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"iPadがやってきたから、もう一度ウェブの話をしよう"の感想

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"「iPadがやってきたから、もう一度ウェブの話をしよう」(iphone/iPad版)、たった今、発売になりました!"とあったので購入して読んでみたのでその感想を。"たった今、発売になりました"のフレーズは新鮮でした。オンライン販売のメインならば、この発言も正しいですね。

梅田氏と中島聡氏の往復書簡は面白かったです(純粋に)。

中島氏の"MicrosoftはエンジニアとMBAのDNAを、AppleはエンジニアとアーティストのDNAを、GoogleはエンジニアとサイエンティストのDNAを持つ"の評価は面白と思いました。3つの会社はそれぞれ偉大な結果を残しています(しました?)が、それぞれの志向性が違っています。最も成功している(た)時期が若干違うため時代の考慮も必要かも知れませんが、それでも製品群や戦略を見ていると中島氏の評価は的を得ているように思えます。

逆に言えば、成功するにはエンジニアだけではだめだと言う事でしょうか。

"Appleのデベロッパーに対する権限の強さに不安はないのか?"の質問に対する中島氏の回答が"プラットフォームをコントロールする企業の決断ひとつで小さい企業のビジネスが一夜で消滅する、なんてことはウインドウズの時代からあった話なので、そんなことを気にしていたらこの業界でビジネスをできません"の回答は、若干違和感を感じます。

確かに、IT業界ではプラットフォームを握っている側が何でもできます。最近ではGoogle Waveの停止やAppleのフラッシュ不採用などがその顕著な例です。また、ソフトウェア・サービスだけではなくてハードウェアもころころの規格(古くはIntelのRDRAM等)を作って止めたりもしています。

このため、AppStoreのAppleルールはIT業界のよくあるケースとも考えられますが、それでも野良さえ許容しないルールは厳しいような気がします。

Webkitのオープンソース化に関してですが、Webkitの出発点はオープンソースのKHTMLだと思います。このため、出発がオープンソースなので、オープンソースにしないのかと開発者が不満を言っていたと思います。これでオープンソース化に踏み切ったのかそれとも、Dave Hyatt氏かそれともさらに上の方針なのか分かりませんが。

どの様な判断でWebkitがオープンソース化されたかは分かりませんが、iPhone/iPad/Android等のモバイルデバイスのブラウザはWebkitは非常に強いシェアを維持しています(シェア自体はよくわかりませんが、本ブログのモバイルデバイスを見るとWebkit系ばっかり)。このため、Webkitをオープンソース化したAppleの功績は小さくありません。

二人の往復書簡の議論は読者用ウェブに場所を移して1ヶ月間続くあります。この試みは面白そうですね。

私は、梅田氏のWEB及び人に対する可能性を性善説的な見方に非常に好感をいただきます。例えば往復書簡の公開や"シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代"の翻訳に関してなどは、その顕著な例で枚挙に暇がないほどです。

ですが、Appleの開発者を性悪説的な捕らえ方に見えるため、私はAppleの方針があまり好きではありません(快適なプラットフォームにするためのトレードオフと言われればそれまでですが...)。

同じように良いものにしようと考え方にも関わらず、どうしてやり方がこんなにも違ってしまうでしょうか。

後、私はあまり本アプリを購入したことがなかったんですが、ブックマークでできないとつらいですね(メモ帳を片手に読んだ)。

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