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「モチベーション理論」でモチベーションは上がるのか?

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ZDNet Japanにモチベーション理論に関する記事を見つけました。

「やる気」は5段式ロケットで打ち上がる?--モチベーション理論を勉強してみる

モチベーション理論と言えば、マズローの欲求5階層説やマグレガーのXY理論が有名です。どこかでご覧になったという方の多いのではないでしょうか?

記事を元に、各理論を一言で言えば、欲求5階層説は

人の欲求は低次から高次へと段階的に向かい、低次の欠乏動機が満たされるほど、成長動機が強く発現するとした。

となり、XY理論は

X理論は、人間は本来怠け者で責任をとりたがらず、いつも安全を希求する、という低次の欲求が強い行動モデルであり、一方のY理論は、人間は本来働き者で尊敬や自己実現のために積極的に行動する、という高次の欲求が強い行動モデルである。

と言えます。両方とも、ビジネスでは比較的よく目にする理論です。「動機付けする際にはY理論に立ち、目標を設定して、自主性を尊重したマネジメントが必要だ」と。

ビジネスの教科書では盛んに出てきますが、モチベーションに関係するカウンセリングやコーチングの教科書の中で、この理論を見たことがほとんどありません。

「なぜだろう?」と考えてみると、欲求5階層説もXY理論も、言っていることはよく分かるのですが、実際に何をしたらいいのかよく分からない…というのが大きな理由なのかもしれません。

組織運営やカウンセリング、コーチングの現場での経験則では、まず、「心を満たすことが重要だな」と思っています。マズローの欲求5段階説に近い考え方ですね。

「心を満たす」というのは、心がマイナスの状態にあるのだったら、まずゼロに戻すということです。なぜなら、目先のことすら満たされていないのに、目標だのビジョンだのと言っても、それを考えるに至らないからです。けれども、多くの場合、モチベーションを上げるというと、ゼロからプラスにいきなりさせようとします。目標を持てば、やる気が出てくるのではないかと。

けれども実際は、モチベーションが高い「理想」と、モチベーションが低い「現実」という相反する感情の間で、感情が振り子のように動いてしまい、余計に不安定になってしまうという行き詰まり感は、多くの方が経験していることでしょう。

無理にプラスに持っていこうとせずに、まず、マイナスをゼロにする必要があるのです。

そのためには、今まで無視してきたマイナスの感情面を抑圧するのではなく、よく話を聞いてあげることです。

もし、あなたがリーダーで、思い悩んでいる部下が回りにいるのなら、無理に気合を入れさせるのではなく、アドバイスや理想論はさておき、「つらいね」「そして?」「それから?」と話を聞いてあげることです。

今まで仕事のプレッシャーで押しつぶされそうになり、この先どうしたらいいのかわからなかった私のクライアントの一人は、話を聞いてあげることで心に余裕ができ、「最近、なぜだかしらないけど、新しいことに挑戦してみたくなってきた」と言っています。

もし、一人で思い悩んでいるのなら、悩んでいることを押し殺そうとしたり、見ぬフリをしたりせずに、あなたがカウンセラーになって、体の中のモヤモヤして部分に意識を傾け、あなたの中にいる「悩んでいるもう一人の自分」の話をよく聞いてあげることです。「今まで無視してきてごめんね」「何でも話していいよ」と。

今、やる気がなくても大丈夫!。マイナスがゼロに少しずつ戻ってくると、自然にやる気は出てきますよ。

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