アップルの時価総額が史上最高を記録できた「市場の評価」をIT目線じゃないところで見てみる
既に各所で報道されている、アップルの時価総額が史上最高を記録したとの話。いや、私ごときが四の五の言う話では無いですが、市場の評価そのものがこういう形になって現れるというのは資本主義経済の基本であるわけで、これは好き嫌いとかそういう次元の話とは別の話なわけで、とりあえず素直に凄いねと思うところであります。
もっとも世の中の企業や組織には栄枯盛衰の流れがありますし、今の状態を維持し続けることを是とするのかどうか、色んな意思や希望や思惑はあるとは思うのですが、例えば私自身もIT業界に身を置いていた1990年代半ばの混迷状況を思い出してみるとそれなりに思うところはあります。
因みに過去の記録はマイクロソフトが持っていました
以前の記録はマイクロソフトが1999年12月末に記録した6189億ドル。今回はそれを越える6230億ドルということで、これを物凄く乱暴に2011年の名目GDPに置き換えてみるとスイスの6360億ドルをちょっと下回るくらい、シンガポールは2600億ドルくらいなので約2.4倍くらいになります。企業活動とGDPを単純比較するのはいかがなものかと言う話はあるでしょうが、とりあえずそれくらいの規模だという話。いや、あくまでも感覚的なところの話です。
ただし、絶対金額は間違いなく最高記録なのですが、これを過去の記録と較べようとするときには実はインフレ率とかなんとかを加味して考える必要があります。この換算は結構面倒くさいのですが、たとえばCNNのサイトではこんな記事になっています。
ただし、インフレ率を考慮した修正値をみると、マイクロソフトが記録した時価総額の最高は8510億ドル相当。このレベルに達するには、アップルの株価が908ドルまで上昇する必要がある。
こういう評価もあるわけです。という事で、金額の多寡についてはそれとして、実は単純に凄いよねと言う話ではないという妙にクールな見方をする向きがある事は知ってて悪くは無いと思います。
今の軸で見えること、そして比較する対象が本来持っていた軸に合わせてみて見えること
因みに、じゃぁ他の昔の企業はどうだったの?という話になると当然その時点での貨幣価値などをどう換算するかというトコロが問題になるのですが、たとえば日本で言うと例えば加賀百万石とは今で言うとどの程度の価値だったのかという話や、1920年代の大恐慌のときのダウ平均100ドル超えというのは今で言うとどの程度の水準と理解すれば良いんだろうかとか、日経平均が3万6千円前後まで伸びた日本の状況は?とかナントカカントカ。今ですら為替換算の話があって面倒くさいのに年代を跨ぐ事によってインフレ率とかをどう見るかとかあたりになると、実はとても面倒くさい話になってしまいます。
で、実はこのあたりを経緯を踏まえて眺めるというのは実は大事なんですが、それはともかく、何れにせよ時価総額自体の記録を作ったのは事実で、いや、それはやっぱり素直に凄いなと思います。ただし今年に入ってからの株価の上昇具合はいかがなものかと思うレベルの5割以上の高騰という状況で、これはやっぱりなんだかバブルっぽい空気も感じるわけですが、どうしたもんでしょうね・・・と流石の私も思いますね。
因みにアップルがこのまま巨大化し続けるのかどうかは別の話で、今後例えばこのアップルが作った時価総額記録を誰が次に破るのかという話も早晩出てくるわけですが、派手に上場したけれど株価が右肩下がり1本調子ではどうしようも無いFacebookはどうなるんだろうねとか、Googleはどこに行くんだろうとか、IBMやOracleってどうよとか、実は既にコモディティかしつつあるIT系一般じゃないところが出てくるんだろうかとか、いやそもそもその企業なり組織は現時点では存在していないかもとか・・・ とまぁ色んなことを考えつつ市場を流れる情報をぼんやりと眺めるのはそれなりに勉強になるなと思うところであります。