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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

日本人はWindows Mobileが大好きという半年前のビックリ予測

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おはようございます。

月曜日早朝は始発なのに電車が混んでいます。単身赴任帰りが多いからでしょうか。

今朝は、最近のスマートフォンの販売データと少し前の予測を見ていて不思議に思ったことを。

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■Windows Mobileが年間200万台という年度初めの予測

今年の4月、つまり半年ほど前の予測を載せた記事を見ていてふと疑問に思いました。これによると、日本のスマートフォン新規販売台数の半数はWindows Mobileが占めるとのことです(ミック経済研究所)。http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100416/347192/

Smarphone_share_japan

2010年後半に出てくるWindows 7に大きな期待がかかっていたのでしょうか。それにしても、iPhoneよりもAndroidよりも多く売れるというのは、あまりにも現時点での肌感覚と違っています。

この記事には全体数のデータも書いてあったのでそれをグラフ化してみます。スマートフォン市場がそもそも大きく伸びている分野だということが分かります。

Smartphone_japan_by_os_2010

この調査と予測では、日本には法人向けに200万台近Windows Mobileの新規端末販売需要があるとのことになります。きっと、マイクロソフトによるWindows 7の巻き返しも大いに期待してこのような数字になったのでしょう。

現時点でWindows Mobileがこのような伸びを示すことはなさそうです。Windows Mobileの伸び分をAndroidが吸収する、というストーリーの方が現実的かも知れません。

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■Windows MobileをiPhoneの総数並に購入している法人層がある?

上記の数字は、確かに信じがたいです。ただ、ヤマト運輸や佐川急便は業務用に数万台単位の業務機端末導入をWindows Mobileで進めていたりしています。

様々な業務要端末としてのWindows Mobileが、200万台とまでは行かないものの、法人用途では大きな存在を占めるというのも、あり得なくは無いことなのかも知れません。

『Windows Mobileは法人、Windows Phone 7 は個人用端末のネーミングです』

マイクロソフトはこのように言っています。つまり、Windows Mobile用の歴然とした市場が、特に日本には存在していて、それは継続していくとの考え方の表明かも知れません。

もしかしたら本当に日本にはWindows MobileをiPhoneの総数並に購入している法人層があるのでしょうか?疑問には残りますが、完全に可能性は否定できない気がしています。

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■世界の4分の1のWindows Mobileが日本で売れる?

GartnerやNielsenなどが発表している世界のスマートフォンの販売台数調査、第三四半期のデータと、アメリカでのOS別シェアを見てみましょう。

Global_smartphone_3q2010_2 

スマートフォンで8000万台が売れたとの数字です。その中でAndroidが四半期で2000万台と急伸しています。

携帯電話は四半期で3億台という市場規模。これを単純に4倍して年換算してみると、概算値として、2010年は携帯端末全体が12億台、内2.5億台がスマートフォンあたりに落ち着くのでしょう。

Windows Mobileは、スマートフォン全体の3%にまで落ち込んでいます。それでも四半期で200万台超え。上記の記事の予測と組み合わせると、世界の4分の1のWindows Mobileが日本で売れてるという計算、つまり、日本はお得意様ということですね。

順位

OS

20103Q販売台数(千台)

シェア(%)

1

Symbian

29,480

36.6

2

Android

20,500

25.5

3

iOS

13,484

16.7

4

RIM

11,908

14.8

5

Microsoft Windows Mobile

2,248

2.8

6

Linux

1,697

2.1

7

その他

1,215

1.5

総計

 

80,533

100

日本では新規の端末販売が3000万台、内スマートフォンが500万台に迫る数だと言います。しかし、世界のスマートフォン総数と比較すると16分の1程度の規模でしか無いことになります。

図形にして比較してみましょう。左が日本の市場。右が世界の市場。

Mobile_smartphone_globe_japan

日本での新規販売の市場は、世界と比べるとあまりに小さいということが分かります。

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■ガラケーはスマートとすれば、日本は世界市場の10%強のスマート端末を消費

上記までの数字は、スマートフォンを、QWERTYキーボードがついたBlackBerry形式、あるいはタッチパネルのiPhone形式のものと定義している場合のものです。日本型の10キーに入ったものはスマートフォンとは見なされていません。

一方、日本のケータイが独自進化をしながら高機能である点は誰もが認めるところでしょう。それなので、これを改めて「スマートフォンである」と定義し直すとどうなるでしょうか。

解釈しなおしてみると、日本で売られているケータイで、ネット接続できないものは殆ど無いので、ガラケーは年間3000万台の新規スマートフォン市場であると、言い換えても良いのかも知れません。

すると、世界ではカウントに入っていない部分を入れると2.5億台の外数としての2500万台、つまり2.75億台の中での3000万台という計算をしても良いでしょう。日本の世界におけるスマートフォン比率は10%強になることになります。

ただし、日本においても、Android端末への大きなシフトが始まりました。これはこの秋の新機種発表でも良くわかりますね。

■Android発売済み端末
 NTT docomo
  HT-03A
  Xperia SO-01B
  LYNX SH-10B
  GALAXY S SC-02B
 SoftBank
  HTC Desire
  X06HT
 au
  IS01

■Android発売予定端末
 NTT docomo
  GALAXY Tab SC-01C (2010年11月対応予定)
  REGZA Phone T-01C (2010年12月対応予定)
  LYNX 3D SH-03C (2010年12月対応予定)
  Optimus chat L-04C (2011年2月対応予定)
 SoftBank
  HTC Desire HD 001HT (2010年11月対応予定)
  GALAPAGOS 003SH (2010年12月対応予定)
  DELL Streak 001DL (2010年12月対応予定)
  Libero 003Z (2010年12月対応予定)
  GALAPAGOS 005SH (2011年2月対応予定)
  004HW (2011年3月対応予定)
 au
  IS03 (2010年11月対応予定)
  IS04 (対応日未定)
  IS06 (2010年12月対応予定)
  IS05 (2011年3月対応予定)

Android端末は、設計が柔軟性にできるが故に、今後出てくる、ガラケー機能を実装した新しい進化形が出てくるでしょう。Android端末が大いに楽しみになってきています。

Windows Mobileが200万台を超えて普及するだろうという予測はあくまでも予測でした。しかし、半年後がこれほど見えずに進んでいるのが実態だという証拠でもある気がします。携帯端末は激動の時代にあります。主役の移り変わりは早いかも知れません。

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※20101115 09:30 世界のスマートフォン台数の図から、見づらいのでタイトルを外しました。

※20101115 09:40 表の単位、(千台)、を追記しました。

※20101115 16:30 Windows 7 → Windows Phone 7 間違いを修正しました。

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