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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

TechCrunch JapanのMicrosoft Surfaceの記事を見て改めて思う 「私は翻訳記事は「翻訳」を読みたいわけで、そこに創作は求めない」 という事

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海外のメディアで報道された内容を翻訳記事で見ることは別に珍しい事ではないと思いますし、私も普通にそうしています。ただし状況によっては原文を読んだ方が書いた人が伝えたいニュアンスが伝わる事も多いですし、実際メディアや記事自体によっては日本語訳はさらっと斜め読みして本家の原文をあたることが結構あるのも事実です。

因みにそういうやり方は人それぞれ。たとえば私の英語力では全く歯が立たないようなモノは翻訳記事を読むしかないし、私の場合には英語以外の言語はそもそも解さないのでどうしようもないんですけれど…

 

原文の主旨と違う翻訳に出会うとガッカリする・・・程度で済めば良いのですが

TechCrunch Japanに掲載されているMicrosoft Surfaceにさわってみた, 彼らのこだわりは理解できるが…という記事の件をちらっとFacebookのフィードで見かけて、直ぐに日本語の翻訳記事を読んで、原文に飛んでみるとおかしなことに気が付きました。

これ、最後のパラグラフを翻訳してないじゃん

 

どこかに消えてしまった「全体としてコイツは良く出来てるし、キチンと色々考えられてるし、レッドモンドの連中はいい仕事してると思うよ…」という文章

実はこのパラグラフで、日本語のタイトルとは全く違う主旨の事を述べていることに気が付いてしまったんです。因みに原文はHands-On With The Microsoft Surface, Inside And Outというもの。で、問題の翻訳されていない最後のパラグラフはこちらです。

In all it is a very nice, well-thought out, impressive effort from the folks up in Redmond (by the way, it’s still a mystery as to why this event was held in Los Angeles, but I suppose it was a nice excuse for us tech-focused folks to visit the headquarters of glitz and glam.) We still could be several months out from the Surface’s actual launch, but what we’ve seen so far looks pretty promising.

Here’s some other TechCrunch coverage of the Surface so far, and please stay tuned for more updates on the device

原文と日本語訳記事それぞれをどう評価するかは読む人の問題だとは思うのですが、少なくとも私自身は日本語訳記事のタイトルからはネガティブな印象しか受け取れないんですね。実際記事の文章自体もネガティブな方向の言い回しになっているような気がします。

それに対して原文はニュアンス的に翻訳記事よりもニュートラルな印象を持ちました。そして極めつけが翻訳されていない最後のパラグラフ。なにしろ書き出しからして「全体としてコイツは良く出来てるし、キチンと色々考えられてるし、レッドモンドの連中はいい仕事してると思うよ(岩永の意訳)」という調子。申し訳ないのですが日本語のタイトルからこのニュアンスは感じられません。

 

だったらソースをあたれ…って同じ看板を背負った日本側と米国の本家との間で言う話では無いと思うんです

正直ニュアンスが全然違う。元の記事を書いたライターの意図がなんだか斜め上に解釈されてしまう。で、最大の問題は日本の多くの読者が原文に触れる事は無いんじゃないかという事。つまりこの「原文のニュアンスとは違うとしか思えない記事」にしか触れる事が無いという事。

いや、別にだからTechCrunch Japanが駄目だとかそんな事は言いません。実は世の中の色んなメディアに掲載される翻訳記事の中で同じような事象に出会う事はそれほど少なくはありません。もちろん原文のニュアンスを日本語に単純に置き換えるのが難しい事があるのは理解しますし、そもそも日本の文化の中で理解されにくい文章になっているケースも多々あるのも理解しています。

でも、ニュアンスの問題と主旨の問題は別だと思うんです。私は。
で、そういったところが翻訳の責任であり、掲載するメディアの責任だと思うんです。大変差し出がましい話ではありますが。

 

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2012/06/20 補足: 記事タイトルと内容が一部変更されているのを確認しました。

上記のエントリーを書いた翌日に「修正されたのでしょうか?」という主旨のコメントをいただいたのでリンク先を見ると、タイトルが当初の「Microsoft Surfaceにさわってみた, 彼らのこだわりは理解できるが…」から「Microsoft Surfaceにさわってみた, 独特のこだわりで超力作になってる」というポジティブな表記に変更され、私が指摘した「翻訳されていなかった最後のパラグラフ」の翻訳部分の追加もなされていました。リンク先の記事へのコメントは当初の内容についてのモノが残っているようです。
この書き直しについての何らかの告知などを私は発見する事が出来なかったのですが、当初のバイアスのかかり方を含め、いずれにせよとても残念な流れだなと思っています。

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Comment(4)

コメント

薬師寺聖

Microsoftファンの薬師寺です。また誤解されるような記事が出ているんだったらイヤだなと思って、リンク先を見に行ったら、ポジティブな内容でした。修正されたのでしょうか???なんだかよくわかりませんが、「超力作」とは、うれしいです。

TETSU

でもメディアってそういうものだと諦めてますけど(^^;
別に翻訳記事に限らず、いかに目を引くタイトルにするかが重要であって、日本では元々ジャーナリズム精神のようなものはあまり感じないですから・・・ヤフーのトップ記事の要約とか、内容と違うタイトルが出ることはよくあることですからね。

いわなが

薬師寺聖さん、コメントありがとうございます。
コメントを頂いて改めて見てみたらタイトル含め記事が書き直されていますね。補足として反映させていただきました。
ありがとうございます。

いわなが

TETSUさん、コメントありがとうございます。
媒体ごとのバイアスと言うものは其れなりに理解しているんですが、自社記事ではなく翻訳記事におけるバイアスって言うのは流石に如何なものかと思った次第です。とりあえず自衛というほどではないですが、そもそも鵜呑みにしないで冷静に眺める姿勢というのは大事なんでしょうね。

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