2H'10のPC出荷台数は失速?
Gartnerは、2H'10(下半期)のPC出荷台数は当初の予定よりも低くなる(2%)と予想を出しました。1H'09、2H'09、1H'10のデータとGartnerが予測している2H'10のデータを並べてみます(単位は百万台)。
2009 | 2010 | 2010/ 2009 | |
1H | 134.9 | 167.2 | 23.9 |
2H | 173.5 | 200.6 | 15.7 |
ALL | 308.3 | 367.8 | 19.3 |
1H'09と1H'10とALLはGartnerが出している数字を元にしています。2Hの数字はALLから1Hを引いた値です(2H'09のデータ公開されていますが、少しリフレッシュされているようで)。2Hの伸びに関しては、1H'10のデータがリフレッシュされるため若干数字が違ってくるのでしょう。
Gartnerは17%増を予想していたため、2%ばかり減ると予想を変更しました。ただし、15.7%増は、低い数字なのかこれだけではわかりません。そこで、PC出荷台数の過去のデータではどうなっているか見てみましょう。
15.7%のデータは2004~2010年において2番目に多い数字です。1H'10が驚異的な数字なのは、1H'09が不況のど真ん中で凹んだだけで、1H'10が史上空前の好調だったわけではありません。2H'09は人類史上最もPCが売れた半年です。2H'10が当初予想よりも悪いだけで、決してPC出荷台数が失速しているわけではありません。
絶対評価をしない相対評価はどうしても数字が一人歩きしてしまう傾向が強いです。
また、Gartnerは、2010年のPC出荷台数を以下の予定で予想を更新しています(注:2009年のPC出荷台数は3月の時点で305.8百万台としていましたが、今は308.3百万台に更新されています)。
予想時期 | 予想 |
Mar 4 | 366.1 |
May 26 | 376.6 |
Aug 31 | 367.8 |
最新の予想は、May 26のときから比べれば落ちています。予想が減った理由の一つがネットブック類が調子が落ちたことです。こればかりはiPadの登場が大きかったでしょう。ネットブックでやりたいことの大半がiPadでできるため、どうしても仕方ありません。今後、Androidのメディアタブレット、Chrome OSやWebOSのメディアタブレットが登場すればもっとネットブックのシェアは低下するでしょう。
私は、Gartnerの予想よりももっと早くネットブック衰退のすると考えています。その理由は、ネットブックメーカがほぼ全てメディアタブレットメーカだからです。Lenovo、Asus、Acer、Toshiba、HP、Dellとほぼ全員両方に参戦してきます。2つのカテゴリを販売するメーカはどちらを優先させるでしょうか?MicrosoftとIntelの縛りが強いネットブックを優先させるでしょうか?それとも自由度が高いメディアタブレットを優先させるでしょうか?
後者は未知数ですが、PC市場の飽和状態であることを考えると参戦し甲斐があるのではないでしょうか。またモバイルキャリアとも組むことで収益が上げられるシナリオも作れます。
PCがなくなることはありませんが、WEBの入り口としてはスマートフォンとメディアタブレットの方がより時間が多くなるのではないかと思います。後世の歴史家から、"2010年はPC衰退の始まりの年"と言われるのかも知れません。
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