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あるいはファシリテーションが得意なコンサルタントによるノウハウとか失敗とか教訓とか

変革プロジェクトの立ち上げマトリクス、あるいはカルチャーによって変わる対処法

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★セミナーでは色紙を上げてもらったり。
職業柄、年に何度かはセミナーでプレゼンテーションをする。一方的にペラペラ話す方が楽なんだけど、それだとなんだか居心地が悪くなってくる。僕が本質的にプレゼンターではなくファシリテーターだからだろう。
そこで、話している最中に僕らスピーカーからちょっとした質問をし、答えてもらうことが多い。

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以前、プロジェクトの立ち上げ(プランニング)のセミナーをやったときには、「あなたの会社、4象限で言うとどこですか?」をいくつかのパターンで聞いてみた。今日はその中から1つを紹介したい。

★軸その1:トップダウンーボトムアップ
意思決定にトップがどれくらい関与するのかは、会社ごとあるいは部署ごとで随分違うものだ。その時どきのトップの性格にもよるし、会社に染みついた伝統的な意思決定スタイル、というものもある。野中郁次郎教授が言うように、日本企業は細かく観察すれば「ミドルアップ&ダウン」が多いが、その中でもトップダウンよりか、ボトムアップよりかは違いが大きい。

あなたの会社は、あるいは部署は無理矢理どっちかに分けるとどっちですか?

★軸その2:慎重ー大胆
同様に、物事を進めるときの大胆さもかなり差が大きい。会社の古さ、業界、経営陣の性格など、様々な要素で変わる。
僕らのお客さん企業の顔ぶれを思い浮かべると、やはり新しくて小さい会社は大胆だし、古くて大きい会社は慎重である。まあ、当たり前ですね。

あなたの会社はどちらですか?

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★結果は意外にも、、
何となく「トップダウンな会社は大胆」「ボトムアップな会社は大きな会社で、社風は慎重」なイメージってありません?僕はありました。
実際にセミナー皆さんにお聞きすると、結構綺麗に4領域にばらけた。「トップダウンだけど慎重」「ボトムアップだけどイケイケ」という会社もある。

さて。なぜこんな質問をしたかと言えば、どこに属するかによって、プロジェクトを立ち上げるときに注意すべきポイントが変わってくるからだ。以下、順に説明していこう。

★「トップダウン&大胆」な会社
創業社長がバリバリ会社を引っ張っているような会社。こういう人はアイディアマンでもあるので、プロジェクト自体が鶴の一声で始まっていることが多い。新しいことをするのに抵抗がないし、社長が色々言い出すことに、部下の方々も慣れている。

【プロジェクトでの注意点】
トップとのリレーションにつきる。
立ち上げ時にしっかりプロジェクトへの期待やゴールイメージを聞きに行くこと。
改革施策のイメージやプロジェクト計画が見えてきたら、ある程度生煮えでもチラ見せに行くこと。お忙しいのでうっとうしがられることがあっても、これをこまめにやっておかないと、どこかでちゃぶ台を返されてしまう。

【コンサルタントに求められること】
このタイプのリーダーに「ケンブリッジさんは、牧羊犬になってくれれば良いんだ」と依頼されたことがある。自分のビジョンをしっかりと実現するための支援をして欲しい。そして自分の部下がリーダーについていけるよう、しっかりフォローして欲しいということ。

★「トップダウン&慎重」な会社
少し歴史がある会社だが、モノを決めるときには上の意向次第。意外に多く、30%くらいのセミナー参加者がこちらに属しているとのこと。

【プロジェクトでの注意点】
計画をしっかり時間をかけて煮詰めていくこと。
よく練られた計画をトップと合意できさえすれば、実行局面では比較的スムーズに進むことが多い。
でも、合意が大変。費用対効果分析、リスク分析に時間がかかるし、施策案を何パターンも網羅的に考えておく必要もある(そうしないとツッコミに耐えられない)。

【コンサルタントに求められること】
緻密にプランを練り込むのは、コンサルタントのお家芸みたいなものだ。それを粛々とやるのが基本。でもどこかで、論理面だけでなく感情面でも「溝を跳び越えるために背中を押す」をしなければならない。

★「ボトムアップ&大胆」な会社
一般に「風通しがよい」と言われるようなカルチャーの会社。セミナー参加者でこちらだとおっしゃる方は少な目だった。が、ないわけではない。例えば僕らケンブリッジはここ。

プロジェクトで目指すゴールをはっきり持っているミドルマネージャーがいらしたり、施策の検討をみんなでやるとどんどんアイディアが出てきたり。活気のあるプロジェクトになる。

【コンサルタントに求められること】
コンサルタントというのは、お客さんのキャラクターに合わせて役回りを変えることもある。こういう会社で仕事をする時は、ちょっと慎重派を演じるのだ。
「それって全社最適の観点からも、良い施策って言えますかね?」
「中長期で本当にメリットありますか?」
「○○のリスクについても、今の時点から考えておきましょう」

なにも「ぱあーっとプロジェクトやりましょうや、社長!」というばかりがコンサルタントではない。

★「ボトムアップ&慎重」な会社
日本の古くからある大企業っぽい領域。ボトムアップで変革プロジェクトが立ち上がるが、部署間調整などに苦労してストップしてしまうことも多い。

【プロジェクトでの注意点】
慎重な社風なので「普通は走りながら考えるよね」ということも計画段階で考える。トップが心配すると言うよりも、現場の方々が慎重な姿勢を崩さない。
だからこそ、現場の巻き込みが生命線。あえて、計画段階から現場に詳しい方に参加してもらい、懸念点を徹底的に洗い出しておく。そしてそれを反映させたプランにしていく。
そうしなければ、後々、強力な抵抗勢力が生まれてしまう。そうなったらトップ判断で強引に押し進めることも難しく、プロジェクトは立ち往生することになる。

【コンサルタントに求められること】
プロジェクトの計画に対する批判を歓迎することになるが、これはサンドバッグになるということだから、精神的に結構キツイ。だから、お客さんの代わりに僕らが全面に立って、批判を受け、改善案を出していく立場に。
コンサルタントはしょせんいずれその会社からいなくなる部外者だから、お客さんが矢面に立つよりはヘビーではない。慣れてるし。

★ある会社では・・
講演するときだけでなく、提案前、お客さんとプロジェクトの立ち上げ方について議論している際に「4象限で言うとどこ?と聞いてみることも多い。あるお客さんの答えを今でもはっきり覚えている。

ウチの会社は「トップダウン+慎重」です。
でも、このプロジェクトだけは「ボトムアップ+大胆」で
何とか新しいことをやろうと、僕らはもがいています。
ケンブリッジさんには、まさにそこを支援して欲しい

僕らは今、この方々と大胆な計画を練っている最中だ。楽しみ。

まとめ
トップダウンか?大胆か?会社のカルチャーによって、プロジェクトを立ち上げる時に注意すべきことは変わってくる。そして会社のカルチャーは不変ではない。
今日はココまで。

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