ゼロ戦のすごさはスターからではなくチーム力から生まれた
★人はスターになりうる要素を必ずどこかに持っている。人の要素の平均値が取り出されただけでは凡庸な組織ができる。人のスターの要素を強調し同じ方向に向けることができるとチームとして力を発揮する。その力を継続的に一方向に向け続けることができると弾み車が勢いをつけていく。そして、その方向は簡単なことばで表現される。
【朝メール】20070122より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□チームワークって?
先日、川上さん※と軽呑みに行きました。早速の話題です。(※創業前からいろいろと相談に乗ってくれているビジネスの先輩です。)
「史郎さんがお勧めだという『ビジョナリーカンパニー2』、読みましたよ。」
「あ、なんだか嬉しいです。どうでしたか?面白かったとは思いませんか?」
「いやぁ、参りましたね。日本の武士道とか、道徳とか、そういった伝統的なノウハウが、ああいった科学的手法で明確にあぶりだされてしまうと、日本企業のアイデンティティがなくなってしまって、困ってしまいますよねぇ。」
「確かに、ああいった、とかく精神論になりがちなところにも科学的アプローチをするところがアメリカのすごいところですよね。」
「でも、あそこに記載が無かったこともありますね。」
「と、いいますと?」
「私はそれほど松下幸之助が好きなわけではありませんが、彼が言っていた『会社は人生の道場である』とか、そういったあたりのことについてです。」
==
『いいメンバーはバスに乗せ席につける。同調しないメンバーはバスから降ろす。それでバスの行き先を決めながら進んでいく。』何度か書きましたが、『ビジョナリーカンパニー2』で示されている、長期的成功を収めるためのひとつの重要概念です。『道場』と表現した川上さんは、同調しないメンバーをバスから降ろしてしまうところに違和感を感じたのだと言います。なぜならば、人は成長するものであって、その成長の余地を考えれば、そのバスからいきなり降ろすという選択肢もないのではないかとのことなのです。
確かに、会社を道場と理解する、そして、道場は練習の場、成長の場、というふうに解釈するのであれば、それはその本から欠けている概念だといえます。バスの構成要員が成長する、変化することがあるのであれば、降ろさなくてもバスがスムーズに運行できるはずです。あえて最初に降ろしてしまうこともないわけです。
こんな話をしている中で、根本的に、今のe-Janが与えられている状況を考えていたのです。一人一人のメンバーは確かに優秀です。いわゆる中小企業が困っているような人材不足を自分は感じたことがありません。ところが、自分を含め、その一人一人が他の誰にも負けないというような最強の一人一人かといえば、そんなこともありません。どこにも自分より上手がいるということが理解できているメンバー達です。
では、なぜ、このような多数の大手の会社に対して拡大の弾み車が廻せるようなチームが出来上がってきているのでしょうか。実際にこの2年でやりえたことと、それを乗り越えてきた社員数を考えてみると、これはひとつの奇跡的状況なのだと思えてしょうがないのです。
そこで話してみます。
==
「もうひとつ欠けている話としては、チームワークが何故発生するのか、ということですね。最強のメンバーを集めたからといってそれが成功するわけではないですよね。いわゆる普通の人たちでも、チームワークを発揮できれば、それで奇跡的なことも起せます。きっと将来振り返って、今の状況を見直してみるとそれがはっきり奇跡的な状況だったということもわかるはずです。」
「そうですね。ところで、史郎さん、ゼロ戦を開発した堀越二郎ってご存知ですか?」
「いや、あまり。。」
「もともと、戦闘機ってイギリスの設計技術者から教えてもらいながら作っていたんですね。そこに、山本五十六が『国内技術者だけで戦闘機を作るんだ』という方針を出したんですね。そんな方針の中で、堀越二郎は入社3年目のときに、他に誰もいなかったから選ばれた、という程度の人だったんですよね。もともとの天才的手腕を持っていたとかそういうことではなかったようなのです。」
その人がチームをまとめあげ、鋲の形状変更からタイヤの格納の仕組み、さらにはジュラルミンをベースとした機体素材に革命を起こし、改良を重ねて世界を驚かせたスピードが出せる戦闘機を作っていったとのことです。
==
どうやら、奇跡的を起すには何らかのチームワークが介在しているのが明確です。その後も、様々な議論を重ねたとところ、成功するチームワークには次のような要素があるのではないかという仮説にたどり着きました。
・人はスターになりうる要素をどこかに持っている。
・人の要素の平均値が取り出されただけでは凡庸な組織ができる。
・人のスターの要素を強調し同じ方向に向けることができるとチームとして力を発揮する。
・その力を継続的に一方向に向け続けることができると弾み車が勢いをつけていく。
・その方向は簡単なことばで表現される。
コーチングとかいう要素でしょうか?どうもそういうものよりも、もっと、能動的な、一人一人の貢献要素が強いものなような気がします。ビジョナリーカンパニー1はエクセレントカンパニーについての分析、ビジョナリーカンパニー2は英語題が"Good to Great"、つまり、それなりにいい会社がより優秀な会社に変わっていったサンプルの分析です。
「このチームワークをもったベンチャーが、頭角を現していくというテーマで、ビジョナリーカンパニー3が書けますね!(笑)」
どうやらチームワークを発揮させる辺りにヒントがありそうです。そういう意味では、一人一人油断できませんね。今後も様々試してやっていきましょう!