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"失敗の技術"の感想

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"採用は2秒で決まる!"の感想」同様にマルコム・グラッドウェル氏のTHEW NEW YORKERの傑作選2にあたる失敗の技術~人生が思惑通りにいかない理由~を読んだので、その感想を。ついでに、3巻目の後に本書を読んでも問題はありません。

"借りもの"に関して、ブロードウェイで行われたフローズンのシナリオがグラッドウェル氏が以前に書いた精神科医のインタビューを元にした記事に酷似していることがあったため、著作権に関して考えを書かれてあります。

その中で著者の考えで、短いセンテンスが果たして著者が権利を持っているのか、それとも過去に読み聞きしたことからの受け売りなのか、わからないと書いてあります。またメロディの一部も類似箇所があるが本当に盗作だろうかと疑問を投げかけています。

昔SCOがLinux陣営(主にIBM)を訴えたことがありました。Linuxのソースの一部がUNIX由来のものであると訴えられ、SCOの説明を受けた人物が、"SCOの言い分が正しいようにも、正しくないようにも見える"と言っていたことを思い出しました(記憶に頼って書いているので、ちょっと違うかも)。

私もソースを書くときに、検索して参考にすることは良くあります(コピペすれば作業が終了するわけではないですが)。WEB上にあるソースは全てライセンスが書いてあるかと言われるとそうでもありません。

漫画のトレース疑惑にも似ています(トレースレベルによるけど)が、ソースコードを書くのもある程度の模倣から始めるのではないかと思います。そう思うと、著作権って難しいと思います。特にソースコードはコピペしやすいので。

"点と点を結べ"に、9.11のテロにおいて過去にあった情報が9.11のテロの予兆をしめしているのか、ノイズなのかに関して論じています。

ここで、一番重要なことは"人間は何かの出来事の前と後で、その出来事に対する意見や評価をかえるのか"が心理面から考えているところです。

例えばある心理学者の実験が書いてあります。ある病院に偽の患者(幻聴を聞こえるなど)を送りつけたら、病院側は誰一人偽の患者を見つけることができませんでした。さらに、同じ病院に今度偽の患者を送ることを連絡すると、病院側はある程度の人数を偽の患者だと判断したそうですが、実は一人も偽の患者を送っていないにも関わらずです(決してその病院のレベルが低いということを意味しているわけではないでしょう)。

それほど人間はノイズの中からシグナルを抽出することは難しいことです。特に、後になってわかるだろう的なことを言える場合がありますが、得てしてそのようなことはないようです。

グラッドウェル氏の本の特徴として、常識もしくはそれが当然だと思われている事象に関して、実験データ、統計データもしくは例外的な事例を提示して反論することがよくあります。特に、データを提示されると納得しやすい(さらなる反論データがあるのかも知れませんが)傾向があるように思えます。

このため、説得させるには十分なデータを付属させるのが良いのかも知れません。

【本】
HTML5ガイドブックの感想
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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼンの感想
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