空間とソーシャルをつなげる「3W」
■O2Oの時代
O2O(Offline to Online※、オフラインとオンラインの融合)は企業のマーケティングの課題として、とてもHOTなキーワードです。(※Online to Offlineとも言われる)
いかにリアル空間の情報をインターネット上に発信するか、企業側の視点としては、せっかく自社の空間に来てくれたのだから、ぜひユーザーに発信してもらいたいはずです。
例えば、ユーザーがソーシャルネットワークに位置情報を発信することで、空間とソーシャルが融合し、ソーシャル上の友達は「○○さんが△△にいます」という情報を目にすることになり、その空間に対しての興味が醸成され、ビジネスチャンスはさらに拡大します。
僕は休日はスターバックスで作業をするのが日課ですが、必ずといっていいほど写真付きでチェックインの情報をソーシャル上に上げています。そして、そのたびにソーシャル上の誰かが反応してくれます。
■空間に潜む「3W」をいかに作るか
僕たちが空間からソーシャルへ発信する際の情報から読み取れる要素を分解すると、以下の「3W」が潜んでいると考えます。
Where ―「今どこの空間にいるのか」
What ―「その空間で今何をしているのか」
Who ―「その空間に誰といるのか」
以下のキャバ嬢の動画をご覧ください。
キャバ嬢はソーシャル上の情報から、誰が(Who)どこで(Where)何をしているのか(What)を偶発的に見つけました。このように情報の受け手はソーシャル上の空間情報の「3W」を無意識に汲み取り、アクションにつなげていることは多いのではないでしょうか。
企業側の視点で言えば、「3W」を発信したくなる要素を散りばめた空間をいかに作ることができるかが、空間とソーシャルメディアをつなげる上でのポイントだと考えます。
■デバイスによる発信情報の変化
空間とソーシャルをつなげるためのアシストとしての外的な環境、インフラは整いつつあります。現在、ソーシャルメディアへのログインはPCとスマートフォンが混同している状態です。
しかし、キャバ嬢の動画でお伝えしたWindows Phoneの「People Hub※」やFacebookもiPadへの最適化された専用アプリを先月リリースしたりと、モバイルデバイスとソーシャルメディアが密接になってきています。そうなると、「近況の発信」や「リアルタイムでローカルなニュース」を発信できるタイミングが多くなってくるでしょう。
(※WindowsPhoneにTwitterやFacebookのアカウントを登録しておけば、アドレス帳に、自分がフォローしている人やFBの「友達」が表示され、さらに、そのみんなのTwitterやFacebookへの投稿をまとめて表示してくれる機能)
■増加する位置情報
そして、スマートフォンの標準機能としてGPSによる位置情報がありますが、ソーシャルメディアと位置情報が絡むことで、今後ソーシャルメディアで発信される情報のうち、位置情報が占める割合はますます増えてくるのではないでしょうか。実際、2012年から2013年にかけてモバイル位置情報サービス市場(Location Based Service)は大幅な成長をすると予測されています。
Mashable!に掲載されていたソーシャルメディアマーケティングに関するインフォグラフィックでは2010年のFoursquare上における総チェックイン数は381,576,305に上ります。
■テクノロジー助長の先
僕は日本においては放っておいても"チェックイン"はもっと浸透するのではないかと思っています。 意外なことに、まだ日本ではFacebookのチェクインはあまり知られていない、(使われていない)ようですが、
日本にチェックインが広まる土壌は大いにあります。理由は現在の日本のソーシャルメディアを取り巻く以下の3つの外的状況です。
・スマートフォンとソーシャルメディアサービスの融合
・近年の日本におけるFacebookの急速な普及
・Twitterでできあがった「なう」の文化
チェックインを始めとしたジオメディアテクノロジー、デバイスとソーシャルの融合はこれからどんどんと増えていくことでしょう。しかし、テクノロジーの発展に相乗して空間情報を発信したくなる機会が増えてくるとは限りません。結局空間とソーシャルを繋ぐのは僕たちユーザー次第だからです。
僕たちは自分たちにメリットがない限り発信はしません。前段に戻りますが、その際にヒントになるのは「3W」ではないでしょうか。
(Where)空間には位置として発信したくなる要素があるのか、
(What)その空間で何をしてもらえば発信してもらえるのか、
(Who)誰といると発信したくなるのか
テクノロジーをただ導入するだけではなく、ユーザーの立場に立って「3W」の空間創出をすることでコミュニケーションの幅が広がり、空間とソーシャルをつなげていくのだと思います。