クルマを買わない若年層
日本自動車工業会が先日発表した2015年度の乗用車市場動向調査によると、クルマを保有していない若年層(10~20代の社会人)のうち、購入の意向がない層が 59% にも上りました。
「買いたい人」が13%、「まあ買いたい人」が29%であるのに対して、「あまり買いたくない人」が31%、「買いたくない人」が28%もいたのです。
クルマへの関心度でみても、関心がない層が69%にも達しました。
内訳は、「非常に関心がある人」が7%、「まあ関心がある人」が24%であるのに対して、「あまり関心がない人」が40%、「まったく関心はない人」が28%にも上ったのです。
クルマを買いたくない理由の上位は、「買わなくても生活できる」「今まで以上にお金がかかる」「クルマ以外に使いたい」などと経済的な理由に関する回答が多いのでした。
もちろん、クルマを保有することによる利便性の向上を認める人は多いのですが、ネガティブなイメージには深刻な問題が内包されているように思えます。
「ガソリンや駐車場代など維持にお金がかかる」「購入するのに多くのお金がかかる」などです。
筆者のようにミドルエイジ層にしてみれば、こういう時代が到来すること自体、昔にはとても想像できないことだったはずです。
特に男にとっては、ある一定の年齢に達したら必然的にクルマは必要になるものであり、当然のように購入していく、というある種、当たり前の考えが染み付いていたからです。
自動車業界の人たちにとっても同様なのではないでしょうか。
クルマを買わない人たちがどんどん増えていくことは想定外であり、誰もが当たり前にクルマを買っていく中で、どのように他のライバル社のクルマとの競争に打ち勝って選んでもらえるか?という視点だけが頭の中を支配していた可能性が高いからです。
これらのことを勘案すると、この先は自動車業界にとっては今以上にもっと難しい時代が到来するのだと容易に想像できるのです。
まあ、例えば自動車業界で言えばこういった先行きの不透明感があるからこそ、人々は貯蓄志向を強めて、モノをますます買わなくなっていく、という負のサイクルが回っていると思うのです。