フィンランドでの北極圏氷上走行 (2)
2月の上旬、1週間弱お休みをいただき、Audi主催の"Ice Experience in Finland"というイベントに参加させてもらいました。
どうやら北極圏の凍った湖の上のコースをAudi Quattroで走り回るのだろう。きっとワクワク、楽しいはずだ。そのような直観で応募してみたのです。それまでのいきさつはこちら>>
この手のイベントに参加するのも、フィンランドに行くのも初めてでした。日本人が選ばれた10名で参加です。いったいどういう人が参加するのだろうか。各国の人たちはどのように交流するのだろうか。どのような施設なのだろうか。さらには北極圏の天気や寒さ、必要な防寒着や防寒具。本当にわからないことだらけでした。
会場はMuonio(ムオニオ)というところですが、それはヘルシンキ空港から北に1000キロ。北極圏に200キロ入ったところです。ローカル線の飛行機プラスバスでの移動です。今回は念のためにヘルシンキのホテルに前泊し、雪の残る街中を探索しました。スーパーでチョコレートとムーミングッズを会社のおやつ向けに仕込みました。
翌日午後3時半、ヘルシンキ空港のキッティラ行きローカル線ロビーで集まります。集合場所では日本アウディから派遣されたインストラクターのMさんに会え、あとは事前に予約された席に座って出発です。
機内で隣に座った人も同じツアーに参加される方ですが、職業を聞くと建築士と。長年Audiを乗り継いでいらっしゃるそうで、BMWである自分は少し肩身が狭い思いをしました。機内には日本人も多く、オーロラを見学するツアーのようです。何でも遠路はるばるオーロラを見にやってくる日本人はフィンランドでは7不思議の一つと言われているとか?
キッティラ空港に到着して、飛行機から滑走路に降り立ちます。乾いてしまった雪の上を歩きながら、そこが極寒の北極圏であることを感じます。飛行場の荷物ピックアップの場に行ってびっくりです。そこにはポルシェやらアウディの氷上走行体験の垂れ幕がたくさんかかっているのです。
荷物をピックアップしてすぐにバスに乗り移り、雪の一般道を80~100キロで約50分。Lapland Hotelsに到着します。スキーリゾートでもあるようです。聞くと近場にはVWやBMWなどの耐寒テストのコースも多数あるとか。
夜8時を優に回ったところで到着したホテル、部屋が割り当てられ、荷物を置き夕食です。日本からの参加者は9名でした。日本アウディのインストラクター1名を合わせると10名です。夕食時には、コース中に助けてくれるという、ドイツからのインストラクターの方、アレンジをしてくれる方、メカニックの方々たちに紹介されました。どんどん勧められる赤ワインが悪くないです。参加者も車話が大好きです。私でもよくわからないような話題も多くかなりのマニアたちです。
疲れもあり、部屋に戻るとバタンキュー。すぐに寝てしまいました。朝の3時頃です。時差もあるのでしょう。ふと目が覚めます。スマホを見てみるとテキストメッセージが来ています。日本人インストラクターの方からのものです。
「うーっすらオーロラでています」
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オーロラは確率50%程度でしか見られないとの事前情報もありました。折角です。意を決して厚着をして外に出ることにしました。まずは1.5倍容量のヒートテックを上下に着込み、襟巻と毛糸の帽子と防寒のブーツを履き、仕上げは今回用に買ったカナダグースのダウンジャケット。これで大丈夫なはずです。外気温はマイナス25度くらいです。
外に出てみます。雪はキュイキュイ鳴るくらい乾燥しています。早速空を見上げたのですがホテル周りの電飾で明るすぎてよく見えません。
星は見えます。防寒具はばっちりです。暗い方を目指して歩きます。上を見ながら歩くのですが、オーロラと思わしきモヤのようなものが進行方向に見えてきました。白っぽくてあまり感動的ではありません。さらに暗闇を目指して歩きます。目も慣れてきました。真上には北極星とそれを取り巻きながら北斗七星が燦然と輝いています。さすが北極圏だと星の配置で感心します。
目が慣れるとともに、白い部分は2層にひだのようになって分かれているようです。そして振り返って反対側を見ると、白ではなくそれが赤紫状であることも分かりました。真上にはぽっかりと星の空間が残っています。「これがオーロラかぁ」そう思いながら写真を撮ろうとスマホでチャレンジしましたが、全く写りません。m(. .)m
かれこれ1時間半くらい眺めていたところで、手先が少し冷えてきます。スマホが扱える手袋だったのが敗因です。防寒ミトンを持ってきたのに部屋の中です。引き返すことにしました。ちなみにスマホを3台重ねてポケットに入れていたのですが、一番外にあったiPhoneは瞬間的に電池が消耗していました。寒いと減りが早いのですね。
※20160216 0946 追記:当日のオーロラの写真はこちら>>
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部屋に戻ってバスルームの扉を開けてびっくりです。パーソナルサウナがありました。説明を読むと、ヒーターの蓋を開けて、スイッチをHiにして15分ほど待てばOKと。早速その通りにして、サウナを楽しみます。室温は60℃程度。杓子で水をヒーターの上の石にかけます。すると水蒸気がジュ~っ部屋を回り、体感温度は熱くなります。日本のドライサウナは90℃以上なので、こちらの方が優しく感じます。
ひと寝して朝7時。ビュッフェ形式の朝食をとります。ビュッフェには野菜もあり、サーモンや白身の魚の半生状のスモークもあり、なかなか健康的です。そして朝8時集合、ホテルにある会議室でブリーフィングです。いよいよです。
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ブリーフィングでは、タイヤの性能やドライビングポジション、そしてコース上での説明があります。コースは完全に凍ったムオニオ湖を除雪する形で作ってあります。コースアウトすると雪の上に乗っかります。当然脱出できなくなるわけです。そこでトランシーバーで自動車番号を言ってトラクターに来てもらいます。面白いのは、救出されると自分の首から下げたプラスチックカードに、トラクターの運転手が穴を一つ開けるというゲームになっていることです。もちろん4日間を通して穴の数が少ないほど良いわけです。
参加メンバーは日本人チームだけで一緒に行動するようです。ここで初めて、参加メンバーのそれぞれの自己紹介があります。ドイツ人のインストラクターもいらっしゃるので英語と日本語です。不動産会社の社長さんとその奥様社長、建築士2名、お医者さん1名、不動産投資家1名、サラリーマン夫妻2名、そして自分。年齢的にも同世代から一回りほど若い人たちまでという感じです。
聞くと日本国内のAudi Driving Expreienceの経験者やら、Finlandでの参加回数8回目という人、昨年に続いてフィンランド2回目という方々、ポルシェの氷上走行に参加したことがある人など、この手の氷上走行が未経験の自分にはプレッシャーが高まります。
10時です。いよいよ氷上走行に出向く時間になりました。ホテルの一角に赤の先導車1台とシルバーの教習車5台とがエンジンオンで待機。AudiのS5 スポーツバック Quattroです。スパイクタイヤを履いています。
10人のメンバーたちはシルバーの車それぞれに2人ずつに分かれて乗車します。そこから湖まで10分程度の走行です。いきなり80キロオーバーの雪道走行。正直それだけでもビビりました。
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さて、いよいよ氷上走行です。最初の課題がオーバルのコースでの走行です。順番に乗車しながらドイツ人インストラクターが軽く見本を見せてくれます。まずは、コーナーの入り口でスロットルをオフ。ハンドルで車に弾みをつける。すると車が滑り始めるのでそのままスロットルをオン。車はカーブの中心を向きながら4輪ドリフトでコーナーをそのまま出ていくという練習です。インストラクターは実に簡単そうにやっています。
自分でやってみます。
車を横滑りさせるところまでは何とかなるのですが、本能的にカウンターステアを当ててしまうので、どうしても横を向いたままではコーナーでの4輪ドリフトが継続できません。「こりゃ難しいぞ」と、周りの人たちが上手に走るのを見てプレッシャーを感じます。
しばらく走っていると、コースが単なる楕円ではなく、途中で中に曲がるものへと変更されました。これまたフラフラと走ることになります。自動車でペアになった方が、日本アウディからの日本人インストラクターだったのがよかったです。色々と見本を見せてもらったりアドバイスをもらいながら、午前中が終わります。
お昼を食べて、午後はそのままもっと長いコースへと。
(以下次号...)