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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

Facebookがソーシャルメディア界隈で踏んだ地雷

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企業の広報担当者としては、いわゆるソーシャルメディアと呼ばれる世界のなかでのプレゼンスの出し方や保ち方について考えない日はないんじゃないかと思います。本来は業種業態によって温度差や方針はあると思いますが、基本的なSEOやSEMの世界が中心となる伝統的なWebサイトだけではなく、FacebookなりTwitterなり、あるいはブロガーのネットワークなりといったいわゆるソーシャルメディアとどう対峙するか。

でもこれは、それらのサービスを使うユーザー企業だけではなく、そのサービスを提供する側にも当てはまるという当たり前の視点があるわけで・・・

 

基本的にBuzz系のメディアというのは仕込みがあって当然という視点

特定の製品やサービス、店舗なり企業なりを第三者として評価し、それを公表するという手法はそれこそミシュランガイドに見られるように伝統的な紙媒体の世界でもずっと存在しています。たとえば日本でも(つたない私の記憶だけでも)江戸時代ですら○○道中記のような形での観光ガイドブックと呼べるものは多く存在していました。

そのお陰で多くの人が安全に旅行できたり、あるいはそれぞれの地方や地域のおいしいものを食べたり出来ていた訳ですが、こういう形態の媒体の場合には必ず編集という作業が入ります。それを恣意的と評価するかどうかは微妙ですが、すくなくとも編集者による一定のスクリーニングを経た上での成果物ですから、単純に恣意的な著作物であるという評価は当たらないと思っています。

同様に、たとえばミシュランガイドが公正でないとかいろんな話が出たりしますが、そのガイドブックにどこの店をどのような評価軸と内容で載せるかと言うところの全ての権限は編集側にあるわけで、しかもその発行責任は発行者にあるわけですから、気にする向きがあるのは重々承知しつつも何だかなぁというキモチが晴れないんです。そのあたりはまだザガットサーベイでも編集権限がある以上、本質的に大きく変わることはないんじゃないかなとも思っています。

それに対してWeb上で展開される口コミ系サイトの場合、その設計思想は(正しいかどうかよく判りませんが)基本的に性善説に基いていると思っています。ただ、その場を意図的に使う事は可能なわけで、普通に褒めるコメントを定期的に載せてゆくような仕込みや貶すコメントを入れる仕込み、果ては褒め殺しみたいなところまで何でも出来てしまい、しかもそれが評価される側が全く知らないところで動く怖さ。いや、正直怖いものがあると思っています。何しろ評価者の顔が見えないし、どういう状況で下した評価なのかもよく判らない。

だからこそ幾らでも仕込みができるじゃんと、素直に思っちゃいます。私ごときが思うくらいですから、普通にそういう話はあるんじゃないかと思います。穿った見方かもしれませんが。

 

自身に対する良い評価を流したいという先にある、競合すると思われる他者への誹謗中傷の誘惑

決して褒められる話ではありません。ただ、マーケティングやパブリシティの手法として自身のポジションを上げるために競合する相手の評価を落とすための活動を行い、相対的に自身のポジションを上げるという手法はあるわけです。何かのリーク情報だったり、何かの会見におけるコメントだったり、何かしらの発表の中でそれとなく相対的なポジションを意識させるような文言を入れたり。

もちろんどの業界や業種においても完全1社独占なんてのは普通ありませんから、何かしら利害の対立する誰かがいるわけです。必ずその、あるいはそれらとの間には相対的なポジションがあるわけです。それをどんな風に主張するかというのは色々とお作法なり流儀なりがあるわけですが・・・

 

FacebookがGoogleの批判をブロガーに書かせようした仕込みがバレた

送った手紙はコレ。掲載してるのは送られてきたブロガー。で、それがぐるっと回ってきてたとえばTechCrunchのこんな記事になって・・・

で、更に諸々裏取りをされてですね・・・

 

関連してNewsweekのこんな記事もあってですね・・・

Publicityを担当している人や組織がこの動きを組織的にやったのか、あるいは誰かが勝手に走ったのかってのはよく判りません。因みにそこを突き詰めると企業姿勢自体に関連した話になって面倒くさいので突っ込みませんが、少なくともこのような動きが(本当か嘘かは別にして)表面化してしまったこと、そしてそれが新聞沙汰ならぬ「Web沙汰」になってしまったというコト自体を見る限り、少なくともPublicityを担当するPRなりCorporate Communicationsなりといった役割が機能していないか、単にマヌケで面目丸潰れになってるかのどちらかです。

厳しい言い方かもしれませんが、ソーシャルメディア界隈の騎士であるべきFacebookが自分たちの立ち位置や役割をキチンと理解しておらず、同時に自分達が自分達として「ソーシャルなメディア」とどのように対峙するべきかも理解していないという評価が出来てしまう事例です。

じゃぁどうすればよいのか?ならば私をPublicity担当者として雇いなさいよ!なんて事は大人ですから言いませんが(笑)

 

完全自立というのは難しいわけですが

誰しも何かの立ち位置を持っていて、何かと相対的な距離感を持ってるわけです。それを踏まえていろんな発言なり執筆なりといった行動なりをするわけですが、その行動の背景を時々意識する事というのは・・・ある意味嫌らしい話かもしれませんが、それが必要になる場ってのはやっぱりあると思うんです。

特に法人の場合に、その公式なステートメントには必ず経緯があり、言い回しにも理由があり、買収するにも理由と必然性があるわけです。そこはキチンと見なくちゃいけない。

 

じゃぁお前は何を思って、あるいは何を背負ってこんな事を書いてるんだって?
いや、私にはそんな難しい事情なんて無いですよ(笑)

 

Comment(4)

コメント

こんにちは。風雲異聞録のTESSYUです。

この話はPR関係者としてとても残念に思っています…。

ウェブは仕組みとしてたしかに性善説の仕組みであり、それを守るも壊すもそこに参加する者次第であると思います。このような事件以外でも米国ではブロガーに対するPRに関連してさまざまな事件が起きていて、ガイドラインや法制度が強化されているのが現状です。

ウェブでは透明性が前提条件となるので、いいことも悪いことも筒抜けになると理解しなければなりませんね。


ちなみに日本でもクチコミマーケティングに関する自主的なガイドラインが策定されています。PR会社をはじめ、コミュニケーションにかかわる人間として、ウェブでのコミュニケーションの信頼性を守るためにも、このようなガイドラインを共有していくことが使命であると感じております。

WOMマーケティングに関するガイドラインを発表しました! - WOMマーケティング協議会
http://womj.jp/news/2010/03/wom-2.html

名無し

ああ、口コミか。
TechCrunchは何言ってるのか意味不明でやっと分った。

TESSYUさん、コメントありがとうございます。
 
確かに残念な事になってしまっているようです。勿論手法としてのネガティブキャンペーンの存在は認めますし、そう取られるギリギリの線を狙わないといけない事も勿論あるんですけれど、余りに稚拙であったということでしょうか。

名無しさん、コメントありがとうございます。
 
TechCrunchの今回の記事、確かにちょっと判りにくいですよね。英文の元記事の書き方自体が直前の経緯を予めある程度わかっていないと意味不明になってしまうような書き方なんで、日本語版はどうしようもなかったんじゃないかと推測しています。

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