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PC出荷台数予測は上向きにリフレッシュ

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Gartnerが2010年のPC出荷台数に関して「Gartner Says Worldwide PC Shipments on Pace to Grow 22 Percent in 2010」でリフレッシュしました。2010/3/4のデータと比較してみましょう。

2010/3/4
2010/5/26
2010年予想
PC出荷台数
(万台)
3,661
3,766
出荷金額
($ billion)
245.0
245.4

2ヶ月あたりで金額は微増で出荷台数は1,000万台の増加で予想をリフレッシュさせてきました。上向きにリフレッシュされたのは、PC需要が強化されたとありますが、なぜ強化されたのでしょうか?また、伸びているカテゴリがあるのでしょうか。

Gartnerの予想だけではなくて、私も2010年のPC出荷台数を予想してみます。1Q'10のPC出荷台数は前年同期比27.4%増の8,434万台でした。この第一四半期のデータから、その年のPC出荷台数を予測してみます。Gartnerは2003年からPC出荷台数のデータを出しています。

そのデータを元にすると、1年間のPC出荷台数/1QのPC出荷台数の数字は、だいたい431±15%です。ただし、2009年は除いています。理由は、2009年は1Hは不況で且つ2Hが急に回復したためイレギュラーな年だと判断したためです。この推測から1Q'10から2010年のPC出荷台数は、8,430万台x4.31=3億6300万台となります。一番好調なケースは3億7,600万台になり、Gartnerの予測に近くなります。

例年よりも2Q以降の伸びしろが大きいとGartnerが予測しているようです。私は3億6千万台は行っても3億7千万台は到達できないのではないかと予想しているため、Gartnerの予測は強気のように見えます(私が弱気か、Gartnerが強気かは2011年1月にわかります)。

これはNetbookの成長かと考えられるのかと思ったのですが、GarternはNetbook(GartnerはNetbookの単語を使わず、mini-notebookと表現しています)の出荷台数を4,180万台程度を予想しています。以下にNetbookの2008年以降の出荷台数(2010年は予測)の数字です。

Netbook出荷台数(万台)
2008
1,170
2009
3,210
2010
4,180

PC全体の平均よりも30%増のNetbookの成長は高いのですが、"2009年→2010年の伸び"は、"2008年→2009年の伸び"よりも常識的な数字になっています。このため、NetbookがPC出荷台数の伸びを大きく貢献しているとは言えないのでしょう。

また、今好調のMedia TabletをPC出荷台数に加算したのかと思ったのですが、そうではありません。GartnerのPCは、タブレットPC(フルOS)のみ加算し、iPhone系OS(iPad)やAndroid、Chrome OS等のOSを搭載した製品はMedia Tabletと別集計すると明言されています。タブレットPCの方は2010年の出荷台数は200万台のため、1,000万台の上乗せの影響はなさそうです。

さらに、GartnerはMedia TabletはNetbookの売り上げに影響を与えないと書いてあります。これは、IDCや"iPadがネットブックから売り上げを奪う?"にあるABI Researchも同様な見解を示しています。

このため、単に不況を脱して支出を増やすことができたため2010年のPC出荷台数予測を上のほうにリフレッシュしたようです。私は、もしPCの出荷台数を増やす要因があるとすれば、Media Tabletが引き金で伸びるシナリオぐらいしか思いつきません。

iPhoneでMacの売り上げが伸びたと聞いています(iPhoneユーザでないのでその気持ちがわからない)。このため、iPadが好調であることを考えるとMacの売り上げが伸びる可能性があります。また、PCメーカがMedia Tabletの発売を計画しています。Dell、Acerは秒読み態勢ですし、Lenovoも製品自体は年明けに発表しています。HPもPalmを買収してMedia Tablet競争にユニークな立場(DellやAcerと違って)で参戦を表明しています。

このため、PCメーカがMedia Tabletを誘導線にしてPCの売り上げをあげる可能性もあります。ただし、私は一部のNetbookとMedia Tabletは競合すると考えているため、出荷台数には悪いほうに影響を与えてしまうのではないかと推測しています。

1Qが終わった時点でその年の予測を正しく行うことは難しいことです(2010年の様な場合もある)。特に2010年はMedia Tablet元年です。現在のところ多数の調査会社はPCの出荷台数に影響を与えないと予測していますが、その見解が正しいかは誰も答えを知りません。なんと言っても、こんなにスタイリッシュで、性能が良く、多様なMedia Tabletが発売されたことは人類史上ないのですから。

とりあえずはPC市場は今年は良い年にはなりそうな予感です。

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