"ThinkPadはこうして生まれた"の感想
本書はThinkPadを製造を担当した内藤氏のThinkPad作りのお話です。
私はThinkPad X201sユーザで、ThinkPadはこれが3台目です。たぶん次もThinkPadを買うでしょう(X201sが頑丈すぎて次の購入予定が立たない...ぜんぜん不調にならない)。
ThinkPadの堅牢性の理由は、ThinkPadが登場時期の価格が100万円近くあったため、使用者が壊れたときに"壊した"と言わず"壊れた"と言われたためだとか。確かに、100万円近くの製品ならば壊したといいづらいものがありますね。ただ、ThinkPadの堅牢性は本当にすばらしいレベルだと思います。X201sもぜんぜん不調になりませんし、その前に使っていたX61は壊れずに引退させてしまいました。
著者が未だにスピードを重視しているのは意外でした。なぜならば、PCのスピードはCPU(とGPU)とOSでほとんど決まります。それらは全てコモディティ化してしまい実質差が開かないためです。ですが、ThinkPadは起動時間短縮をOSメーカと協力して行っています。スピードこそ重要の意識があるためでしょう。ただし、このあたりの改善はハードからOSまで持っているAppleの様なメーカとは違い暫定的な改善しかできない感じがしないでもありません。
スピードを重視していれば、将来的(OSとかCPUをかチェンジしたころ)にはまた違ったことがおきるかも知れない感じがしますが。
ThinkPadラインナップはLenovoに買収後に変わらないことを数年行い、それから大きくラインナップを拡充を行いました(Edgeとか)。結果は顕著にPC市場シェアに現れています。
Gartnerの調査結果では3Q'11で2位に躍進しています。今の勢いを維持できればシェア15%に到達夢では無いでしょうし、最終的にはHPも視野に入ってくると思います。
また、LenovoはThinkPad Tabletも発売しています。メディアタブレットがビジネス向けに成功するかは今のところ未知数ですが、思いっきりビジネスにシフトさせた製品は面白い結果が出る可能性があります。
ThinkPad Tabletは使っているチップではスピードの観点では他社と差別化は出来ていません。ただし、堅牢性はThinkPadクオリティらしいですし、ペンも付属しているところが違います。ただ、ThinkPadとの連携が希薄な気がします。
もし、ThinkPad TabletがThinkPadの外部ディスプレイとして使うことが出来ると面白いのにと思うのは私だけでしょうか。iPadではそのようなアプリがありますし、Lenovoは持ち運び用の外付けディスプレイもあります(USB接続と解像度が不満ですが)。このあたりアプリやハードで対応されると面白いと思ったりしています。
ThinkPadのブランドは、熱心なユーザの忠誠心は高いと思います。Lenovoに買収されたときには悲鳴に似た感想が漏れましたが、現在ではそこまで気にかけている人は非常に少ないと思います(私は価格が安くなったのでうれしい)。それは買収後でもThinkPadブランドに何も変わらなかったためでしょう。
安価なカテゴリを作りブランドの希薄化を気にされていると思う方もいるかも知れませんが、本書を読むことでそれが杞憂であること理解できます。