オルタナティブ・ブログ > 坂本史郎の【朝メール】より >

ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

XOOMがいきなりゼロ円投入、Android投げ売りでガラケー滅亡早期化か

»

おはようございます。

冷たい風が強く吹き荒れ、コートを脱いだ身を容赦なく取り囲みます。
気温は8℃。一度暖かくなると少しの寒さが辛くなるのが不思議です。

今朝は、XOOMやDesire HDなどAndroid端末の販売方法が、ガラケーを窮地に追いやるのではないかとの懸念について。

==

■え、XOOMは単体で買えない!?

「ハニカム端末買うんだったらauのズームがいいと思いますよ。(※)
 3Gの契約が不要なWi-Fiモデルだし。10.1インチだし。KDDIさんのデモにも使えるし。」

社内でこう言われていました。

それなので、4/8の発売日を待ちました。当日に早速ズームを入手しようと有楽町のビックカメラに出向きます。お店でズームを買いたい旨を伝えると次のように言われます。

「ここではズームは単体売りしていなくて、KDDIのWi-Fi WALKERの契約が必須なんですよ。」

Wi-Fi WALKERとはKDDIから出た3G回線経由のモバイルWi-Fiルーターです。すでにイーモバイルやソフトバンクのPocket Wi-Fi、docomoのPortable Wi-Fiなど様々な機種が出ている分野への後発投入機種です。

3GWi-Fiルーターはすでにあるのでいらない旨を伝えます。単体で入手したいのであれば、auショップに行けば売ってくれるだろうとのことです。店員さんは親切に近場のauショップが数か所記載されたコピーをくれます。地図をみると意外と遠く、結局、ビックカメラ有楽店から銀座8丁目の博品館あたりまで歩くことになりました。道中何度かTwitterでZOOMと呟いたのを「XOOMです」と間違いを指摘されました(汗)。

(※) いきなり、意味がわからないかもしれませんね。Googleが開発し無償提供しているAndroid OSは、携帯電話用での最新バージョンは2.3、タブレット用のものも開発コードHoneycomb(ハニカム)としてバージョン3.0でデビューしてきました。Honeycomb搭載のタブレット型端末は、日本では、3月31日にNTTdocomoから韓国LG製のOptimus PADが8.9インチで、そして4月8日にKDDIから米国モトローラ製のXOOMが10.1インチで発売になりました。今後もGALAXY Tabの8.9インチや10.1インチなどが次々と出てきます。

==

■ショップでは抱き合わせ販売でゼロ円

銀座のauショップに到着します。XOOMを単体で購入したい旨を伝えます。65,100円とのことです。

「ただ、こちらのWi-Fi WALKERか、KDDIの光回線をご予約いただくと無料になります。」

ショップでも同じです。Wi-Fi WALKERが販売に苦戦しているのでしょうか。モトローラから肝いりで出た最新Android 3.0 Honeycomb端末のXOOMをKDDIが独占で契約して、それを最初からゼロ円投入してモバイルWi-Fiルーターの販売促進に使っているのです。

Wi-Fi WALKERを一つ契約して24ヶ月、最低料金の1,505円で塩漬けしておくか。2年後に解約を忘れるのも痛手です。あるいはすぐに解除しても違約金が4万円程度か。65,100円より安く済みます。悩みます。それとも、自宅でのKDDI光回線の乗り換えもありです。ただ、自宅ではテレビ回線も共有しているフレッツ光なのでKDDIに切り替えるとテレビが受信できなくなります。いろいろとややこしそうです。

「わかりました。じゃぁ『購入』で、お願いします。」

ゼロ円端末なのですが、結局は65,100円で単体買いすることにしました。本来であればこれだけの端末に対して、正当な価格なのでしょう。ところがこういうやり取りの後では妙に損したような気持ちがするのが不思議です。

==

■ガラケー(通常携帯)の滅亡を早めるインセンティブ禁止と有りの乱立

社内ではこの週末にソフトバンクのHTC Desire HDを二台目端末として買った人もいました。聞くと、ゼロ円端末として出ていて、さらに毎月980円が料金補てんされるといいます。Desire HDも最新のいい端末です。かなり安く入手できたわけです。

XOOMにしろDesire HDにしろ、この販売方法ってiPhoneから復活した、いわゆる形を変えたインセンティブ(販売奨励金)ですよね。

携帯電話キャリアから小売店に支払われるインセンティブ(販売奨励金)制度は、2007年以降、総務省の指導で徐々に廃止されてきました。今や通常電話(ガラケー)を契約するときには5-6万円の価格を割賦することがあたりまえになっています。

ところが、なぜだかスマートフォンと呼ばれる端末たちを入手するときは別枠になっているようです。回線数を増やすためのキャリア間での激烈な戦いの主戦場になっているスマートフォン市場では、いきなりゼロ円端末がどんどん出てきています。

販売奨励金についてガラケーは原則禁止、海外製のスマートフォンでは最初からOK。制度あるいは指導の抜け穴だと思いませんか。このいびつな制度の乱立をそのままにしておくと、次第にガラケーが高級(高価格)端末、スマートフォンが普及(低価格)端末という図式になります。スマートフォンへの流れが一挙に加速します。

ガラパゴス諸島のように特殊進化して残ったガラケー。シンプルなラクラクホンや、おサイフケータイバリバリのフィーチャーフォンなど、いわゆる一つの「使いやすい本当にスマートな端末」の生態系、その滅亡が早まっている気がしてなりません。このままだとガラケー各種の国産メーカーは息の根を止められます。

平等な土俵を用意すべきではないでしょうか。実は自分、ガラケーも好きです。親にはスマホ、渡せません。ラクラクホンの方がスマホより格段に高いなんて、変な図式ですよね。健全な多様性は残すべきかとも思うのです。

==

ところで、このXOOM、週末を一緒に過ごしました。かなり使えます。デュアルコア、10.1インチ液晶、iPadと同重量。さすがにOS2.2のGALAXY Tabより速いしスムーズ。電池もタフ。特殊なアプリにこだわるのでなければiPadよりもよほど使えます。NHKオンデマンドもばっちり。やはりFlashが問題なく閲覧できることって重要ですね。これは明日以降にレポートさせてもらいます。

Photo_4_12_7_13_09 Photo_4_12_7_13_30 Photo_4_12_7_13_43

==

※20110412 0905 二代目→二台目 修正しました。

Comment(12)