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IDF 2012の感想

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IDF 2012が行われました。記事ももう出尽くしたので感想を書いてみます。

■Haswell

・"Haswellのココが大事です"
・"次世代CPU「Haswell」の2倍強力なGPUコア"

IDF 2012の目玉はやはりHaswellでしょう。2013年に登場するPC用のCPUです。Haswellの特徴を書いてみます。

・GPUの強化
・新しい省電力モード
・少し高性能化(Ivy Bridgeに対して同一周波数で10%前後)
・新しい命令の追加
・トランザクションメモリなど

Haswellとしては性能向上は微々たる物ですが(だいぶ行き着いた気もしなくもないのでそれは仕方ないと思いますが)、GPUの強化が一番の目玉です。

現在CPUにGPUを搭載することをもう決定事項と言えます。モバイル系は経済的理由でGPUを搭載したSoCになっています。PC向けも廉価な製品に関しては全て搭載されています。スパコンでもGPUを活用したシステムが多くなってきています。

このため、ライバルのAMDから比べると弱かったGPU部分を強化するのは正しい方向性です。

ただ、IntelとしてはXeon PhiのコアとHaswellに搭載したGPUの方向が違うものを2つあることに関してはいろいろと悩ましいところなのでしょう。どちらに進むのが正しいかは分かりませんが、統一できない現在の事情が苦悩していることを物語っていると思われますし、GPUの強化が段階的にしか行われてこなかったことはいろいろとあるのでしょう。

また、GPUの強化で一番懸念なのがメモリの帯域です。IDF 2012ではHaswellのダイを公開されませんでしたが、これは何か隠しているのではないかと言われています。噂ではeDRAMを2.5Dで搭載しているのではないかと言われています。

GPUの強化を率先してIntelは行ってきませんでした。いろいろな理由があると思われますが、理由のひとつにメモリ帯域不足があるからではないかと思われます。

GPUは巨大なダイサイズに物を言わせてピンを増やしてメモリ帯域を確保しました。浮動小数点演算とメモリ帯域は、1TFLOPSあたり100GB/sぐらいは必要でしょう。例えば、Radeon HD 7750は単精度で819GFLOPSでメモリ帯域は72GB/sを、GeForce GTX 650は812GFLOPSで80GB/sを持っています。ミドルレンジでもこの程度のメモリ帯域は必要です。

Ivy Brideのメモリ帯域は25.6GB/s(DDR3-1600の2ch)です。HaswellのDRAMへの帯域がそれほど変わらないでしょう。

HaswellのGPUの性能に関しては、Ivy Bridgeの2倍としかわかっていません。HaswellとIvy Bridgeの両方とも単精度浮動小数点演算の性能は明確にはアナウンスはされていません。

ただし、AMDのTrinityは736GFLOPSの性能を持って29.8GB/sのメモリ帯域しか持っていません。CPUに現在のミドルクラスのGPUを乗せようと思うとDDR3の2ch程度では足りていないことを明白です(CPUも使いますしね)。

Haswellは、どの程度の強力なGPUを搭載するのかわかりませんが目標は外部GPUのミドルレンジではないかと思われます(ダイサイズ的に)。現在のGPUのミドルレンジは800GFLOPSありますのでメモリ帯域は80GB/s必要となればDDR3を2chでは不足してしまいます。

このため、2.5DでL4(?)を搭載するのは必須ではないかと思われます。

また、Haswellで省電力化がさらに進みました。理由は、いろいろあると思いますがPCの再発明が必要なのでしょう。数だけではスマートフォンはPCを抜いています。また、メディアタブレットは2012年には1億台を突破する勢いです。

変わってPCは3億台から増減はあまりないと予想されています。スマートフォンとメディアタブレットは価格が違うため仕方ないですが、この勢いを軽視することはPCのCPUベンダーであるIntelには出来ないことです。

このため、どちらかと言えばメディアタブレットよりも高性能、便利で使用時間は変わらないことをアピールするためにも省電力化は必須です。

Ultrabookが成否は分かりませんが、強化されたGPU、さらなる省電力、SSD、WiMAXなどの無線LAN環境の整備でノートPCはさらに薄く便利なると思うので、この方向性はもっと進んで欲しいと思っています。

■Clover Trail

Clover TrailはIntelの大きな武器にしたい一つです。メディアタブレットの出荷台数を伸びている現状とタブレット用UIであるWindows 8の登場でPC OSにもタブレットが必須になります。

Clover Trailはそれに対する一つの回答になります。SoCにすることによる部品点数の削減、省電力モード、DRAMのタスキングによる基盤のサイズの縮小が行われています。Clover TrailはWindows 8のタブレットのみサポートのようですが、Android、iPad、Windows RT等のライバルからシェアを奪うため必要な武器になります。

Intelの守備範囲を広げる戦略は正しいと思いますが、Windows RTとの価格競争/性能比較でどこまで優位を保てるものでしょうか。

■Xeon Phi

"IDF 2012の目玉の1つ、メニイコア「Knights Corner」"

すでにXeon Phiを搭載した製品がTop500に名前を連ねています。Intelの戦略的にはXeon PhiをCPUに取り組んでヘテロジニアスマルチコアに持っていきたいのでしょうが、GPUとしては性能が悪い(もしくは消費電力が高すぎる)ためかまだ搭載するロードマップを公開できていません。

NVIDIAが、GPUをPC向けとHPC向けの両方に対応していますが、次からは両市場を分けて出す可能性があります。このため、両市場は似ていながら微妙に違っています。Intelが最初から別々に出すのは理に適っていますが、かわりに開発コストが増えます。このあたりは体力があるIntelだからやれることなのでしょう。

Xeon PhiはPC市場には降りてこない感じですが、ヘテロジニアスマルチコアが一般化するころにはIntelもXeon Phiのアーキテクチャをどうするか結論が出さざるを得ないでしょう。

ただ、Xeon Phiのコア数が62コアという話もあるので、実際にはコア数はどうなっているのでしょうかね?

■まとめ

・"“次世代”Ultrabookも集結したIDF基調講演"

Haswellで性能向上や消費電力の低減でノートPCの筐体は大きく変わるかも可能性があります。Ivy Bridge登場したときは22nmプロセスの成熟度が足りなかったため、スタートは芳しくはありませんでしたが、Haswellのときはこの問題は解決してロケットスタートを切れているでしょう。

IntelはTICK-TOCK戦略をとっていますが、新アーキテクチャを採用するTOCKの年のほうが面白いと思います。来年はCPU関連で面白くなれば良いのですが。

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