ブラウザシェアに関して考えてみた
NetApplicationsが2010年6月のブラウザシェアが公開されていますが、そのデータを見て考えさせれました。まずは、2008.1~2010.6までの5大ブラウザシェアをグラフ化しました。ただし、Opraの項目にOpera miniを加算しています。理由は、同じ会社であることとMobile SafariがSafariの項目に入っていると考えているためです。
これだけ見るとIEが増える傾向を示していると見えなくもありません。ただし、よくよく考えるとIEが2010.6に増える要因は一つもありません。新しいバージョンが発表されたわけでもありませんし、新しいOSが発売されたわけでもありません(IEとSafariはOSにデフォルトついているため、増加を示すのではないかと予想しています)。
このデータだけ見てもぴんとこないため、前年同月比(Jan'09 - Jun'10)をみてみます。
シェアが向上されていれば前年同月比で伸びているはずですが、IEにはその傾向が少しも見えません。
そこで、ブラウザシェア先月差(Jan'08 - Jun'10)をグラフ化してみました。
これは、棒グラフを積み重ねています。プラス側は先月からシェアを伸ばしたポイント数、マイナス側が先月からシェアが減ったポイント数です。
これだとIEが2010.6にシェアを回復しているのが一目瞭然です。また、Firefoxが2009.12からシェアを伸ばす勢いが減衰しているのがわかります。さらに、Chromeの勢いが一番勢いが良いことも明白にわかります。
IEはどちらかと言えば、4~7月にシェアを減衰傾向が低いように見えなくもありません。季節的要因から2010.6はプラスに転じたとも判断するのも一つではないでしょうか。
プラスに転じた理由ですが、ブラウザバージョン別シェアのデータをみてみます。NetApplictaionsのデータに少し加工を施しています(コンポーネントブラウザなどをマージしている)。後、Jan'10のデータがなぜか上位7つしか表示されない問題がありますが、過去にとっておいたデータがあるため、修正しています(マージしているので小さい数字がでてこないと辛い)。
少し面白いのが、IE 8は順調な上に、IE 7/6が下げ止まりしているところです。この理由を考えるの相当難しいですが、PCのリプレイスが一段落したからではないかと推測しています。
ただし、一番言えることはFirefoxの勢いが減衰していることだけは正しいようです。
2010.6のIEのシェアが伸びたのは一時期的なことでしょう。過去にも何度かあったため季節的要因ではないかと思います。それでもFirefoxの勢いは衰えたことは明白です。変わりにIEからシェアを奪っている役割を今はChromeが担っています。
また、Safariは、実は面白い傾向をしめています。半年後とのシェアは如何になります。
期間 | シェア(%) |
Dec'07 |
2.46 |
Jun'08 |
2.75 |
Dec'08 |
3.41 |
Jun'09 |
3.79 |
Dec'09 |
4.46 |
Jun'10 |
4.85 |
Safariはここ2年ばかり毎年1%前後のシェアを伸ばしていますが、1Hで0.3%前後を増やし、2Hで急にその差を埋めています。2010年は過去2年間よりも良い成績を残しているため、Dec'10には5.5%前後まで到達するかも知れません。
ついでに、Jun'10までで最小二乗法で求めたDec'10の5大ブラウザシェアは以下になります。参考にした月数によって予想が大幅に変わります。
参考にした月数 |
IE |
Firefox |
Safari |
Opera |
Chrome |
6 |
57.0 |
23.6 |
5.3 |
3.1 |
10.0 |
12 |
54.4 |
25.4 |
5.3 |
3.7 |
10.2 |
18 |
55.4 |
25.5 |
5.4 |
3.5 |
9.2 |
私は2010年初めにChromeは2010年中にシェアが10%を超えると思っていたのですが、今のところぎりぎりかも知れません。ついでに、私としては、参考にした月数が6ヶ月と12ヶ月のデータの半分ぐらいがちょうど良いのではないかと思います。
【ブラウザ関係】
・Javascript ベンチを取ってみた(Jul 9,2010)~Firefox 4 beta登場~
・Safari 5を試す~拡張機能を入るなんて~
・ブラウザシェアを予測してみた(Chrome拡張)
・Google Apps Scriptでブラウザシェアを取得する関数をバージョンアップしてみた
・バージョン別ブラウザシェアをグラフ化してみた