「あの会社やばいね。」壁のカレンダーが曲がっている
★モラルが高いから整然とするのか、整然としているからモラルが高くなるのか、きっと鶏と卵、両者はシンクロしているのだと考えます。
【朝メール】20090526より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□細部に気を回す
「あの会社はやばいね。」
10年一昔前の話です。ある会社に行った帰り道のことです。e-Janを始める前に、つまり1999年の夏頃、一緒にビジネスプランを作ろうといろいろな起業家を訪ねて回っていたことがあります。共同創業者の一人、当時銀行に勤めていた堀田(龍)は、その会社を評してポロッと言ったのです。疑問に思って理由を聞くと答えます。
「会議室のカレンダーが曲がっているよね。」 堀田は続けます。
「あれは社員のモラルが下がっていることの象徴なんだ。あれだけ立派なオフィスを構えていながらも、あんな風にカレンダーが曲がっているというのは、そこに勤めている人たちに、それを直そうという意識がなくなっている証拠なんだ。もちろん、町工場とか始めたばかりの混沌とした会社は別だよ。雑然さが許される段階もある。でも、整然としているべきなところが、ほころんでいるのはやばいんだ。」
ずぼらな自分は全く気がついていませんでした。しかし、信用を肌で感じ取ることが大切な能力である銀行員は違う視点で見ていたのです。その後、その会社の業績は堀田の予言どおり、業績を回復させることなく、社長は自分のブログの充実にエネルギーをかけ続け、ついには別な会社を始めて今はコンタクトが無くなっています。
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これは10年経った今、われわれにとって改めて重要なことなのではないかと思っています。
大企業に行っても、せっかく綺麗なオフィスなのに、カレンダーはともかく、カーペットは汚れ放題、壁とかドアが手垢まみれになっていることがあります。社員にしてみれば、これは自分の仕事ではない、清掃の人がやればいい、ということになるのでしょうが、社外の人からすれば一緒です。同じように、今のわれわれのところに来てくれるお客様には、そのような視点で見ている人もいるのだということです。
前のオフィスの混沌としたさまは、「がんばっているな」と、別な視点でのほほえましさがあったのかも知れません。しかし、今はそれなりのところに移り、視点も変わってきています。オフィスも少しは整然としてきて、所帯も少しずつ大きくなり、いわゆるチームワークが重要になってきた段階です。細部に気が回っているかどうかという視点で社員のモラルやチームワークを間接的に観察されているのです。
モラルが高いから整然とするのか、整然としているからモラルが高くなるのか、きっと鶏と卵、両者はシンクロしているのだと考えます。ニューヨークで犯罪激減にもっとも効果があったのが、町の徹底的な清掃と落書きの撤去だったことは有名です。だから、会議室は椅子がぴっしりと収められている、机の上やドアについた手垢は気がついたら取る、そのような整然さがあるところは、モラルも同時に高い状態でシンクロしているということです。
細部に気を回す、思いのほか重要なようです。緊急ではないけど重要なことなのですね。人目を気にするということではなく、自分たちが成功しつづけるために重要なことのようです。