IDF San Francisco 2011の感想
IDF San Francisco 2011が行われましたので雑感を書いてみます。
IDF 2011のもっともアピールしているのは、Ivy Bridgeでしょう。
Ivy Bridgeは、トランジスタ数が1,480Mです。これは、Sandy Bridgeの995Mから比べても多くなっていますが、過去のTock->Tickとどれぐらい違うのでしょうか。過去のTock->Tickでトランジスタ数の増加は、以降は以下のように様になっています。
CPU | Tock | Tick | Tick/Tock |
Core MA | 291 | 410 | 1.41 |
Nehalem MA | 731 | 1,170 | 1.60 |
Sandy Bridge MA | 995 | 1,480 | 1.48 |
Nehalemは、BloomfieldとGulftownを比べました。この組み合わせだけコア数が4->6個と増えているため、そのまま比較は難しいものがあります(Nehalem世代は4コアの32nmが存在しない)。
IntelではIvy BridgeをTick+と言っていますが、トランジスタ数の増加率は過去と比べてもそれほど大きくは見ません。ただし、Intelとしては初めてのDirectX 11対応であることを考えると割りと大きなジャンプなのかも知れません。ライバルのAMDは既にDirectX 11をCPUに搭載していますし、ARM系チップも2012年にはDirectX 11対応してくるでしょうからこれ以上遅れるわけには行かないでしょうね。
Haswellに関してはかなり興味深い情報が出てきています。一番大きいのは省電力に関するアピールです。待機電力が現在1/20とか、22nm世代の3D化等の半導体技術等で解決しています。これらはUltrabookのような省電力のノートPC向けにもいいのだと思いますが、メディアタブレットを牽制するのも都合がいいCPUです(Appleからの圧迫もあるようなので)。ただし、Haswellに関しては1年以上後の製品のためかあまり情報が無かったようです。
他には、Near-Threshold Voltageで太陽電池でも動くものを作っているようです(サンプルでPentium系ぽいらいしいですが)。これがAtom系に用いられればスマートフォンに入りそうですし、メインターゲットのCPUに搭載されればUltrabookはより軽くなるでしょう(今のノートPCの重量はバッテリが重いので)。
私は今のx86 vs ARMの焦点のひとつである省電力に関しては、x86のデメリットのデコードの重さは最後はたいしたことがなくなると思っています。2013年にはx86の消費電力がARMレベルになるとは思いませんが、遠くない将来においてx86も十分にスマートフォン・メディアタブレットに入ってくるでしょう(その頃にx86の居場所があるかどうかわかりませんが)。
Googleとの連携でAndroidでIAのサポートを充実化するようですが、どこまで普及するでしょうか。とりあえずは提携が進めば少し面白い状況になるかも知れません。現在AndroidタブレットはNVIDIA優勢(Quallcommを採用した製品も出てきたのでARM陣営のCPU競争も面白そう...どこから出荷台数比とか出してくれないものでしょうか。ARMはライセンスの関係から持っていると思いますが顧客情報だから世に出てこないかな...)ですが、それにストップがかかるでしょうか。
"マイクロソフトとインテル、重なった基調講演で語られなかったこと"に、両者のイベントで語られなかった敵はAppleだと言っています。Microsoftにとってエネミーと言えるのはApple(とGoogle)でしょう。Intelは若干難しいところですが、A4/A5の開発とAppleからある程度CPU開発に関してはプレッシャーをかけられているようなので、Intelにとっては、Appelもエネミーの一つでしょう。
Intelとしては22nmプロセスの改善やIvy Bridgeでの性能向上をアピールしていました。IntelのメインのPCのCPUは例年通り(年明けだけど少し遅れる?)にリフレッシュでしょうが、Atom系がどこまでAndroidタブレットに割り込めることができるかがIntelの2012年の課題でしょうか。