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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

米陸軍がスマートフォンやタブレットが使い物になるかを探り始めている

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一般に軍用として作られたものは、いわゆる民生品と較べてそれなりに厳しい環境と状況に耐えられるようなモノが多いんだろうなというのは何となく判ると思います。ただ大抵の場合、その「モノ」を使用する状況と目的が規格化され、必要な試験を経て採用となると生産されて供用されるわけですが、要件が特殊だったり調達数の関係とかで非常に高価になるケースが多くあるのも事実。

因みにこのあたりの事情は日本の自衛隊でもアメリカ軍でも基本的に変わることは無いわけですが・・・

 

専用品が必要なところと汎用品ベースでよいところ、そして本当に普通に手に入るものでよいところ

これは様々です。いわば独立した自律組織として機能するわけですから、全てにおいて専用の資材を必要とするわけではない。たとえば情報端末的な話で言うとPCとかは普通に手に入るものと基本的に同じだったいりするのは世界各国共通ですが、それでも土砂降りの戦地や揺れ続ける車両の中でも使えるラップトップPCとかだと非常に特殊なモノだったりするケースもあります。

ただ、これは世界各国共通の事情として、予算を要求し、調達のための規格を作り、モノを手に入れてテストをしてから採用と言う流れのなかで、時間やらコストが当然問題になります。そんな流れのなか、例えばこんな技術は元は軍用のxxxの流れなのだよ見たいな話は一杯あるんですが、昨今は民生品の方が安く簡単にできるよね見たいな部分が増えてきているのも共通した事情。

で、当然その流れが通信端末というところにも及ぶわけですが・・・

 

米陸軍、携帯端末の軍事利用試験を実施へ

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版で見かけたのがこの記事。

とりあえずそのまま使ってみる実験のようです。米国内での実験なのでセキュリティについては一定の保険がかかった状態なので、それなりには色々やるんじゃないかとはおもいます。

ただ、雨やら砂塵やらについてはそもそも厳しい条件で使うように作られていないからどうなんだろうとか、落としたら大変だよねとか、落とす以前にもポケットかバッグの中でどんな目に遭わされるんだろうねとか、自動小銃を撃つ衝撃にどの程度耐えられるんだろうねとか、私レベルでもいろんな事は考えます。

その意味で、多分ハードウェア的には非常に厳しいだろうということは容易に想像がつくのですが、ソフトウェアや前線へのデータサービスと言う部分、そして所持している兵と司令部などとの連携と言ったところでは色々得るものがあるんだろうなと言う所も何となく想像は出来ます。

もっとも商用ネットワークが生きていることが前提になるので、それが実戦でどの程度役に立つのかってのは全く別だよねって言うところも何となく想像できるわけですが・・・

 

とりあえず民間転用(もしくは民間技術の転用?)みたいなところで気になるのは

軍隊という組織の場合、何かしらの行動には必ず損耗がついてまわるわけです。怪我をする事もあれば命を落とす事もあります。当然それらの事態に対処するための要員がいて、必要な資材があって、必要な設備機材も含めた体制があるわけですが、なにか事態がおきる前線と後方との間でのやり取りというのはそういうときにも非常に役に立つものになるはずなんです。

  • どこで負傷しているのかという位置情報。
  • どういう状態なのかを伝える文字や音声、そして画像・映像。
  • 適切な処置を現場に伝える機能。
  • 救出を含めた応援要請を行う場合の位置情報に基いた関係各所への指示。

震災に関わる自衛隊やアメリカ軍の動きを思い出すまでもなく、こういう活動は戦時であれ平時であれ変わらない訳です。そして戦時というのを除外するれば消防や警察などの組織にも応用できる種類のモノであるのは容易に理解できるはず。

 

ってことで、軍用ってどうよ?という話はあるかとは思いますが、その先にあるモノには別の姿を投影できそうだよねという風に考える事も大事だと思う次第。

 

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