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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

売上高が1000万円×社員数に陥る壁

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10年前よりIT業界にきて、独特な現象がみつかりました。それは、実に多くの会社の売上高が[1000万円×社員数]となっていることです。そして、そうなるのには理由がありました。

社内にお抱えエンジニアがいるとします。その人たちを技術者派遣なり案件受託なりで、フルに動いてもらうようにします。すると、不思議と人件費を1.5~2.0倍にした売上で落ち着くのです。粗利はたいてい販売管理費ととんとんになり、営業利益はかつかつという現象です。

そして多くの会社でこの壁を打ち破ろうと、いわゆる自社製品、あるいはパッケージプログラムを開発しようとします。ところが、この製品が売れるまでの道のりが長いのです。何年もかかります。突然大成功した製品の神話を聞くこともありますから、売上高の予測が甘くなりがちです。自分たちの製品にも神風が吹くだろうと。

ところが基本的に自社製品は売れません。「こんなにいいものなのに」。作る側は思い入れがあるのですが、お客様としてのメリットが打ち出せるまでには大きなギャップがあり、それを埋めるのが半端じゃなく難しいです。社内で開発されても世に出なかったものまで含めると、それこそ売れるのはセンミツ(千に三つ)レベルかも知れません。

ギャップを埋めようとするときに、選択肢がやってきます。お客様要望にあわせてカスタマイズをするのか、それとも、要望を取り入れて標準化するのか。

Choice_2

■カスタマイズをとった場合
→とりあえずのキャッシュフローは確保できる。
→カスタマイズ品の管理のためのオーバーヘッドが増大する。
→会社の売上高が[1000万円×社員数]へと逆戻りしがち。

■標準化をとった場合
→キャッシュフローがひたすら厳しい。
→売れるようになるとソフトウェアの量産効果が出る。
→標準仕様が複雑化、プログラムが巨大化して変更が難しくなる。

どちらにしても厳しいですね。楽な道は無いということでしょうか。注意することは、どちらの道を選んだとしても、振れずにそのことを追求していくという覚悟でしょうか。

標準化を選択した際の、顧客数とその際のマーケティングファクターについては『マーケティングは開発:IT製品をB2Bで売る際の道筋例』に以前記載しました。ご参考まで。

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