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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

3人への「おせっかい」から始まった30万人へのサービス

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おはようございます。

オレンジ色の朝日。10月上旬並みの暖かさの好天気は今日いっぱいと。CACHATTOユーザー会にいいお天気そうで良かったです。

===ほぼ毎朝エッセー===

CACHATTOユーザー会というイベントを例年実施しています。今年は6回目になります。先日大阪でのものが終わり、今日は東京です。今回は六本木のインターコンチネンタルホテル(元全日空ホテル)の宴会場をお借りして、300名を近いお客様をお迎えする予定です。

第1回目の東京での会場は半蔵門のグランドアークホテルでした。それこそ試行錯誤、懇親会にはe-Janバンドで演奏した恥ずかしい記憶もあり。その後も毎年試行錯誤を繰り返しています。東京での会場は人数の増加とともに、キャピタル東急、六本木ヒルズアカデミー、そして今年の新たな場所。

ユーザー会を開催する目的は、お客様との直接の交流にあります。お客様との窓口は営業だけではありません。導入時には技術や導入後にはサポートのメンバーも深くかかわります。いらしてくれるお客様たちとの直接の会話の場があることはとても大切だと考えています。

また、自分たちが近い将来に何を世の中に出していくのかを宣言する場でもあります。もちろん、変化の激しい世界にいるので、出てくる順番などは前後することもありますが、大きな方向性はここで披露させてもらっています。実際、ここ数年で次々と絵に描いた餅が現実化してきているのが実感できます。

先を考える際に過去から何をやってきたかを振り返ると見えることもあります。そこで、自分がITで何をやってきたのかを振り返ってみてみました。そして分かったのですが自分はずっと「おせっかい」なサービスをしてきたのではないかと。

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1986年、23歳のころ、東レに入社してすぐにアメリカの合弁先とのやり取りをするための電子メールというツールに出会いました。当時の通信は、ワープロ専用機での書類や手書きの書類をファックスでやりとりするというものでした。そこに体験したコンピュータ+電子メールという世界。自分でもワープロを買って、モデムと接続して、自宅からアメリカにつないでとてもワクワクとしたことを覚えています。

自分は素材の用途技術を開発するのが本職でしたが、アメリカとの通信にはコンピューター+電子メールを使うのが最適でした。何せ時差の世界を超えた同時性があるコミュニケーションツールである上、英語でのやり取りが必須です。英文ワープロソフトのスペルチェック機能の有り難さにも舌を巻きました。

そこで、自分のワクワクに周囲の人を巻きこむことにしたのです。最初は自分の部署の3人に。MacのSE20というパソコンをアメリカ人が社内に持ち込んでいたのですが、そこのワープロと端末エミュレーターを使いながら、オフラインでメールの返事を書いて、スペルチェックして、端末エミュレーターで電子メールを送るという手順、それを啓蒙したのです。「おせっかい」ですねぇ。

どうもそれには飽き足らなかったようです。その後も、部署を超えてオフィス全体にこの方法を啓蒙しようと、安い中古の英語OSのPC-AT互換機を払い下げてもらっては、設定をして啓蒙をするというようなことをしました。日本語と英語が共存できるOSのMacや、DOS-Vなども研究、ひたすらに使える端末と人を増やして、気が付くと、使ってくれている人は30人ほどになりました。これも「おせっかい」ですねぇ。

さらに、仕事柄外に行くことが多かった自分としては、遠隔でも同じ環境が実現できることには執念を燃やしていました。当時出てきたラップトップパソコンにも飛びつき、端末のレパートリーを増やしていったのです。

1993年、31歳のころ、アメリカ留学時代には、パソコンが必須であった世界の、日本人留学生ちのまるでシステム管理者のようなこともやりました。どのパソコンを買うかの相談に乗り、初期設定をして日本語と英語の両方で使えるようにしたりなど。これまた「おせっかい」ですねぇ。

当時はインターネットが学校に入ってきたころで、American Onlineというサービスも伸び始めたころでした。日本とほぼ無料でインターネットでつないで、Niftyのサーバーからデータを取得するなどというあたりにもワクワクしていました。

1995年、33歳のころ、日本に戻って仕事は愛知県の工場をベースにすることになりました。そこでも出張の多い職種。Librettoという東芝の超小型端末を持ち歩き、ようやく日本の企業でも使われ始めた電子メールのヘビーな利用者かつ啓蒙者的なことも買って出ました。もちろん本業はあくまでも素材の技術開発です。

1999年、36歳のころ、携帯電話がインターネットとつながるi-modeにショックを受けて起業をすることにしました。ケータイで電子メールがどこでも取り出せたらさぞかし便利だろうという思いが止められなかったのです。

2000年、37歳のころに起業、2003年からCACHATTOを売り始め、今年はついに利用者が30万人という規模になってきました。使えるデバイスもケータイからパソコンからスマホからタブレットへと、時代とともに徐々に変化しています。3人への啓蒙が「おせっかい」を続けるうちに、いつの間にか今年はその10万倍になっていました。

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ずっと共通しているのは、デバイスや通信環境の新しい使い方を通じて周囲の人の仕事の効率を高めたいという「おせっかい」心なのかもしれません。年月はかかっていますが、思いは変わっていません。

CACHATTOもケータイからスマホ/タブレットという時代を経て、次なる「おせっかい」ができるようにモデルチェンジを始めています。デバイスはそのときの旬のものを使えばいいのです。

大阪のユーザー会には「CACHATTOを選んで良かったです!」というお客様からのコメントをいただけました。これには自分は舞い上がるほど嬉しかったです。今日の東京ユーザー会でも、お客様にこの実感を持っていただけるように、しっかりと「おせっかい」をしていきましょう!今日のユーザー会では、このワクワク感を伝えられたら嬉しいと思っています。

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