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技術で勝って、商売で負けていませんか?

補助金3千万円を得てマスク生産に新規参入する

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今年に入ってからは、ここまでずっと新型コロナウイルス拡大の懸念一色でずっと毎日が経過してきました。

どの報道番組や新聞紙面を見ても、毎日まずはこの話題から入るのが常態化していますが、この先どうなるのでしょうか?

さて、感染予防に最も有効な手法の1つがマスクの着用だと言われていますが、いかんせん、いつまで経ってもドラッグストアやスーパーには出てきません。

政府も黙って見ているだけではなく、補助金の支給を始めました。
その内容ですが、経済産業省はマスクの増産へのテコ入れとして設備投資をするメーカーに最大3000万円を補助するというものです。
これは、既存のマスクメーカーに限らず、異業種の事業会社にとっても有る種、チャンスかもしれません。マスクの製造に新規参入する機会が到来したからです。
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ではこの機会、生かすにはどうすれば良いのでしょうか?
まず既存のメーカーにとっては設備投資を新たに行って、増産体制を整える、という手立ては十分に検討すべきでしょう。
しかし考えるべきは、生産拠点(工場)の拡充体制が整うのか、です。
もちろん遊休設備をそのまま活用できることに越したことはありませんが、今回の補助金の支給要件が3月末までに設備を導入する、という点が引っ掛かります。
新規設備を入れると稼働開始までに1年近くかかる、と言っているメーカーもあります。検査体制を人員確保も含めて整えないといけないからでしょうか。
ちなみに、異業種から新規参入するシャープは、液晶ディスプレーを手掛ける三重工場(多気町)で、マスクの生産を今月半ばにも始める。塵などがないクリーンルームの空きスペースを有効活用すると言います。

次に上記のシャープもそうですが、異業種からの新規参入です。
生産設備だけではなく、用地や工場の確保および人員の採用まで含めて自前で用意しないといけません。
支給要件である今月末に設備を導入するためには、時間が無いのが実情です。
政府もマスクの増産を急いでいますので、仕方のないところですが。

あともう1つ、マスクの材料である不織布が産地の中国から買い付けしにくい今の状況もありますが、
これらの懸案材料をクリアしてマスク生産への特に新規参入を果たせたとしましょう。
次に課題になってくるのが、新型コロナウイルスが終息した後の設備および事業の行方です。
引き続き、マスクの生産事業で経営を成り立たせることを続けていくことを前提に事業計画を立てないといけません。
可能でしょうか?
筆者は、普通のマスクを作っているだけでは厳しいと考えています。
マスクメーカーには、すでに中堅の非常に多くの企業が存在していて、月産でも各社10万枚〜数百万枚の規模を維持しているのです。

そこで事業継続のために必要なことは、技術より独創性を出すことに尽きます。
これはあらゆる事業・業種において言える定理です。

そして大事なことは、売上高営業利益率を10%確保できるのかどうかであり、もしできないのであれば撤退すべきです。

以上のようなことを考えて、政府の増産要望に応じるべきかどうかを時間が限られた中で検討すべきなのです。



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