いまサービス業の労働の場で起きている事
人類の歴史において、過去に例がないくらい史上最速のスピードで進む我が国の高齢化およびワンセットで進む少子化。
これらの諸問題は、様々な弊害を生み出しています。
サービス業を中心とした人出不足・労働人口の減少や各種産業の現場、例えば農業や漁業、建設の現場での深刻な高齢化です。
しかし処方箋が全く存在していない訳ではありません。
出産を終えた女性の社会への復帰も重要な対策ですが、もう1つ忘れてはいけないのがシニアの労働現場での活用です。
今回は筆者が見てきた労働の現場として、特にサービス業の職場における変化について少し書きたいと思います。
特に顕著な傾向として感じているのが、シニア層の人たちがどんどん飲食店や物販の職場で働き始めているという点です。
ひと昔前までは、会社員時代の職場で定年まで過ごして、退職後は自宅でのんびり過ごすか、働くと言ってもグループの関連会社に再就職する、というパターンが主でした。
ところが再就職のルートも昔に比べたら限られるようになり、より成果を求める風潮が会社方針として強まる空気の中では、なかなか第二の職場に恵まれる機会が減ってきているのです。
そこで彼らが再び働き始める場として選んだのが、全く縁も経験も無い飲食店や物販というサービス業の現場でした。一般公募をして面接試験を経て入店する訳です。
なぜ彼らはそこまでして働こうとしているのでしょうか?
会社員時代の修行僧のような約40年の勤務を経て手にした退職金が有るはずなのに、です。
彼らの目的はどうやらお金だけではないようです。
退職後以降、すっかりなまってしまった身体を再び動かす、つまり健康のために働き始めるのです。
どうせ新しい職を探すのなら、身体を十分に動かす事のできる職場がいい。
ということで、動き回る必要のある飲食店やスーパーマーケット(グロッサリーストア)での物販や裏方としての職を得る訳です。
サービス業で動き回って働き続ける事で、シニアの身体は会社員時代にむしばまれた状態から少しずつゆっくり健康な状態を取り戻すのです。
と同時に彼らにとっては十分なお金を給与として得る事もできるので、消費生活もますます豊かになり、国内経済にとっては良い事尽くめと言えるのではないでしょうか。