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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

ベースを弾くことと会社を経営することに見られる共通点

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おはようございます。

早朝には一瞬青空が出ていたのですが、普段の曇りに戻ってしまいましたね。

今朝は、不思議な共通点を見出したことについて。

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最初に買ったレコードって、その後の音楽趣味に影響を及ぼしますよね。自分の場合、Carpentersの「Only Yesterday」というシングルがそれでした。

イントロに出てくる、「ドンっ・チっ・ドドン・チっ」というベースドラムとハイハット。そこにかぶるベースの音。大きなスピーカーで聴くと、おなかの底からリズムが響きます。当時はどうしてそんな音が出るかも分からずにいたのですが、なぜだか心が魅了されてしまったのです。

その後、音楽はひたすら低音が気になるようになっていきました。たいていの曲は歌詞よりもベースラインを覚えていたりします。

中学生の頃には、低音を強調するようなウーハー(スピーカー部品)を買い込んで自作したりします。高校の頃には、ついにヤマハの入門ベースを手にします。大学に入った頃には、なんとかベースを自分のモノにしたいと、KONA Hawaiansというサークルに入ります。

KONAは一学年一バンド制という変わったサークルでした。3年生のときには、外部のパーティーなどで演奏してお金をもらい、それを部費に充てるという活動をするところだったので、下手な演奏をするわけにはいきません。

「麻雀やる時間があったらフレーズの一つも覚える」

そんな人たちに囲まれながら、ひたすら指やリズムの個人練習やバンドで合わせる練習をしていました。音を取るのも、楽譜からではなく、耳でレコードから取るというスタイル。新しい音楽は譜面に落とすと情報量が落ちるから、というような考えだったと思います。新しいひき方がいろいろと研究されていた時代でした。

ベースで言うと、当時はチョッパーベース、今でいうスラップベースが流行っていました。ソロなどもかなり目立ちます。それまでは地味だったベースという存在が、一躍前に出てくるという現象でもありました。

当然のことながら、如何に目立つ存在になるか、ということにせっせと努力していたわけです。

社会人になり、東レでの軽音楽部活動、バージニア大学のMBA同級生との80年代アメリカンロックバンド活動、そして最近では、歌の好きな女性ボーカル5人のバックなどと、細々と活動を続けてきています。娘もギターをやるようになり、たまに合奏できたりするのは楽しいものです。

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「如何にバンドメンバーでピッシリとリズムや音を合わせるか。」

従来はこのことに余念がありませんでした。さらには、なるべく自分の存在感を示せるようなことに関心があったと思います。ところが最近、年齢のせいか、少し変わった心境に気が付きました。

リズムと音の根底であるベースを元にしてもらう。その上にきれいな音楽を積み上げてもらう。その全体像がどのように聴く側にとらえられるか。そんなことに関心があるのです。

「これって、経営と似ているのかな。」

ふと思いました。「このアイディアは自分が出した。」「この開発は自分がやった。」。従来は、何でも「自分が自分が!」と、前に出ていってたと思います。もっとも、少人数だったので仕方がない一面はありましたが。

ところが、最近は、大いに心境が変化してきています。音楽体験と似ています。

自分の責任はベース音をリズム正しく安定して出すことにある。そこに、各楽器やボーカルが気持ちよくのっかってもらう。個々に活躍してもらう。これが全体像として会社組織を外に打ち出していくのです。

ベース音は、例えば4拍そのまま単音で表現するようなときには、弾く瞬間にかなりの気を遣います。やり直し、出しなおしが利かないからです。でも、そこを勇気持ってきっちりと出す。すると、それを頼りに上の音がきれいに乗っていき、ハーモニーを醸し出してくれるのです。

その瞬間瞬間が繰り返される。これで音楽ができていく。会社ができていく。

今、自分が会社で存在している心境は、ベースを弾く体験ととても似てきていると思った次第でした。

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