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メンツなんでどうでも良くない?あるいは品質を上げることを第一に考えよう

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★お客さんの前で、同僚を後ろから刺す


「同僚コンサルタントに、お客さんの前でダメ出しをしてはならない。絶対に」
という規範が僕の会社にあった。僕が入社した頃(13年前)の話だ。

まあ、お客さんの前でコンサルタント同士が喧嘩を始めたら、そりゃ問題だとは思う。お客さんの前でダメ出しをするということは、事前に提案を充分練れていないということだから、そういう意味でもNGだろう。

だが、ある時から、僕はこのルールに従うのをやめた。プロジェクトチームを結成した時、「これからはお客さんの前であろうと、良い物は良い、ダメなものはダメと言おう」と話して、実際にそのように振舞った。例えば上司がお客さんに言ったことに対しても「それ、僕は違うと思いますけど」と生意気なツッコミを入れたりした。
そういう風に「ガチな」議論をしたくらいでは壊れない信頼関係ができている自信もあったから。

実際にやってみると、意外な事にお客さんにはとても好評だった。
「用意してきた案を押し付けられるのではなくて、新たに出てきた情報もふまえて、最後までベストな方法を考えぬいている感じがする。それが信頼出来る」と。

プロジェクトでの検討、特に立ち上げ期にプロジェクト計画を練る時には「正解」はない。100%充分な情報を集めて意思決定することもできない。だからこそ、考えぬく事が大事なのだ。この時のお客さんは、それを理解してくれている、とても大人な方々だったのだ。

★誰かにダメ出しをするときは、みんなのいないところで?
部下への接し方マニュアル的な本やブログ記事を熱心に読んだことはないのだが、たまには目に触れることがある。そうすると結構な頻度で

「叱るときは、相手のメンツを潰さないように、
  みんなのいない所でやりましょう」

と書いてある。
これだけ取り出して読むと「まあ、そうかもね」なのだが、実際にそのとおりにやろうとすると難しい。

ダメ出しとはなんだろうか。
単なるイジメの一貫ではない(仕事中にそんなショウモナイ事をやっている暇はないだろう・・)もっと品質を引き上げる必要がある時、その第一歩として、まずはイケてなさを理解してもらうためにやるものだ。

そしてここがポイントなのだが、ダメ出しはタイミングが大事だ。3日後にやっても、ピンと来ない。すぐさま品質を引き上げるアクションが必要なことも多いので、1対1でこっそり話ができるタイミングを待ってられない。
結果として、みんなの前で「なぜこれがダメか」を、本当に実感出来るようにきちんと話すことになる。しかもたいていは、逃げ場がないフィードバックになる(実感が大事だから)。
そしてすぐさま、どうしたらもっと良くなるか?を議論し始める。落ち込んでいる暇はない。

★メンツより大事なもの
上に挙げた2つのエピソードには、共通点があると思っている。

「同僚のメンツを大事にする」<「ベストな品質を追求する」

という考え方だ。

例えば2つ目のエピソードの実例として、「セミナーで使う講演資料がイマイチだった時」を考えてみよう。
・Aさんが講師を務めるセミナーが来週に迫っているので、リハーサルをやった
・参加したのは、社内の5,6人
・ところが、話す内容も資料もグダグダだった。
・この場を逃すと、講師Aさんと対面で議論出来る機会はない

こんな状況の時、その場でダメさをストレートに伝え、改善方法を議論し始める以外に、選択肢はない。
もしそこで「ここではみんなが見ているから、厳しいフィードバックは後で・・」とか考えていたら、どうしても品質を引き上げる方は疎かになる。
結果的に、貴重な時間を割いてセミナーを聞きに来てくださる来場者の方に迷惑をかけることになる(または、睡眠時間を提供することで感謝される)。
そして一番恥ずかしいのは、メンツに配慮してあげたはずのAさんである。ダメな講演をしてしまう訳だから。



仕事をする時に、メンツは邪魔だと思う。
そんなことを考える暇があるなら、どうしたらもっと良くなるか、に脳みそを使おう。
そうして、結果としていい仕事をやり遂げ、笑おう。

ちなみに、Aさんのセミナーの話は実話。
僕のダメ出しとわずかなアドバイスに奮起したAさんは、多くの仲間の助けをもらいながらベストをつくし、結局はとてもいい講演をした。




※蛇足
「仕事を一緒にする同僚のメンツにどこまで配慮してあげるか?」というのは、もちろん相手があっての話である。相手の正確や成熟度によっては、メンツを配慮してあげたほうがいい場合もあるのかもしれない。気を使ってあげたほうが、結果として良い物が出来るとか。僕だって、相手を見て対応を変えることもある。
でも本当は、そんな配慮がいらない人とチームを作り、思いっきり仕事をしたいな、と思いますね。

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