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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

銀行手数料は支払元負担なのか受取人負担なのか

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★企業間でのお金のやり取りにおける、銀行振込手数料について明確な統一ルールが無いってご存知でしたか?起業してすぐのころに大いに疑問に思ったことが、10年経ってもそのままです。そろそろ統一見解を作るべきでしょう。

大企業における技術者という位置づけだった自分は、恥ずかしながら、自分で会社を始めるまで実際のお金の入金がどのようにされているかを具体的に知りませんでした。入金してもらうこと、お支払いすること、書類を書いて上司に承認をもらうところまでが仕事です。その先の実際の入出金は経理の人たちが専門でやってくれていました。

実際に会社を始めて、最初に驚いたのが、請求した金額と通帳にプリントされる金額が微妙にずれているケースが見受けられたことでした。よく見てみると、請求額に対しての入金で、銀行振込額分と思われる金額分を、引いて振り込んでくれる会社と、引かずに満額振り込んでくれる会社とがあるのです。具体的には、請求額との差が、0円、105円、210円、315円、525円、735円、840円という場合があります。

個人消費者の自分としては、振り込み手数料は振り込み側の負担だと信じ切っていたので、これには大そう驚きました。満額支払いがルールだと信じていたからです。それなので、自分の会社でも同じように負担して振り込むようにしています。実際のところ、取引基本契約にそのことを明記してあるケースもありますし無い場合もある。さらには、購買側が強い立場を利用して、手数料は売る側が負担と、契約締結時に押し切ってくるところもあります。

振り込み手数料について見ていると、老舗系の会社が減額してくる、新しいIT系の会社が満額でくる、そんな傾向もあります。「せこいか、せこくないか。そういう違いなのかな?それとも会社が古いと違うのか。」疑問は深まる一方です。理不尽さすら感じてしまいます。そこで、経理に明るいある人に聞いてみました。

「銀行手数料って、支払元が負担するものだと思うのですが、違うのですか?」

「坂本さん、それは受取人が負担というのが昔からの商習慣ですよ。」

「え? でも、一般消費者は違うじゃないですか?」

「そうですね。ただ、法人間の取引は従来から、請求した後にはお金を集金して回るのは、受け取り側の仕事だったわけです。『お世話になっていますぅ。集金に上がりましたぁ』と。」

「あ、ゴトウ日っていうやつですね。5と10の付く日に集金屋さんが回るという。だから街中の自動車も混むという。J-WAVEのトラフィック情報でよく言っていました。『今日は雨のゴトウ日、渋滞がひどいです』。なんでだろう、と不思議に思っていたんですね。それを聞きながら。」

「そうです。だから、その習慣が銀行振込みに変わったときに、集金の手数が不要になるのは受取側なので、振り込み手数料は受け取り側が払うという考えが一般化したわけです。」

「それで、ですか。古い企業ほど減額してくる傾向があるのは。」

「そうですね。それで、今の新しい企業ではそういった考えが徐々に薄れていっているので、手数料を負担して払ってくるケースが増えてきているわけですね。」

歴史は納得できました。しかし、疑問はやみません。さらに、よく見ていると、同じ銀行の支店間での振り込みだったら安いので、正直にその金額を減額している会社もあれば、理論上の最高手数料金額をそのままはめて減額しているところもあります。あまりにルール不在です。これを経理担当者が、パズルを解くかのように、手数料と思われる数字を請求金額から当てはめて引いて入金確認をしているというが事実です。

そこで提案です。いまや銀行振込でない支払いは殆どありません。そして、銀行振込は振り込む側が負担するという社会習慣に習うべきです。「銀行振込は支払元負担」とルールを一本化するように商法を変更したらいかがでしょうか。解釈の違いによる変な余地は、欺瞞を覚えさせる余地を与えるだけです。

★世界の中の日本!こういう小さなところからも正すべきです。

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