資金繰りどん底のときにめぐり合ったポスター
★4年前の今頃は、「シチズンさんからの注文書をいただくまでは酒を断つ!」と、居酒屋に行ってもお酒を飲まなかった日々でした。金銭的にもとてもきつく、経理の伊達さんには連日、残高試算表を1日単位で更新してもらいながらいた頃です。給与の支払いを遅らすことを真剣に考えていました。その頃に書いたエッセーが出てきました。
【朝メール】20051122より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□トイレ前のポスター
『自分はたいした奴だ』と、思ってしまうことってありませんか?
恥ずかしながら自分にはよくあります。認められること、褒められること、励まされること、これには抗し難い魅力がありますよね。少しでも、認められたり、褒められたり、励まされたりすると、無我夢中、全力で頑張ってしまいます。それが成果を上げたりでもすれば、さらに次を求めて頑張ってしまうのです。
でもこれって、いわゆる『認める褒める励ます手段』を使って人を操縦する術ですよね。自分は操縦されやすいのです。さらに、しばらくすると操縦されていることすら忘れて『自分はたいした奴だ』と勘違いしてしまうのです。
あるとき、たっぷりと浴びていた『認める褒める励ます』が不足してきたとします。すると今度は『自分はたいした奴だ』を維持するために、『相手の人間的な価値を貶めて、自分の自尊心を満足させたい』という、モラルハラスメントの欲求に至ったりします。なんとも嫌ですね。確かに『自分はたいした奴だ』と思っている人って、見ると物悲しいお粗末さを感じます。
どんな発明家だろうが、政治家だろうが、経営者だろうが、スポーツ選手だろうが、デザイナーだろうが、作家だろうが、そんなそぶりが見えてくると内心がっかりするものです。「あらら、どうしちゃったの、この人?」と。それが自分の姿に重なるとしたら…、想像するだけで穴に逃げ込みたくなります。
さて、そんな、自分の傲慢さに嫌気が差しそうなときにふと目にする言葉がありました。近所の居酒屋さんに知夢仁(ちむにー)というところがあります。そこのトイレ、ちょうど目の前にポスターが張ってあったのです。
【つもり十か条】
・高いつもりで低いのが 教養
・低いつもりで高いのは 気位
・厚いつもりで薄いのが 人情
・薄いつもりで厚いのは 面皮
・強いつもりで弱いのが 根性
・弱いつもりで強いのは 自我
・深いつもりで浅いのが 知恵
・浅いつもりで深いのは 欲望
・多いつもりで少ないのが 分別
・少ないつもりで多いのが 無駄
「はっ」とさせられることってひょんなところにありますね。
「こういう自己修正をかけ続けなければ、傲慢になってしまうのだなぁ、、」
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組織の目的は構成メンバーの力を最大限に発揮させるところにあります。
組織の中で、自分のような『勘違い男』を増やすことは、破壊的な結果をもたらすのでひたすら厳しく処するという手法もあります。一方、認めて褒めて励まして、その中から『勘違い男』の長所を伸ばし、楽しく成果を上げていくという選択肢もあります。自分はこの会社ではそちらの選択肢を選びました。
ただし、この選択肢を成功させるには個人の謙虚さが大切なのだなと、改めて思います。謙虚であること、ありつづけることの難しさも感じています。そんな賢いメンバーの集積体であることが前提です。認めて褒めて励ましあいながら組織を伸ばしていくという理想的手法は、一人一人の謙虚さの上に成り立つということです。なんとも難しいですね!
===post script===
居酒屋さんに行ってもアルコールは飲んでいませんよ!何としても注文書を肴に呑むまでは。
★苦しいとき、傲慢さへの反省を思い知らされていた頃でした。そして、この直後にシチズンさんから注文書をいただき、さらには追ってすぐに入金まであったときには、拾ってくれる神の存在を確信しました。
★こういった気持ちをいつまでも忘れないためにも、記録をとっておくというのは大切ですね。