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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

IPv4の枯渇問題:一般ユーザーへのいいニュースと悪いニュース

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オルタナブロガーの前村さん大元さんが唱えているIPv4(アイピーヴイフォー)の枯渇問題に対して、ユーザー視点でエントリーを書かせてもらいます。昨日機会があって勉強させていただきました。

ご存じのとおり、インターネットではコンピュータを特定するものとしてIPアドレスというものを使っています。これは電話でいうと電話番号のようなものです。電話番号のようにIPアドレスも一定数の数字で表現しています。その番号が世界的に足りなくなっているという問題が『IPv4の枯渇問題』です。

JPNICのサイトにある図のように、まっとうに行くと2011年末あるいは節約や使い回しをしても2013年には物理的になくなってしまいます。中国やインドなどBRICSのインターネット利用拡大もこの枯渇問題を加速してもいます。赤いラインの降下が加速していますよね。

Ipv4

http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/ より引用させてもらっています。

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電話番号が足りなくなったときには、局番の桁数を増やしましたよね。インターネットでも同じように、その桁数を大幅に増やそうとしています。それがIPv6 (アイピーヴイシックス)です。従来のIPv4が32bit長だったのに対してIPv6は128bitになります。

IPv6の規格そのものは、IPv4の枯渇が予見された1990年代頭から打ち合わされ、1995年に初期のものが提案されました。IPv4の43億個のユニークなアドレスに対して、IPv6は43億×43億×43億×43億個のユニークなアドレスが作れます。

ところが、サービス提供者にしてもユーザーにしても、IPv6へと切替をしたところで特段にメリットがありません。そういった投資は先延ばしにされ、ついに2011年、本当に枯渇するというところまできてしまっているのです。石油よりも明確に絶対数がわかっているのにです。

「こうしなければならない!」と、理屈ではわかっていてもすぐに切り替わらないところが人類の特性を表していますね。

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「IPv6が混じってくるとどうなるの?」

例えば、サイトの情報を見るとします。そのときにIPv4が足りないと、IPv6でサイトを提供することになります。つまり、長い桁数の外線電話に電話をかける必要が出てくるのです。すると、長い桁数の外線電話にかけられる回線が必要になってきます。

その回線はインターネットプロバイダーが提供します。2011年の4月頃に、フレッツを始めとして10大プロバイダーが前後して対応を進めていくと予測されています。

そしてその際に一般ユーザーには、いいニュースと悪いニュースがあります。

悪いニュースから言うと、ブロードバンドルーターを交換する必要がでてきます。従来のIPv4のサイトだけを使い続けるのであればそのままでもいいのですが、徐々に増えてくるIPv6でしかアクセスできないサイトが増えてくると、見えないようになります。来年の夏頃にルーターを換える必要がありそうです。

いいニュースは、パソコンは変更不要、そのまま使えるということです。すでにWindows XPの頃からIPv6対応されているそうです。マックも同様。それなので、パソコン環境は変更が不要です。iPhoneやiPadなどはOS更新によってIPv6対応を進めてくるのでしょうが、来年のどこかで一斉に対応が進むのでしょう。

地デジへの切替タイミングと合っているところがなんとも皮肉ですね。地デジと違って、高速化などの目に見えたメリットが出ないところがIPv6への切替が遅れに遅れた最大の理由なのでしょう。ちなみにGoogleは枯渇問題に積極的になり、すでにYouTubeが対応済とのことです。検索サイトが対応済み、YouTubeも対応予定とのことです。

※20100513 18:27 GoogleのIPv6対応状況について修正しました。

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