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オフィスを気合い入れて作ってどうなったか?あるいは僕らなりの働き方改革

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2年前に、ウチの会社のオフィスについて、こんなブログを書いた。

A university is not a building.あるいは僕らがオフィス移転をする理由
この時はまだ設計段階だったので、「こんな考え方で新オフィス作ってるよ」という経過報告にあたる。一言に要約すると

「ショボいオフィスで工夫しながら色んなことをやってきて、手応えを感じている。理想のオフィスがあったら、もっとずっと楽しく、効果的に、大々的にできるのでは?」というストーリーになる。

「働き方改革のためにオフィス引越ししよう」みたいな考え方はダサいと思うけど、今やっていることをブーストする手段にはなるんではない?という意図だ。


その後、無事に僕ららしいこだわり満載のオフィスができて、紹介のためにこんなブログも書いた。

ファシリテーターの殿堂、あるいはプロのファシリテーターが会議に最適な場をガチで作ったらこうなった

今日は、新オフィスに引っ越して1.5年がたった現在、僕らのワークスタイルがこんな風に変わったよ、という話、いわばオフィスというハードではなく、ソフト面(働き方)の話だ。


★社員の変化「自社に帰らない⇒オフィスに集う」
これまで僕らはずっとお客さんのオフィスに常駐し、お客さんと共にプロジェクトをやるワークスタイルだった。だから当然、家からお客さん先に直行し、直帰する。自社のオフィスには月に2回程度しか行かない。自社のオフィスに来ていた社員が「客先に帰ります」と言ったりしていた。

オフィスを作ったことだけが理由ではないが、2年前に比べてもオフィスに戻る頻度はかなり上がった気がする。僕自身が典型例で、週に1.5回程度自社オフィスに行っていたのが今は週3.5回くらいだろうか。
客先でバラバラで働くのではなく、オフィスでちょいちょい顔を合わせれば、ちょっとした仕事の相談が出来る。
「最近どう?」「いやー、ハマってます」という相談パターンもあれば、
「そう言えば、前のプロジェクトでアレやってませんでしたっけ?今度僕らもやるんですよ」とプチレクチャーに繋がるケースもある。
特に金曜日は一斉帰社日なので、オフィスの至るところでゴニョゴニョとミーティング的なことが行われている。こういう風景は、作った側からすると実は嬉しい。「カジュアルなコミュニケーションが将来の何かを生む」と狙いをもって設計したので。

アリーナ裏2.png

ステラ2.png

本来バーとして設計したところで真面目なトレーニングしていてびっくりしたりもする。ウィスキーの大瓶と真面目なトレーニング内容のギャップがシュールだ。

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社内の飲み会もオフィスでやることが多くなった(お客さんをお招きして簡単なパーティやることも多い)。
レストランや居酒屋を予約するよりも安く済むので、しばらくすると幹事がケータリングにこり始めた。最近のブームは寿司職人だ。

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以前は極端に帰らないオフィスだったので、とにかくBefore/Afterの差が激しい。これは単に素敵なオフィスを作ったから、というだけでなく赤坂という立地も貢献している。

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この落書きはオフィス移転の2年前のハッカソンで「帰りたくなるオフィスを作ろうチーム」が一晩で作った企画書の抜粋。豊洲という離れ小島ではなく、神楽坂ならみんなの帰宅ルート途中にあるから、直帰せずにオフィスに立ち寄るよね、という意味。(当時は東京の中心でご飯が美味しい場所として神楽坂を妄想していた)

物件を探す中で、神楽坂よりさらに便利な赤坂に変更したけど、「立ち寄るためにはまず立地から」にこだわったことは正解だった。
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★社外との接点「招けない⇒招きまくる」
前のオフィスは東京の中心にないというだけでなく、そもそもお客さんを全く招けないオフィスだった。個人事業主でもあるまいし、こういう会社も少ないだろう。
上記のように、そもそも僕らにとってオフィスは日常的に行く場所ではなかったために、お金も関心も注いでいなかったのだ。だから「招けない」があらゆる企業活動で大きなハンディになっていることに、気づかなかった。引っ越して多くの方をお招きし、ようやくかつて失っていたものに気づいた。

当たり前のことだが、オフィスに社外の人をお招きすると「僕らケンブリッジは何者か?」を直感的に伝える事ができる。僕らのようにあまり有名ではない100人程度の会社、そしてコンサルティング会社という、やっていることが伝わりづらい会社にとっては、とてつもなく大事なことだ。
「ファシリテーションが得意です」
「書くと、議論の生産性が上がります」
などと口で言っても伝わらない。
でも、オフィスに来ていただいて、そこらでウチの社員が活発に、楽しそうかつ真剣に議論している様子を覗けば、くどくど言わなくても伝わる。お越しいただいた方に実際に議論に参加いただければ、さらに実感できる。


【セミナー/トレーニング/営業活動】

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だからセミナーや社外向けトレーニングは必ず自分の会社でやるようになった。
会場を何ヶ月も前から予約する必要もないし、場所代もかからない。このカジュアルさは「良い事例ができたから、いっちょセミナーやりますか」というフットワークにつながっている。

そして、案件のご相談(営業活動)も、お客さんの方からなるべく起こしいただくようにしている。申し訳ない気もするが、先方も自社の命運を左右する大切なプロジェクトをともにするパートナーがどんな奴らなのか、見極めたいと思っている。双方にとって良いことなのだ。
そして「この雰囲気、仕事の進め方をウチのプロジェクトでも再現してほしい」とよく言っていただく。


【採用】
もう一つ、社外との接点で重要なのは採用候補者だ。
昔は「入社日まで、ケンブリッジのオフィスに足を踏み入れたことがなかったので、実は本当にあるのか不安だった」なんて言われたこともあった。採用活動としてはかなりのダメさだ。

別に「かっこいいオフィスに憧れて入社しました」という人を増やしたい訳ではない。そんな社員はいらない。ではなくて、「この会社の一員として、こんな感じに毎日面白おかしく歯を食いしばるんだな」とイメージしてもらえるかどうか。
今の開放的なオフィスに来てもらえれば、社員同士がどんな関係で仕事しているのか分かる。そして採用を担当していない社員とも何気なく話したりする。やっぱり人生を左右する重要な意思決定になればなるほど、この手の「実感」は大きく作用する。理屈で思っているよりも。


【プロジェクトの集中討議/サンセットミーティング】
プロジェクトの立ち上げや締めなど大事なポイントで、丸一日籠もって集中討議をする。これまでは保養所などでやる場合が多かったが、今は僕らのオフィスで開催することもある。お客さんにとっては僕らのオフィスもある種の「非日常体験」だし。それでいて手軽だ。

「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書」でも書いたとおり、プロジェクトの立ち上げ段階でみっちりとやりたいことをすり合わせ、みんなの気持ちを「イケる気がする!」まで持っていくのは、プロジェクトの成功にとってとても重要。丸1日、丸2日の議論の成果が目に見える形で蓄積し、全員の認識が揃うところが集中討議のミソなので、それに最適な壁をデザインした。狙い通り使えていると思う。

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写真は、1年間のプロジェクトを振り返るサンセットミーティングで、プロジェクト年表を壁に貼ったときの様子。大きな壁があるとこういう遊びができるのもいいね。
ケンブリッジが直接関わっていないプロジェクトのサンセットミーティングのために、場所を貸したりもしている。世の中のプロジェクトのワークスタイルが、間接的であれこうして良くなっていくことは、僕らのミッションでもある。


★仕事なのか、遊びなのか・・
せっかく箱を作ったのだから、使い倒したい。
だから僕らは「オフィスは仕事だけをする場」とは思っていない。社員がいい感じに使えればいいじゃないか。そうして多様な人が交わる場所となれば、何かが起きるかもしれない。真面目な講演会を企画する社員もいるし、遊びを企画する社員もいる。どっちもあっていい。

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写真は、酒好き(というレベルを超えているが・・)の社員が酒蔵の方を呼んで開いたイベント。色んな酒が飲めて裏話が聞けて1000円だったらしく、こういうのも場所代がかからないことの良さ。
去年のワールドカップの時は物好きが夜中に集まり、大画面鑑賞会をした。その辺のスポーツバーよりずっと画面が大きい(ああ、この写真のときはまだ2対0だったのだ・・)。

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グループリーグ最終戦の時はセネガル戦の結果も大事だったので、2画面同時中継。あれは熱かった。メインとサブ、2つの壁を作ったかいがあった(笑)。

【ファミリーカミングデイ】

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忘れてはいけない重要な社外関係者として、社員の家族がいる。これまでパーティなどには呼んでいたが、社員がどこでどんな風に仕事をしているか、ご家族からは良く見えなかったことだろう。
せっかく招けるオフィスができたのだから、ファミリーカミングデーを開催してみた(こういうのを呼びかけるとボランティアがさっと集まって色々企画してくれるのがウチの会社の底力であり、素敵なところだ)。
お父さんお母さんが働く会社になんとなく親近感を持つ、というのは悪くないものだ。ウチの娘なんかも「将来入ってもいい」とか言っている(めんどくさいので僕は嫌だが)。
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★1.5年たってみて。
オフィスに投資をするというのは、典型的な「事前に費用対効果が測定しにくいタイプの投資」だ。普段、業務改革プロジェクトで費用対効果の分析をやるが、自分たちがオフィス移転をする際には効果の見積はしなかった。
「費用対効果が事前に見積れる意思決定ばかりなら、経営者はいらない」
とはある尊敬するお客さんの言葉だが、僕らにとってのオフィス移転も完全にこれだった。

僕の中には漠然と
「今までやってきて手応えのあることを、新オフィスでブーストできる」
「オフィスを引っ越すことで、この会社を1段だけ、違う次元に引き上げられる」
という予感はあった。
だが確信まではなかったし、ロジカルに他人を説得できるほど理論武装ができていた訳ではない。でもやるべきだと思った。
やってみた結果、手応えは予想以上ある。確実に会社が変わった。効果を測定するのがバカバカしくなるほどに。

多分、気合を入れてオフィスを作ったところで、すべての会社でこういう変化が起きるわけではないだろう。
僕らの場合はBeforeが特別ひどかったことと、Afterを活かしきろうと、社員みんなが思っているからこそ起きた変化だ。
・ナイスな箱
・箱のコンセプトと経営方針の一致
・社員の遊び心と余裕
・おおらかな方針
これらが揃って初めて、起きたことだと思う。

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とりあえずオフィスを気軽に覗いてみたい、という方は、ケンブリッジの無料セミナーにエントリーするのがてっとり早いと思います。直近だとデジタルマーケティングのセミナー(マルケトさんと共同開催)とか。
https://www.ctp.co.jp/seminar/

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