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災害支援5日目 あるいは支援の悩ましい面

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★本当に悩ましい物資問題
ボランティア団体から善意の個人まで、多くの方々が救援物資を運んでくれる。
大型トラックで乗り付けて、大量の物資を下ろしてくれる団体もあれば、ヤマト運輸の宅急便で個人が野菜の箱詰めを送ってくれる場合もある。

問題は「これをどう分配すると公平性を保てるのか」だ。避難所にいる方々の間での分配も悩ましいし、避難所外にいる方々と避難所内の方々との間で、どう分配するかも悩ましい。一口に被災者と言っても、
1)避難所内で生活している被災者。自宅は全壊
2)自宅にすんでいるが、水・電気・物資が手に入りにくい被災者
3)自宅は全壊してしまったが避難所ではなく知り合いの家に身を寄せている被災者
の3パターンがあるのだ。

本当は行政がルールを作るなどすればいいのだが、被災地の行政にそこまでを求めるのは酷だろう。僕らのようなボランティアが間に入るのも難しい(ずっといるわけではないので、過去の経緯や地域の実情、被災者の皆さんの心情を把握するだけでも大変)。

結局、地域の役職者の間で相談しながら決めていくしかないのだが、どう決めたとしても、それぞれの立場からすると不公平のように見える。
公平を大事にしすぎると「同じ物資が家族の数だけ揃うまで、廊下に積み上げる」という方法をとらざるを得ず、それも「目の前まで物資が来ているのに、貰えない」という大きなストレスの元になる。

元々は全国の善意から送られた物資だし、実際そういった支援物資がなければ本当に困窮してしまうのだが、配分方法をめぐってギスギスした人間関係になってしまうのは非常に悲しいことだ。しかし現実。

★ボランティアにも色々な考えが
僕らがお世話になった避難所には、同じく住み込みで支援する先輩ボランティアの方がいた。その方の方針は自立支援。なるべく食事作りはお母さん方(交代制で担当している)の自主性に任せ、メニュー決めなどにボランティアは口に出さないということだ。

交代制で担当しているから、早く食べたほうがいい食材や、次回の炊き出しメニュー情報がうまく共有されていなかったので、僕がフリップチャート(模造紙)にそれらを書き出すことにした。
その過程で思わず明日のメニューなどについて提案すると、よくその先輩ボランティアさんに怒られた。「自立支援なのだから口を出すな」と。
自立の重要性はわからなくもないけど、いまそれを求める時期じゃないでしょ、仮設住宅や仕事のことなど、他にも色々と悩ましいことが多いのだから、毎日の自炊のことくらいボランティアに頼っていいんじゃないの?そのために来ているんだからさぁ、と僕は思っていたのだが。

ボランティアの世界には「より長く/深くコミットしている人の意見を正しい意見と見なす」という暗黙のルールがあるように見える。
ビジネスの世界では、損得勘定というわかりやすい尺度があるから、それに照らして意見の優劣が判断される。健全な組織であれば、ベテランが口にした損得勘定的にNGな意見よりも若手が口にしたナイスな意見が最後には勝つ。
でも、ボランティアは営利活動ではないので、このような「どうあるべきか」について意見が分かれると、なんとなく「かかわりの大きい人の意見が正しい」となる。
これも良いことなのか悪いことなのか、仕方のないことなのかはわからないけれど。

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