します。それならば、電子書籍もそれに合うような組み換えが必要なのではないでしょうか?ひょっとしたら文章の書き方(言葉選び)自体にも手を入れたほうがいいのかもしれません。
いくらハードウエアがよくても、コンテンツがなければただの箱。電子書籍にするなら組み方の視点もすごく大切なような気がします。