桶で考えるとわかる組織や製品品質
★考えてみると桶に水をためられること自体が不思議です。
【朝メール】20080115より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□桶(おけ)
桶を想像してみてください。木製の水を貯めるような桶です。
幅約8cm厚さ約1cmのこげ茶色の長細い板が、底にある円形の板に沿って縦にぐるりと丸く並んでいます。そして、そのぐるりと回った板たちを銅色のタガが周りから締めています。これで桶の形をしています。
ところがこの桶、よく観ると妙にいびつです。どうやらその板一つ一つの長さが違っています。妙に長い板もあれば妙に短い板もあります。それなので上の端が揃っていません。
さらに板をよく見てみると少し曲がっているものもあります。縦に並んでいると、板の間に微妙な隙間が空いていたりします。別な板には節の穴があります。節が抜けてしまって穴になっているのです。
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さて、ここに水を注いでみます。
まずは板と板との隙間があるところから水が染み出てきます。タガの位置を調整して板の並び方を手直しして隙間を埋めます。一安心、とりあえず下の方から出てくる水は止まりました。水を追加します。
すると、しばらく水位は上がったのですが、節目が抜けている穴のところから今度は水が勢い良く飛び出てきます。穴が開いていればそこから水が出るのは当たり前です。穴をパテで埋めます。そしてまた水を加えます。
意外なところにまた別な節穴が開いています。当たり前な物理的現象です。次に低い穴から水が飛び出すのです。穴をどんどん埋めて、途中で問題になる板の曲がりによる隙間を調整して、水がどんどん貯まるようになりました。
それでも、今度は一番短い板の上限にくると水はそこからあふれてしまいます決して一番長い板の位置まで水は貯まりません。
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これって、組織そのものですね。あるいは製品品質と言い換えてもいいのかも知れません。組織のあるいは製品の品質は一番低いところにある穴で決まります。突出した板が威張っていてもそれでは桶という期待される機能を発揮することはできないのです。
一人一人が板でありながら、会社という桶を構成しているという概念だともいえるでしょう。そう思うと板の一つ一つが如何に全体の機能に貢献しているのかということも分かります。仕事に穴があってもいいものが無いということも分かります。
水を漏らさないようにする意識というのはその板一枚一枚にかかっているのだということですね。
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★たとえ長くて厚くても節目のあいた板というものもあります。それがその長さ自慢で傲慢になってしまっていたら、やはり桶は機能できません。節目を埋めるような助けてもらえる要素があるとすれば、それはその板が謙虚である場合です。